画像電子学会誌
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42 巻, 1 号
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論文
  • 児玉 明
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 5-14
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,コンテンツ取得の高速化,サービスコストの低減を目的として,品質を考慮したキャッシュ型コンテンツ配信におけるキャッシュデータ管理方法に着目した.コンテンツ配信システムを定義し,利用頻度,品質情報に基づいたコンテンツ優先度を定義した.この優先度を利用したキャッシュにおける階層型品質データの管理方法について説明した.本情報管理方法において単一品質利用と複数品質利用に分けて考察した.高品質の単一利用の場合,低品質データのみのキャッシュではキャッシュ効果がないことを理論的,かつ実験的に明らかにした.したがってキャッシュするコンテンツ品質は,階層構造の部分データではなく利用頻度の高い品質とすることが重要である.次に複数品質利用において,利用モデルを定義して,キャッシュコンテンツのヒット率,伝送情報量の観点から考察した.頻度優先で品質データを扱うと,低品質のみのキャッシュと比較して最大7.46 倍までヒット率が向上するとともに,伝送量を最大0.53倍に抑制できた.また,本方法で利用したスケーラブル構成はサイマルキャスト構成と比較して,アクセス分布が変動した場合,データ伝送量を最大約55%削減可能となった.以上より,各品質利用ともに頻度を品質独立で管理するのが有効であり,品質に対応した階層データをキャッシュデータ管理することで,コンテンツ管理効率が向上することを明らかにした.
  • 新村 文郷, 横井 昭, 佐治 斉
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 15-24
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    本論文では,地上感知器を利用しない交通情報収集法として,衛星画像を用いた道路混雑状況の判別手法を提案する.本手法は,衛星画像から様々な画像処理手法により様々なノイズを除去しつつ車両のエッジを抽出し,道路区間ごとに車両の台数とその密度を算出し,混雑状況を判別するものである.なお,本研究では都市部での利用を前提とし,高層建物によって生じる道路上の遮蔽や影に対処するため,3次元地図情報を用いた新たな手法を提案する.都市部での実画像を用いた実験による評価結果とともに,衛星画像と3次元地図を用いた都市部での交通情報収集の可能性を示す.
  • 中村 智志, 青木 義満
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 25-29
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    航空画像には,様々な都市空間情報が含まれている.地理情報システムにおいて,都市情報の経年変化による更新を捉えることは重要な要素である.しかし,現在はまだ,撮影された航空画像に対して,目視にて確認を行っている.本稿では,Multi-Level Slice 法を用いて屋根領域を検出し,自動的に都市地形変化の検出を支援する手法について提案する.住宅地を撮影した航空画像をもとに実験を行い,手法の有用性を示す.
  • 劉 載勲, 宮本 龍介, 尾上 孝雄
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 30-40
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    歩行者検出は様々な応用からその実現が求められているものの,外見が多様に変化するために本質的に困難な問題であり挑戦的な課題の1つとなっている.近年,高精度な手法の提案が盛んに行われており,用途によっては実用に耐え得る性能が達成されつつあるが,複雑な特徴抽出や機械学習を組み合わせて実現されるため,演算量の増加が深刻な問題となっている.そこで,本稿では,識別精度の高い特徴抽出手法の1つであるCoHOG 特徴による歩行者検出を対象として,既存の手法と組み合わせることが可能な高速化手法を提案する.提案手法においては,様々な大きさの歩行者を検出する際の複数のスケールの画像に対する処理に着目し,基準となる特定のスケールの画像に対してのみスライディングウィンドウ手法を適用する.その結果得られる検出対象の存在確率からそのほかのスケールにおける尤度分布を生成し,これに基づく確率的なサンプリングを行うことにより,検出精度の劣化を伴わない演算量削減を目指す.INRIA データセットを用いてFalse Positive Per Image による評価を行なった結果,提案手法によって精度の劣化を生じさせることなく約2.5倍の高速化が可能であることが示された.
