画像電子学会誌
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45 巻, 3 号
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ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • 杉本 茂樹, 本岡 昂馬, ファン ゾァンフク, 奥富 正敏, 志磨 健
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 278-286
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,カメラが回転することによって得られる画像から,地表3Dサーフェスを安定かつ高精度に推定する手法を提案する.提案手法では,カメラが360度回転しながら撮影した画像群に対し,まず Structure from Motion (SfM) を適用してカメラ位置と点群を得る.次いで,カメラ回転面と平行な面に等間隔2Dメッシュを定め,その頂点の高さをパラメータとした初期3Dサーフェスを求める.そして,サーフェス上に定めたサンプル点での画素値分散を最小化することで,カメラ位置と地表サーフェスを同時に推定する.提案手法では,SfM で得られた点群にフィッティングすることで安定に初期サーフェスを生成し,画素値分散を最小化することでサーフェスとカメラ運動を高精度に同時推定する.また,画素値分散最小化において,セルフシャドウや晴天時のレンズフレア等によって生じるアウトライア画素の検出や,階層的メッシュを用いたアプローチにより,推定の安定性をさらに高めている.実画像を用いた実験を通じ,提案手法の有効性を確認した.
  • 石原 葵, 久保 尋之, 舩冨 卓哉, 向川 康博
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 287-295
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,複数のプロジェクタを用いて4次元光線空間を生成する手法を提案し,これにより異なる距離に配置された複数のスクリーンにそれぞれ異なる画像を個別に表示する新たな情報提示方法を実現する.複数のプロジェクタを設置して光線を投射するとき,各スクリーンには異なるプロジェクタから発せられた複数の光線が到達するが,その組み合わせはプロジェクタとスクリーンとの位置関係に応じて異なる.そこで,我々は各スクリーンに表示したい目標画像の輝度勾配を保つことを制約条件にして,各プロジェクタから投影する画像を決定する.これにより,従来法と比較してコントラストを高く保った場合でもアーティファクトの少ない画像を投影可能となる.提案手法の有用性を確かめるためシミュレーション及び実環境実験を行い,その結果を示す.
  • 常盤 勇太, 金澤 靖
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 296-304
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    平面でない任意形状のスクリーンに対してプロジェクタによる投影を行う際,違和感のない投影像を得るためには,投影する映像をそのスクリーンの形状に合わせて幾何補正する必要がある.本研究ではプロジェクタの投影像とそれを観測するカメラ画像の幾何関係に対してモデル選択の手法を適用することで,スクリーンを適切な複雑さの多面体で近似することによる映像の幾何補正法を提案する.これにより,滑らかな曲面スクリーンだけでなく,曲面と平面が複合された形状や場所により曲率が変化するような形状などに対しても適切に映像の補正を行うことができる.提案手法の有効性をシミュレーション実験と実空間での実験により確認した結果を述べる.
  • 冨安 史陽, Wang Xueting, 間瀬 健二
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 305-317
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    映像を意味的に連続するフレーム群に分割する区切り点(カット)の抽出は,映像要約や映像編集において議論されてきた.従来では,画像,音声,文書,センサ情報などを利用して映像からカットを抽出し,分割したフレーム群の中から最適なものを選択・結合することで新たに1本の映像を生成する.我々は,サッカーを撮影した広視域角多視点映像において,視聴者の自由な視点切替えを可能とする映像視聴方式の実現を目指しており,視聴すべき視点系列を推薦することで視聴支援を行っている.本研究では,ボールとカメラ間の空間的関係性を用いた広視域角多視点映像からのカット抽出方法を提案する.はじめに,異なるカメラ配置で撮影された2種類の多視点映像を複数人に編集させ,視点切替えを行うタイミングについて分析した.次に,分析結果に基づき,視聴対象領域の拡大による視聴対象フレームの算出方法と,ボールとカメラ間の位置関係(角度・距離) を利用した視点切替フレームの算出方法を決定した.実験では,編集結果を正解として提案手法の有効性を検証し,提案手法がカット抽出において,カット数及びリンク数の増加を抑えつつ高い再現率を示すことを確認した.
