日本化學雜誌
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84 巻, 2 号
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  • 磯 晃二郎
    1963 年 84 巻 2 号 p. 95-99,A9
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種イオン強度における高分子電解質の分子量測定値の比較は基礎的な重要性をもっている。本報では各イオン強度における沈降,拡散定数の濃度0に相当する値を用いて分子量を求め,それがイオン強度0.01から1.0の範囲で実験誤差以内に一致していることを示した。各イオン強度における沈降定数は濃度によって特徴ある変化を示し,分子の伸縮や高濃度におけるゲル化などによって,定性的説明が行なわれ,同時に従来の報告もあわせ高分子電解質の一般性が考察された。また沈降,拡散,粘度から模型に基づく分子蚤と上に得た値との比較などから分子形について考察した。
  • 磯 晃二郎
    1963 年 84 巻 2 号 p. 100-103,A9
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    合成高分子電解質の中性塩溶液中における一般的挙動を理解する目的に関連して,ポリアクリル酸ナトリウムの種々なイオン強度の溶媒中における自由拡散の実験から,イオン強度変化にともなう,(1)拡散速度,(2)その濃度依存性,および(3)見かけの分散性の変化に興味ある事実を観察した。これらは一般に線状高分子の伸縮の変化によって解釈されることを示した。とくに注目されることは分散性の変化で,自由拡散の実験では分子摩擦係数の分布として分子形の分布の変化が直接観察され,従来理論的に考察されてきた問題に実験的背景を与えることを示した。一方超遠心沈降にあらわれる一見逆傾向の分散性変化について含理的解釈を与え,これには分子量分布の変化があらわれることを明らかにした。
  • 後藤 廉平, 吐山 尚美
    1963 年 84 巻 2 号 p. 104-109,A9
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ロ紙に染着した染料に対する各種の界面活性剤水溶液の展開作用(Rf)を観察し,アニオン性およびカチオン性活性剤のRfは濃度とともに減少するが,非イオン活性剤では濃度とともにいちじるしく増大することを見いだした。この非イオン活性剤の展開作用に対する染料の種類,活性剤の親水基の長さ,pH,温度,電解質などの影響を観察し,界面活性剤と染料との間に結合体を生ずるものと仮定して,Rfと活性剤濃度との関係を理論的に考察した。
  • 松下 秀鶴
    1963 年 84 巻 2 号 p. 110-114,A9
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アントラセン,テトラセン,アンスアンスレンおよびピランスレンを含む8種の芳香族炭化水素の吸収帯におよぼす溶媒の影響にっいて研究した。赤方偏移におよぼす溶媒の影響は測定した芳香族炭化水素すべてについて比較的小さかった。これらの化合物の赤方偏移は主として溶媒の屈折率に支配されるが,溶媒の双極子能率もまた影響をあたえることがわかった。また,赤方偏移の度合は電子遷移吸収帯の種類によって変わる。溶媒がシクロヘキサンからベンセンへと変わったとき,吸収帯の赤方偏移の度合は物質の種類に関係なく1Lb帯では60cm-1程度,1La帯では200cm-1程度であり1Bb帯では220~340cm-1程度であることがわかった。
    これらの実験結果はLongnett-HiggillsとPopleや大鹿によって提出された量子力学的理論によって説明することができる。しかしながら芳香族炭化水素固休の吸収帯はこれらの理論から予期される位置からかなり長波長にずれることがわかった。これらの化合物は固体状態でエネルギー移行や光電導などの現象を示すことから,理論で取り扱ったvan der Waals相互作用より強い相互作用が励起状態の分子閲に作用するために理論と不一致をきたすのであろうと考えた。
  • 井本 立也, 原納 淑郎, 西 泰英
    1963 年 84 巻 2 号 p. 115-119,A10
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化亜鉛を水素で還元する反応を,静置法および循環法で,温度範囲617°~762℃,圧力範囲10~85mmHgで行ないつぎの結果を得た。まず静置法では,生成水蒸気による逆反応および抑制作用などのため反応の解析は複雑であった。循環法では反応は酸化亜鉛の量がとくに少縫の場合を除いて,酸化亜鉛の量に無関係に進行し,また水素の初圧や各瞬間の水素圧にも無関係であることがわかった。すなわち反応は時間とともに一定速度で進行していく。
