画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
32 巻, 4 号
Special issue on Visual Computing
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
論文
  • 尾上 耕一, 西田 友是
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 328-335
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    コンピュータグラフィックスによるアニメーションに関して,近年,特にキャラクターの動作に伴う二次的な現象も研究対象となっている.例えば,キャラクターが柔らかい地面(砂,泥,雪など変形しやすいもの)に残す足跡や自動車や自転車のタイヤ跡,ボールが落とされたり地面の上を引きずられたりした跡も,二次的な現象に含まれる.本稿では物体の衝突により地面に残る痕跡を計算する方法を提案する.提案法では,(1)地面と物体との衝突判定,(2)衝突部分の地面の物質の圧縮と周囲への移動,(3)急斜面での崩落,をそれぞれ計算することによって物体の接触による地面の変形を計算する.衝突判定にグラフィックスハードウェアを利用し,崩落計算を局所的に行うことによってリアルタイム表示を実現した.
  • 柿本 正憲, 向井 亨光, 芳賀 剛士, 西田 友是, 苗村 健, 原島 博
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 336-345
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    本稿では,太陽光のような強い光が反射した場合に生じるグレアをリアルタイムで表現する手法を提案する.現在OpenGLにおいて使われているPhongの鏡面反射モデルでは,ハイライトの輝度が最大値を超えると,鏡面反射指数(shininess)が大きい物体でも明るさが変わらず,ハイライトの広がりが小さくなるぶん逆に暗く見えるという欠点がある.本提案では,この反射モデルに修正を加え,ハイライト本来の強い明るさの計算を行う.この計算によって得た高輝度の反射は,ディスプレイでは物理的に表現不可能である.これに対して,輝度を考慮した新しいグレア表現モデルを考案し,強い反射光の擬似的な描画を行う.その結果,鏡面反射指数の値にふさわしいハイライトを表現できるようになった.また,OpenGLを用いて本手法を実装し,グレア形状の柔軟な制御とリアルタイム描画を実現した.
  • 多田村 克己, 秦 学英, 焦 国芳, 永井 康雄, 中前 栄八郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 346-354
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    本稿は,雲により生じる光学的な効果,例えば,雲の分布を考慮した天空光による照明や雲が落とす影などを,精度よく表現するための新しい手法を提案するものである.提案手法は,多階層の受光直方体による照度計算法を基本とし,雲自身の領域と雲によるシャドウボリュウムを効率良く求めることにより,雲を任意に配置した天空の輝度分布を計算できる.従来の天空照度を考慮した屋外景観表示手法は,完全晴天空と完全曇天空の天空輝度分布のみ表現できる.すなわち,雲の分布を無視している.更に,雲は,散乱媒質(participating media)の密度分布として定義されているので,シーン中に多数の雲を配置し,なおかつ,それらが他の物体に影を落としている画像を生成するためには,ばくだいな計算時間を必要とする.提案手法は,これらの問題を,ポリゴンからなる“雲の表面”を導入し,それを太陽光線の入射方向を投影方向としてデプスバッファに描画して得られるデプス情報を利用することにより解決している.提案手法により,様々な雲の分布における日の出から日没までの景観をリアルに表示できる.提案手法が,雲を含む景観画像生成について,計算時間と画質の間の非常によいtrade-offを実現していることを実装結果により示す.
  • 倉立 尚明, Vatikiotis-Bateson Eric
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 355-368
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    コンピュータグラフィックスによる発話顔アニメーションにおいて,発話にともなう自然な顔の動きは,リアリティの向上だけでなく,アニメーションを見る側の人間の発話の正確な知覚を促す上で重要である.本稿では複数の被験者やCGキャラクタから得た異なる複数の表情の顔形状について主成分分析を行い,得られた主成分の類似性を利用してモーションキャプチャシステムなどから得られた顔面の運動情報を,容易に他の人物やCGキャラクタに対してそれぞれに応じた動きとして投影するFacial Motion Mappingと呼ばれる新たな手法を提案する.この手法を用いれば,各キャラクタごとで同一のメッシュトポロジで代表的な表情形状さえそろえておけば,例えメッシュ構造が異なるキャラクタ間でも動きの投影が可能であり,しかも表情セットに含まれる,そのキャラクタ独特の形状の変化を,非常に少ないパラメータで表現できる.本稿ではその例として,三次元の人物・CGキャラクタおよび二次元の線画キャラクタを本手法を用いてアニメーション生成を行った.
  • 田中 理恵, 金子 俊一
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 369-377
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    探索すべき画像の不在を統計的に検定することによる高速画像探索の新しい手法を提案する.付加ノイズおよび量子化ノイズの特性に基づいて,低コントラストの標本点をランダムに選択する方式を採る.提案する検定量はχ 2統計量に対してある不等式関係を満たすことが示され,これを用いて不在検定を行う.高速計算が可能な増分符号相関を用いて照合評価を行う.強いノイズを含む場合に対処するために,パラメタを導入した修正アルゴリズムを提示する.実験によって有効性を示した.