  • 尾崎 弘武, 京田 文人, 金井 崇
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 318-328
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    エッジ縮退処理を繰り返し行うことで簡略化を行うインコア簡略化手法は,特徴的形状を保ち,かつ,高品質な簡略化メッシュを得られる手法であることが知られている.しかしながら,処理に必要とするメモリ消費量が非常に多く,一億ポリゴンを超えるような巨大なメッシュに対して適用するのは難しい.一方で,巨大メッシュを簡略化するために用いられるアウトオブコア簡略化手法では,インコア簡略化手法と比べて簡略化の品質が十分とはいえない.本研究では,エッジ縮退法を用いたメッシュ簡略化に対するアウトオブコア拡張手法を提案する.限られたメモリ消費量で簡略化を行うため,まず最初に,入力となる巨大メッシュを,機械学習によって得た線形分離器によって複数の部分メッシュに分割する.次に,各部分メッシュを独立に簡略化していくが,この際に問題となる部分メッシュ間の境界は,簡略化後も自然に一致させることができる.最後に,簡略化を行った各部分メッシュを結合して巨大メッシュの簡略化メッシュを得る.この提案手法によって得られたアウトオブコア簡略化処理の結果が,インコア簡略化手法と同程度の品質であることを,巨大メッシュを含む複数のメッシュに適用し,既存研究との比較を行うことによって示す.
  • 韓 惠軫, 内川 惠二
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 329-339
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    2000年に入ってからアニメーション制作現場にデジタル彩色システムが導入され,アニメーションの色再現が重要になってきた.写真の色再現では記憶色を基に再現される肌色が好まれることが知られ,テレビ画像では肌色の許容範囲が狭いことが明らかになるなど、肌色の研究が進んできている.しかし,アニメーション制作においては肌色の表現が難しいにも係わらず,それに関する研究は極めて少ないのが現状である.そこで本研究では,セル画調の人物顔の肌色を対象に,好ましい肌色および肌色判断と顔形状との関係を明らかにすることを目的とした.その結果,セル画調の人物顔における好ましい肌色として,明るい肌色を選ぶ傾向が示された.顔形状に対する好ましい肌色の被験者間の分布範囲が円形刺激の場合よりも狭かった.従って,顔形状間にも違いあることが明らかになった.また,色マッチングの実験で、肌色の判断には顔形状はほとんど関係していないことが示された.ただし,好ましい肌色付近の色における肌色判断が安定であること,また,スクランブル顔,上下逆転顔,パーツ不足顔では肌色の判断が不正確である傾向にあり,顔知覚と肌色判断が関係していることが示唆された.
  • 熊谷 一樹, 森谷 友昭, 高橋 時市郎
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 340-349
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    筆者らはアーティストが作成,編集可能な3D形状のブラシを使って絵を描くことができるインタラクティブペインティング技術を提案する.アーティストはブラシの形状や変形挙動を編集して,個性的な特徴のブラシを作成することができる.アーティストはブラシの3D形状を,その三面図となる画像をスケッチ入力するだけでモデリングできる.一般的な画筆をはじめ,様々な形状を容易に作成可能である.また,ブラシがカンバスに接触した際の変形挙動をしなり,つぶれ,しずみの3属性で定義する.アーティストは各属性のパラメータを設定することでブラシの材質を擬似的に表現できる.本稿では,ブラシの形状モデリングやその変形挙動,カンバスへの描画のアルゴリズムについて述べる.また,筆者らは本手法をベースにペイントソフト PETICA を開発した.アーティスト数名に対してPETICAを使用した評価実験を行い,高い評価を得た.