    これら循環法の結果から,酸化亜鉛の水素による還元反応の機構は,まず酸化亜鉛が分解して酸素と亜鉛蒸気となり,この酸素と水素とが反応して水蒸気となる反応が主として起っているものと考えられる。そしてこの反応は,気相にとびだした酸素と水素との問の反応が律速していることがわかった。
  • 増田 勇三, 宮原 豊
    1963 年 84 巻 2 号 p. 119-121,A10
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセトン中でポリ酢酸ビニルの重合度の異なった試料について無限希釈における微分比圧縮率をもとめると,重合度(極限粘度)の変化1と対してこれが極小値を通って変化することがわかった。この変化と極小点における音速度一濃度曲線の轡曲からアセトン中の酢酸ビニルポリマーには低重合領域における溶解状態と高重合領域における溶解状態に差異のあることを推論した。
  • 野口 喜三雄, 神谷 宏, 川瀬 平久
    1963 年 84 巻 2 号 p. 121-123,A10
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    三原山火口内の岩津丘には100°~350℃の噴気孔が多数ある。そして噴気孔周辺の火山灰は,塩酸や硫酸などを含む噴気孔ガスによって変質している。このようなガスによる分解過程において火山灰の主成分であるケイ酸,アルミニウム,鉄などの成分がどのように行動するかを知る目的で本実験を行なった。そして水洗して可溶性の昇華物や変質生成物を除いた変質火山灰と変質していない火山灰とを化学分析し比較検討した。
    各成分について未変質火山灰のモル百分率に対する変質火山灰のモル百分率の比を算出し,これを残留比と名づけた。この相対的増減はガスによって分解変質を受けるとき,濃縮または残留する傾向を示す尺度となり,10成分の残留比の平均について考察すればその傾向の大きさはつぎのとおりとなる。
    K>Ca>Si>Al>Mg>Ti>Fe>Mn>P>Na
    この中でカリウムとカルシウムは各試料によって残留比はいちじるしく異なり,もっとも変質の条件の影響を受ける成分と考えられる。
  • 半谷 高久, 荒木 匡
    1963 年 84 巻 2 号 p. 124-127,A10
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    核爆発実験によって地上に降下した90Srを1種のトレーサーと考え,その淡水域における行動を研究した。水中の90Srはイオン交換法で採取し,塩酸で溶出後ストロンチウムキャリヤーを加えて炭酸塩として分離した。これから娘核の90Yをとりだして計数し,90Srの濃度を求めた。その結果,陸水申の90Sr濃度は一般に地下水(0.00μμc/l),河川水(0.02~0.22μμc/l),湖沼水(0.09~0.63μμc/l)の順1こ大きくなることが明らかになった。陸水中の90Sr濃度と安定ストロンチウムおよびカルシウム濃度との間には相関関係は見られなかった。またわが国1959~1960年における河川水による90Srの陸地から海洋への流出は1960年6月までに蓄積した90Srの約0.5~1%に,あるいは1959~1960年1年間における90Sr降下量の3~7%に相当する
  • 藤永 太一郎, 小山 睦夫, 鶴房 繁男
    1963 年 84 巻 2 号 p. 128-130,A10
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ステアリン酸を用いて金属イオンとくに放射性同位元素の抽出について検討し,その応用として放射性廃液処理の可能性にっいて考察した。ステアリン酸は融点が71℃である。ゆえに加熱して供試水溶液とふりまぜ抽出を行なったのち放冷すれば自身は固相にもどるから水層との分離がきわめて容易に行なえるという利点がある。90Sr-,90Y,144Ce-144Pr,106Ru-106Rh,核分裂生成物ならびに非放射性のFe(III)Cu(I)について抽出百分率とpHの関係を検討した結果,106Ru以外の元素はpH7近傍でほぼ定量的に抽出されることが明らかになった。
  • 重松 恒信, 田伏 正之, 樽本 庸彦