  • Hiromi Yoshida, Naoki Tanaka
    原稿種別: Contributed Paper
    2013 年42 巻1 号 p. 41-46
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    In this paper, a binarization method based on fractal dimension for character string extraction is proposed. In order to deal with a scene image that has more than one character strings which have different colors (gray scale values), we have to take multiple threshold values. The proposed method can obtain multiple threshold values which correspond to each character string by detecting stable intervals of fractal dimension FD. The binarized character regions can be white or black, so we add reversed version of each character string region, that is, we generate “negative-positive problem” and then, obtain the black character regions by solving nega-posi problem. We also introduce two steps of noise reduction based on the shape of bounding box and edge information. The experimental result on datasets of ICDAR2003 shows that the proposed method has higher performance than existing binarization methods.
  • 村松 大吾, 橋本 侑樹, 小方 博之
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 47-55
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    筆記は個人性が現れる動作のため,個人を認証する特徴として利用されている.従来の筆記を用いた個人認証はオンライン署名認証に代表されるような運筆動作に注目した手法である.本稿では,運筆動作ではなく,筆記時のペンの持ち方に着目した個人認証手法を提案する.提案手法では,筆記者のペンの持ち方をカメラにより撮影し,撮影された画像から「持ち方」の違いや「手」の違いを考慮して「ペン持ち方」に関係する特徴を複数抽出し,それらをスコアレベルで統合することで認証を行う.30人から取得したペン持ち方画像を用いた精度評価実験では,提案手法により等誤り率2.7%で本人と他人を判別できる結果を得た.また本人の持ち方を真似したなりすましデータを用いた攻撃耐性評価実験では等誤り率4.1% という結果を得た.
  • 守田 了, 石津 拓
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 56-63
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    宇宙空間での船外作業や原子炉内の作業をロボットを用いて遠隔地で操作する場合や,離れた所で手術支援ロボットを用いて手術を行う場合,作業中の映像をアームロボットや無人走行車や手術支援ロボットを操作するユーザに送ることで作業を円滑に進める.本論文ではこのような映像確保の負担を軽減するために,眼球の動きでパンチルトカメラを動かす3D 視覚環境を提案する.観測するユーザの両眼眼球運動に追従するように二つのパンチルトカメラを制御する.制御された二つのパンチルトカメラの映像が,ロボットを操作するユーザに送られる.右カメラと左カメラに一定の視差を持たせて配置する3D カメラは一般的であるが,右目と左目の動きを検知して,それに基づき作成した3D 映像を用いる3D 視覚環境は提案されていない.そこで両眼眼球運動に追従して動く右カメラと左カメラの映像を右目左目に送るよう制御できる3D ディスプレイを用いる.ユーザが作業するコンピュータにはカメラが装着されており,その映像をもとに視線を観測する.髪や背景や眉毛など目とよく似た色が存在しているにもかかわらず間違えずに高速に黒目白目を抽出するために,色相,彩度,明度に基づく背景領域色空間と関心領域色空間を用いた尤度と両眼の大きさのパーティクルを導入する.本論文では実際にユーザの両眼眼球運動を推定するカメラとユーザの両眼眼球運動に追従するパンチルトカメラとそのカメラからの映像をリアルタイム3D として表示するディスプレイからなる3D 視覚環境を構築し,10fps 程度で動作させることで,遠隔操作の没入感と臨場感について本システムの有効性を示す.
  • 高野 邦彦, 元島 一樹, 矢口 智也, 菊本 誠也, 佐藤 甲癸, 大木 眞琴, 浅井 紀久夫
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 64-70
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    空中に大きな立体像を投影するためには立体像を結像させるための立体スクリーンが必要になる.筆者らは,霧状にした水粒子を利用する霧スクリーンを用いた立体動画像投影法について検討を進めてきた.しかし,霧の持つ高い流動性のため,些細な気流乱れでスクリーンの形が崩れ,表示像が消失するなど,スクリーンとしての安定性については解決すべき課題が多かったように考えられる.そこで本稿では,水粒子を液状のまま利用する流水スクリーンを新規に構築し,投影像の安定化を図った.