  • 五十嵐 悠紀, 檜山 翼, 荒川 薫
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 350-358
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    ネックレスをデザインするためには多くの材料の中からどの材料を使ってどういったデザインにするかを検討して製作していく過程がとられる.そのため長年の経験と勘が必要であり,初心者がデザインしようとするとイメージと違ったものができる,どのようにデザインしてよいかわからない,といった事態になりやすい.そこで筆者らは初心者がその設計および製作を行うための対話的なシステムを開発した.デザインツールは2 つ用意した.1 つ目は対話的にデザインをしていくデザイン支援ツールである.画面上でパーツを並べることによりできあがりのイメージを得るための試行錯誤を重ねることができる.もう1 つは対話型進化計算を利用したデザイン選定ツールである.すでにデザインされた画像の中から,自分の好みのデザインを選ぶと,システムが対話型進化計算を利用して候補をユーザに提示する.自分に似合うかどうかを実際に作る前に確認するために,WEB カメラを用いた装着シミュレーション機能を用意した.最終的に選んだデザインを作るための製作手順出力も行い,実際に作る過程も支援した.ワークショップで実際にシステムを使用した結果についても報告する.
  • 中津 香奈, 森谷 友昭, 高橋 時市郎
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 359-369
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    不可能図形とは,一見すると,実現可能なように見えるが,実際には人間の視覚が解釈した通りには実現不可能な錯視図形のことである.錯視立体とは,ある特定の視点から投影したときのみ,不可能図形として成立するように作られた立体のことである.錯視立体が成立したときの視点を錯視視点と呼ぶ.錯視立体は,錯視視点から視点が移動すると,不可能図形として知覚されなくなる.我々は錯視視点に合わせた形状モデリング手法によって,不可能図形の一種である四角いひねりを加えたトーラス状不可能図形のアニメーション手法を提案する.さらに,不可能図形の立体視と,提案手法の拡張によりペンローズの階段を不可能図形として表示できたので併せて報告する.
論文
  • 久保田 栄次郎, 鈴木 貴大, 誉田 雅彰, 池永 剛
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 373-381
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    現在,バレーボール等のスポーツ競技においては,試合中の選手の動き情報をデータベース化し解析することにより,新たな戦術に役立てるといった取り組みが行われている.しかし,データ取得のための動作検出は人間が目視で行っているのが実情であり,カメラ映像からの自動取得が強く望まれている.本論文では,動作検出処理の鍵となる動き特徴量算出において,選手の身体動作軌跡から得られた特徴量を平均・分散で集約し BoF を作成する手法を提案する.腕や足などの身体の特徴点が描く軌跡は,部位ごとに似ていることに着目し,軌跡の形状・位置・密度に基づいたクラスタ化を行っている.そして,クラスタ化した特徴量を平均及び分散を用い集約している.本提案手法を組み込んだ動作検出システムを用い,ハイビジョンカメラで撮影したバレーボール試合映像からブロック,レシーブ,スパイク,トスの4つの基本動作検出を行った結果,ROC 曲線の AUC において,平均0.9539という高い検出性能を得た.これは従来手法(ランダムサンプリング) よりも0.0148高い.
  • 伊藤 誠也, 金子 俊一
    原稿種別: 論文
    2016 年45 巻3 号 p. 382-391
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/25
    ジャーナル フリー
    セキュリティやマーケティングのための監視カメラシステムの分野において,人物検出や追跡のための画像認識技術に対する期待が高い.本論文では,視野の共有しない複数のカメラネットワークから取得した映像から,同一人物を追跡する手法について提案する.多くの監視システムにおいて,複数のカメラの環境から個人を特定することが課題である.しかしながら,視野を共有しない環境において,視点や姿勢の不明な状況下では人物の特徴が安定しないことにより,人物を照合することは大変困難である.そこで,本論文では人物間の観察方向の共有領域に着目した,共可視特徴に基づく複数カメラ間での人物同定手法を提案する.本手法を公開データセット(VIPeR) を用いた累積照合特性により検証した結果,従来手法と比較して観察方向の違いに対して安定に人物同定が可能となり,提案手法の有効性を確認した.
技術解説
連載技術解説
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