    1963 年 84 巻 2 号 p. 131-134,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベリリウム,銅,ニッケル,コバルトおよび亜鉛のジベンゾイルメタン錯体の溶媒抽出挙動を検討し,これら金属の分離に応用することを試みた。ベリリウムは,pH>5で酢酸ブチルあるいはクロロホルムにより抽出され,またCa-EDTAで他金属をマスクすることによって核分裂生成物からベリつウムを分離することができる。核分裂生成物からベリリウムを抽出した場合,DF=104であつた。
    水相に対して約0.1%のジベンゾイルメ1タン濃度として,銅はH>5,ニッケルはpH=8~10,コバルトはpH=10,亜鉛はpH=9~10の溶液から酢酸ブチルで定量的に抽出される。アンモニアの存在する場合,銅,ニッケル,亜鉛の抽出率は相当低下するが,コバルトの抽出率の低下は余り大きくない。
    鉄はpH=2においても定量的に抽出されるので,銅,ニッケル,コバルト,亜鉛などから抽出分離できる。また鉄を分離したのち,pHを5として銅を抽出分離することもできるが,余り有効な方法とはいい難い。
  • 大沢 由男
    1963 年 84 巻 2 号 p. 134-137,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼンスルホンアニリドの分子構造が発情作用を示すのに適当であることを推定し,新しい種類の発情化合物としてp-メトキシベンゼンスルホン-p-アニシジドおよびそのN-メチル,-エチル,-プロピル,-イソプロピル,-ベンゾイル化合物およびp-メトキシベンゼンスルホンジフェニルアミドなどを合成した。たとえばp-メトキシベンゼンスルホン-p-アニシジドおよびN-エチル体は50γで100%,N-プロピル体は100γで80%,N-イソプロピル体は1mgで60%のマウスに発情作用を示し,多くのスチルベストロール,ヘキセストロール類似体の場合と異なるいちじるしい特色として,N-置換基がない場合でもあるいは低直鎖アルキルの場合でも発情作用に大きな差がないことがみとめられた。これに対し立体障害の大きいイソプロピル基が導入された化合物は非常に弱い発情作用しか示さなかった。またかメトキシベンゼンスルホン-p-アニシジドは相当強い発情作用を示すとともに1万倍の希釈液でカンジダ菌に抗菌作用を示した。
  • 大沢 由男
    1963 年 84 巻 2 号 p. 137-139,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    既報においてp-メトキシベンゼンスルホン-p-アニシジド(I)が発情作用を示すに適当な分子構造をもっていることが明らかになったが,さらに官能基の種類と発情作用の関係を知るためにIのメトキシ基のかわりにアミノ基,アセトアミノ基,塩素および臭素を導入した10数種の4,4'-置換ベンゼンスルホンアニリドを合成しそれらの発情作用をしらべた。また一部について抗菌作用も試験した。4-アミノ-4'-メトキシ化合物,すなわちスルファニル-p-アニシジドは100γで100%の動物に発情作用を示したが,他の4-アミノ化合物および4-アセトアミノ化合物は4'-置換基の種類に関係なくいずれも弱い発情作用を示し,一方4-メトキシ化合物は4-置換基の種類に関係なく比較的強い発情作用を示した。また4-アミノ-4'クロル化合物,すなわちスルファニル-p-クロルアニリドは1万倍希釈液で結核菌および大腸菌に対し抗菌作用を示した。
  • 大沢 由男
    1963 年 84 巻 2 号 p. 140-143,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    発情化合物におけるイオウ原子の元素特異性を検討し,さらに官能基間の距離および立体障害に基づく分子のカサと発情作用の関係を知るために,4,4'ジメトキシビフェニル,4,4'ジメチルチオ-ビフェニルおよびそれらの同族体を合成して発情作用をしらべた。
    ジメトキシビフェニル同族体はジアゾ化メトキシベンゼン同族体のウルマン反応によって,ジメチルチオ-ビフェニル同族体はベンジジン同族体をジアゾ化してキサンテートとし還元後メチル化して合成した。イオウ同族体は酸素同族体にくらべ強いか少なくとも同等の発情作用を示し,これらの化合物においてはイオウの元素特異性はみとめられず,また2,2'-アルキル化合物は立体障害によって分子構造がカサばるため官能基の距離が短かく,かつエーテル化されているにもかかわらず非常に強い発情作用を示した。
  • 大沢 由男