  • 海老原 麻由美, 真原 仁, 櫻井 建成, 野村 厚志, 長 篤志, 三池 秀敏
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 378-385
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    近年,時間・空間パターンを自己組織的に形成する反応拡散系を用いた情報処理が注目されている.この系においては,チューリングパターンの形成と確率共鳴効果という二つの興味深い現象が知られている.我々は,反応拡散モデル(FHN: Fitz-Hugh & Nagumoモデル)による領域分割およびエッジ検出のための新しいアプローチを提案してきた.本稿では,ノイズを含んだ画像および低コントラスト画像における本モデルの有効性について検討する.従来法と比較しても,チューリング条件を用いた処理によって,ノイズを含んだ画像において高い領域分割精度が得られた.また,適度なノイズを加えることで,低コントラスト画像における領域分割の検出精度の向上が確認できた.このように,確率共鳴効果を利用することにより,低コントラスト画像における領域分割およびエッジ検出の精度の向上を図ることができると考えられる.
  • 高木 佐恵子, 松田 憲幸, 曽我 真人, 瀧 寛和, 志磨 隆, 吉本 富士市
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 386-396
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    絵画は,心を豊かにするための重要な研究テーマの一つである.これまで,絵画に関する多くの研究では,実際の画材を再現するような機能を提供するばかりで,ユーザが描いた絵を評価し,アドバイスを与えるようなものはなかった.そこで,我々は,初心者のための基礎的な鉛筆デッサンの学習支援システムを提案する.提案システムは,モチーフに関するデータとユーザが鉛筆で画用紙に描いたデッサンの画像を入力とし,ユーザへのアドバイスを出力とする.提案システムでは,次の四つの機能により,処理が行われる:モチーフの特徴解析,デッサンの特徴解析,誤りの同定,アドバイスの生成と提示.提案システムの有効性を確かめるため,扱う対象を基礎的なモチーフに対する主要なアドバイスに限定したプロトタイプシステムを開発し,実験を行った.その結果,提案システムの有効性が確かめられた.
  • 正司 哲朗, 岡田 至弘
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 397-406
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,拡張現実感の技術を用いて,書籍を表示するためのインタフェースの構築を行う.本システムは,キャリブレーション処理,幾何補正処理,ページ認識処理,画像表示処理の四つの処理からなる.キャリブレーション処理では,プロジェクタ座標系,画像座標系,世界座標系の三つの座標系のキャリブレーションを行う.幾何補正処理では,投影面(ブックスクリーン)が非平面であるため,投影する画像を補正する必要がある.そのため,マルチベースラインステレオ法を用いて,ブックスクリーン表面の三次元座標を求め,投影する画像の補正に必要な幾何情報を取得する.ページ認識処理では,ブックスクリーンのページ番号を認識するためのバーコードを利用し,CCDカメラを用いて,ページ認識を行う.画像表示処理では,ページ認識結果からページに対応する画像を選択し,幾何情報をもとに補正画像を生成する.そして,補正画像をブックスクリーンに投影する.最後に試作システムを用いて実験を行うことにより,本手法の有効性を示す.
  • 山口 裕美, 伊藤 貴之, 池畑 裕子, 梶永 泰正
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 407-417
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    計算機のファイルシステム,大会社の人事組織,ウェブサイト.身のまわりには,階層構造で整理されたデータは非常に多く存在する.われわれはこのような階層型データの新しい視覚化手法「データ宝石箱」を提案している.この手法はデータ全体を一画面に展開して表示するので,階層型データの全貌を一目で眺観することができる. 本稿では,「データ宝石箱」の概要を示し,続いて「データ宝石箱」を用いたウェブサイトの視覚化手法を提案する.本手法では,ウェブサーバーに蓄積されるアクセスログファイルを入力すると,ウェブページの構成図である「サイトマップ」と,アクセス統計を表現する棒グラフを生成する.更に本手法では,この二つを連携させたユーザーインタフェースを実装している.ここでは,このユーザーインタフェースによって興味深いアクセス傾向が発見できた事例も示す.
  • 徳永 百重, 竹島 由里子, 高橋 成雄, 藤代 一成
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 418-427
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    ボリュームビジュアリゼーションは,三次元ボリュームデータの複雑な内部構造を可視化する技術であり,アプローチの違いから大きく二つの方法に分類できる.ボリュームデータを間接的に表示するインダイレクトボリュームレンダリングと,ボリュームデータ全体を半透明表示するダイレクトボリュームレンダリングである.どちらの方法もボリュームデータの内部構造を効果的に可視化できるが,わかりやすい可視化結果を得るために,強調する特徴領域を特定することは非常に困難である. そこで本稿では,ボリュームビジュアリゼーションの二つの方法に対して,三次元ボリュームデータがもつ位相構造に基づいて,適切な可視化パラメタ値を半自動的に設定する方法をそれぞれ提案する.また,同一フィールド値で包含関係にあるような複雑な等値面の埋め込みをもつボリュームデータを可視化する新しい手法を提案する.更に,提案手法に基づいたレンダリングを可能にするボリュームビューアを開発する.そして実データに適用することによって,提案手法の有効性を示す.