  • 辻 明典, 寺田 賢治, 大惠 俊一郎
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 71-80
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    内容に基づく画像検索は,画像に手動でキーワードを付加することなく画像から抽出した特徴量に基づいて画像を検索する手法である.本論文では,画像の特徴量の抽出にウェーブレットパケット変換を用いて類似画像を検索する手法を提案する.提案手法では,まずウェーブレットパケット変換が時間・周波数領域において分割パターンを自由に選択できることを利用し,画像の局所的・大域的な変化を詳細に解析する.次に,ウェーブレットパケット変換の結果にCoifman らの提案する最良基底アルゴリズムを適用してウェーブレットパケットツリーを得る.ここで,類似画像の間ではウェーブレットパケットツリーの形状も相似となる特徴があるため,これを画像データベースの分類に応用することで検索対象範囲を大幅に減らせることを示す.ユーザによる検索質問画像と画像データベースの画像の類似性は,ウェーブレットパケットツリーの形状を表す特徴ベクトルの比較並びにユークリッド距離を求めることで評価を行う.提案手法の実験として,6 万枚の画像より構成される大規模な類似画像検索システムを構築し,画像検索システムの検索効率を再現率・適合率の指標を用いて評価を行う.実験結果として,平均再現率25.96%, 平均適合率60.0%が達成され,提案手法がより多くの類似画像を検索することを実証できた.
  • 中西 正洋, 畠中 理英, 尾上 孝雄
    原稿種別: 論文
    2013 年42 巻1 号 p. 81-88
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,家電機器におけるUI(User Interface)のカスタマイズ要望が高まるにつれ,処理能力とメモリリソースが限定されるマイコン上で動作するUIMS(UI Management System)が必要となりつつある.そこで,本論文では,家電機器向けUIMSの設計,実装,評価を行なった.本UIMSの特長は,UI記述言語としてスクリプトを採用し,そのスクリプトファイルを交換することでカスタマイズを可能としたことと,利用用途を家電機器のUIに絞ることで,スクリプトの記述能力に制限を加え,本UIMSをメモリリソースが少ないマイコン上に搭載可能としたことである.実装したUIMSを(1) 記述能力とカスタマイズ性,(2) プログラムサイズ,(3) 操作感において評価を行なった.その結果,(1)1KB~4KBのスクリプトファイルを交換することでUIのカスタマイズが可能であり,(2)UIMS のサイズが55.7KBで,(3)30fps以上の滑らかなアニメーションが可能で,ストレスなく操作できるUIMSを実現できた.
  • A Case Study of Prompter Communication System
    Li Jen chen, Mutsumi Suganuma, Shigekazu Sakai, Jun Ohya, Shunichi Yon ...
    原稿種別: Contributed Paper
    2013 年42 巻1 号 p. 89-101
    発行日: 2013/01/30
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル フリー
    An investigation into encouraging higher user self-disclosure during text-based Computer Mediated Communication (CMC) system known as the Prompter Communication system (PCS), proposed by Yonemura et al. in previous studies, in which 1 to 3 black circular prompter images (“●”) are embedded onto the background of a text-field canvas as stimuli and as an embryonic basis for conversation, have been investigated and evaluated. The effects on supporting the projection or reflection of generated mental representations onto messages with the “●” prompter image as part of the representations within the message contents have also been examined. During the investigation, the concepts and features of the Geneplore cognitive creative thinking process model, together with self-projections, were integrated into the proposed system. Based on these concepts and features, the PCS aims to encourage users to express their mental representations by projecting or reflecting them onto the messages in combination with the provided “●” prompter image as part of the message contents. Communication experiments using the prototype PCS system have been conducted, where a Normal Communication System, NCS which uses only a plain text-field canvas without the “●” prompter image, is compared with the PCS. The experimental results indicate that communication conducted using the PCS results in an increased number of messages with the “●” prompter image(s) involved as part of the message contents than as background images. Further analysis into the self-disclosure level of the message contents and the relationships between the degree of self-disclosure and the representations of the “●” prompter image(s) within the messages have indicated that the degrees of self-disclosure increases when the “●” prompter image(s) are used to represent the participant him/herself, or the participant's thoughts and emotions, and decreases when the “●” prompter image(s) are used to represent animals or objects, or when the “●” prompter image(s) presented within the messages have been ignored. Investigations into the differences in self-disclosure level between message contents from both the PCS and the NCS have shown that using the PCS results in a generally higher degree in the average frequency of the appearance of high self-disclosure information than when using the NCS. During the conversation, these messages contain information with a high level of self-disclosure, which, consequently, may further lead to the development of intimate and deep interpersonal relationships.
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