腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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ISSN-L : 1343-0882
30 巻, 3 号
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総  説 <特集:腸内細菌の分類の現状―嫌気性菌および乳酸菌を中心に―>
  • 坂本 光央
    2016 年 30 巻 3 号 p. 119-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/09
    ジャーナル フリー
    次世代シーケンサーの普及により,培養を介さずともヒト腸内細菌叢を把握できるようになってきた.腸内細菌叢は我々が今までに想像していた以上に多様な細菌種で構成されていることが検出される腸内細菌由来のゲノム配列によって明らかになっており,その主要な構成菌群の一つとしてBacteroidetes門が挙げられる.またその多くの菌種がBacteroidaceae科,Porphyromonadaceae科,Prevotellaceae科,Rikenellaceae科に帰属し,メタゲノム解析の結果を支持するように,この10年ほどで上記の各科に含まれる多くの新属・新種が発表された.近年,逆に培養を介した大規模な解析手法をヒト腸内細菌叢の解析に利用することによって,数多くの新種が提案されている.ただしこれらの名称の中には,正式発表名として扱われていない学名も含まれるので十分に注意したい.本総説では,Bacteroides属及びその類縁菌の最新の分類について概説する.
  • 渡辺 幸一
    2016 年 30 巻 3 号 p. 129-139
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/09
    ジャーナル フリー
    ビフィズス菌は,主にヒトや動物の腸管から分離されるグラム陽性の多形性桿菌であり,系統分類学的にはActinobacteria門のBifidobacteriaceae科に属する6属58菌種で構成される.なかでもBifidobacterium属は,50菌種10亜種で構成され,その中心を占めている.微生物の分類体系は,菌種同定や分類法の技術の進歩と密接な関係にある.DNA-DNA相同性試験(DDH)法は,1960年代から用いられ,現在でも菌種を区別するための最も重要な基準である.一方,16S rRNA遺伝子配列データに基づく系統解析は,煩雑な操作と熟練を必要とするDDHに替わる菌種分類の標準法として位置づけられている.しかしながら,16S rRNA遺伝子単独では菌種の分類同定が不可能である菌種グループが数多く存在する.近年,ハウスキーピング遺伝子の塩基配列に基づく多相解析法[Multilocus Sequence Analysis(MLSA)あるいはTyping(MLST)]および全ゲノム塩基配列の相同性(ANI)など,DDH法を補完・代替する分類方法が開発されている.ここでは,ビフィズス菌の分類法の現状と動向について解説する.
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