論文
  • 中田 崇行, 包 躍, 藤原 直史
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 430-437
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    本稿ではシーン中の自由曲面体を認識するため,レーザレンジファインダなどによって得られた物体表面の三次元点群の情報と,あらかじめ用意した自由曲面体テンプレートを照合することにより,テンプレートオブジェクトに対応するオブジェクトを検出し,その位置姿勢を求める手法を提案する.この方法ではシーン中から任意の3点を選び出し,その3点から予想される物体の位置,姿勢について投票を繰り返すことによりオブジェクトを検出するため,オブジェクトの形状は制限を受けず,雑音による影響は少ないという特徴がある.
  • 河副 文夫, 寅市 和男, 中村 浩二, Kwan Paul Wing Hing
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 438-445
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    我々は一連の研究で文字,イラストなどのラスタ画像を自動函数近似しスケーラブルな再生を行うことに成功している.しかしこれらの先行研究では,画像の輪郭線を函数近似の対象としているため,細い線分を数多く含む地図面や回路図面などの細線画像に対して,その函数化画像の線幅が一定にならないといった精度上の問題を生じている.本稿では,これらの細線画像を精度良く函数近似するために,画像中の線分同士の接続性,連続性を考慮しながら,点列の追跡を行う手法を提案する.追跡された点列は,その形状によって直線,円弧,二次曲線といったフルーエンシ函数によって,適応的に函数近似される.実験検証では,提案する点列追跡法を実際の白地図画像に適用し,その有効性を示している.
  • 藤井 憲作, 荒川 賢一, 有川 知彦
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 446-453
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    本稿では,ひも状の柔軟物体の操作による三次元入力インタフェースを提案する.本手法は,時間的空間的に連続したひもの三次元位置を実時間で計測するために,1台の赤外線カメラとハーフミラーを利用して,ひも状の対象物体から放出される赤外領域の直接光,反射光を同時に検出し,三角測量の原理により三次元位置を算出する.赤外熱画像を利用することによって,背景が複雑な場合や光源環境の変化が起る環境下においても,対象点を安定に抽出することが可能となる.三次元位置計測装置による評価実験を行い,時間的空間的に連続したひもの三次元位置を実時間でかつ数mm精度で計測できることを確認した.また,適用例として,ひもの振る舞いの再現,およびひもでつなぐことによるインタラクションについて取り上げ,三次元的な特徴を有するタスクへのインタフェースとして利用できることも示した.
  • 佐藤 和弘, 鈴木 航
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 454-460
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    ベクトル量子化は現在研究されている不可逆性画像圧縮法のなかでも,画質,圧縮率の両面で有望視されている圧縮法の一つである.しかし,符号化,復号化の際に参照される代表ベクトルの集合(CB:コードブック)を設計することが非常に困難であったり,CBの代表値とは特徴の異なるベクトルを多く含む画像では,その再生画像の品質が劣化するなどの問題があった.そこで我々はその問題点を解消する手法として,符号化する画像自身の縮小画像をCBとして使用し,かつ,フラクタル符号化の手法を利用して交流成分だけをベクトル量子化するパターンベクトル量子化法を提案する.
  • 高野 邦彦, 尾花 一樹, 田中 武, 和田 加寿代, 佐藤 甲癸, 大木 眞琴
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 461-467
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    ホログラフィは空間像提示法であるため連続した視差が得られる点に特徴がある.そこで,本縞では,このような特徴をもつホログラフィ法を利用した投影型カラー立体ディスプレイの作成に向けた検討を行う.本手法では,コヒーレンスがよく,同一光軸上でRGBの三色光が得られる白色レーザを光源として用い単板式DMDパネル(時分割表示された計算機合成ホログラム)に照射し,実像を水粒子から構成される立体スクリーンに投影した.その結果,最大で15×15cmのカラー立体画像を空中結像させることが可能となった.
  • 野口 貴司, 大田 友一
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻4 号 p. 468-477
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/29
    ジャーナル フリー
    最近のステレオ視では,安定性の確保と隠れへの対策のために,複数のカメラを使用した多眼ステレオ視が用いられる.しかし,単にステレオペアを増加させただけでは,隠れ領域の視差を正確に求めるのは難しい.そこで,本稿では,評価値制限法を用いた多眼ステレオ視の改善手法を提案する.評価値制限法とは,対応具合を示す値である評価値に制限(上限)を設けた対応付けの手法である.この手法を多眼ステレオ視に適用すると,正しく対応付けられていないステレオペアの影響が抑制されるため,従来の隠れ対策のようにステレオペアの選択を行わなくても隠れに対処できる.本稿では,まず,多眼ステレオ視で生じている隠れ領域の対応誤りは,隠れの影響で正しく対応付けられていないステレオペアの評価値が全体の対応評価に対して及ぼす悪影響に起因することを示す.次に,評価値制限法を用いることで,それらのペアの影響が抑制でき,隠れに対処できることを示す.また,ペア選択に基づいて隠れに対処する手法と比較しての優位性を示すと共に,ペア選択に基づく手法に対して評価値制限法を組み合わせると,それぞれの手法を単独で使用するよりも効果的であることを示す.
ショートペーパー
連載技術解説
技術解説
feedback
Top