重質な直鎖パラフィンを高オクタン価な軽質イソパラフィンへ転換するための水素化分解・異性化反応に有効な触媒開発を実施した。
γ-アルミナ担持NiMo触媒に,ナノサイズアルミナとBEAゼオライトを組み合わせた触媒を
n-C16を原料とした反応系で触媒性能を検討した。単元系から多元系へと触媒を組み合わせることで転化率およびイソパラフィンへの選択性が向上した。BEAゼオライトの骨格SiO
2/Al
2O
3比の触媒性能に与える影響を検討したところ,SiO
2/Al
2O
3比25が転化率,選択性ともに最適値であった。BEAゼオライトのUSY化には酸洗浄が有効であり,この脱アルミナBEAゼオライトとナノサイズアルミナを組み合わせた系は転化率,選択性ともにさらに向上した。しかし,この系のナノサイズアルミナの代わりにナノサイズシリカを組み合わせても転化率,選択率の向上は見られなかった。このことは,酸洗浄によってゼオライト表面に生成したSi–OHとナノサイズアルミナのAl–OHの間で形成される新たな酸点が分解および異性化の活性点として作用し,
n-パラフィン転化率,イソパラフィン選択率を向上させると推定できた。結果として,多元系に組み合わせることで触媒性能に与える相乗効果,すなわち分解性能と異性化選択性の向上が明確となった。
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