    1963 年 84 巻 2 号 p. 143-145,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,4'-ジオキシビフェニルは非常に弱いながら発情作用を示すことが知られている。この化合物は官能基間の距離がやや短かく,かつ分子が平面構造をとり得るため発情作用が弱いのも当然と思われるが,その2,2'位に置換基を有し,立体障害による分子の厚みをもつ2,2'-ジエチル-4,4'-ジオキシビフェニル,すなわちビフェニレストロールとも称すべき化合物を合成すれば相当強い発情作用が期待される。既報に記したように2,2'-ジアルキル-4,4'-ジメトキシビフェニルは相当強い発情作用を示したが,一般に発情化合物はメチルエーテルを脱メチルするとその作用が強くなるので,さらに強い発情作用を期待して4,4'-ジオキシビフェニル(I)およびその2,2'-ジメチル(Va),2,2'-ジエチル(Vb),2,2',6,6'-テトラメチル(Vc)同族体を合成して発情作用をしらべた。マウスを用いたAllen-Doisy試験でI,Va,VbおよびVcのいずれも500γで試験動物の全部にI,は100γで,VaおよびVcは10γで,Vbは1γでそれぞれ動物の一部に発情作用を示した。
  • 高橋 予正, 松本 毅
    1963 年 84 巻 2 号 p. 145-148,A11
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4-ペンテン-2-イン-1-オールの合成を種々試みた。最初2-ペンチン-1,4-ジオールを接触的に脱水しようとしたが,アセトアルデヒドとアセチレン化合物への分解が起り目的が達せられなかった。つぎにプロパルギルアルコールとエチレンオキシドを液体アンモニア中ナトリウムアミドで処理するか,あるいはグリニャール法によって2-ペンチン-1,5-ジオールを合成し,このものを脱水することを考えたが,生成物はプロパルギル-β-オキシエチルエーテルであることがわかった。最後にα,β-ジブロムジエチルエーテルとプロパルギルアルコールをエチルマグネシウムブ獄ミドによって縮合して5-プロム-4-エトキシ-2-ペンチン-1-オールを得,これをエタノール中亜鉛末と煮沸して目的の4-ペンテン-2-イン-1-オールを合成した。
  • 山口 勝三
    1963 年 84 巻 2 号 p. 148-152,A12
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶性カルコン硫酸エステル類を得る目的で,レスアセトフェノン-4-硫酸エステルナトリウム塩をメタノール中,アルカリの存在下,芳香族アルデヒド類と縮合させた。すなわちベンズアルデヒド,ベラトルムアルデヒド,p-オキシベンズアルデヒド,バニリン硫酸エステルを用い,相当するカルコン硫酸エステル類を合成した。またこれらカルコン硫酸エステル類をアルカリ性過酸化水素で処理し,フラボノール類の直接硫酸エステル化では合成することの困難であった任意の位置に硫酸エステル基をもつフラボノール硫酸エステル類を得ることができた。なお,これらカルコンおよびフラボノール硫酸エステル類はいずれも水溶性である
  • 山口 勝三
    1963 年 84 巻 2 号 p. 152-155,A12
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クェルセチンのようなポリオキシフラボノール類の水酸基は,3'>4'>7>3,5-位の順序で硫酸エステル化をうけるが,7,4'-ジオキシフラボン,7,4'-ジオキシフラボノールから相当するモノ硫酸エステルを合成し,硫酸エステルの結合位置からフラボン類においても上記の一般性がなり立つ可能性を見いだした。また2',3,4'-トリオキシ-4-メトキシカルコン-4'-硫酸エステルおよび2',4'-ジオキシ-4-メトキシカルコン-4'硫酸エステルから,アセテート,二臭化物を経て,3',7-ジオキシ-4'メトキシフラボン-7-硫酸エステルおよびプラトール硫酸エステルを合成した。この方法によれば,フラボン類の直接硫酸エステル化では合成が困難と思われる硫酸エステルを得ることができる。さらに2',4'-ジオキシ-3,4-ジメトキシカルコン-4'-硫酸エステルの閉環反応により7-オキシ-3',4'-ジメトキシフラバノン-7-硫酸エステルを得た。
  • 山口 勝三
    1963 年 84 巻 2 号 p. 155-159,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピリジンの存在下,スルファミン酸による硫酸エステル化反応(ο-スルホン化)は,スルファミン酸ピリジニウム塩からイミドジスルポジ酸アンモニウムピリジニウム塩(II)の生成反応(N-スルホン化)との競争反応である。それゆえ硫酸エステル化反応の機構は,硫酸エステル化される化合物の反応性いかんにより(1)~(3)のいずれかであると思われる。(1)硫酸エステル化されやすい化合物のときは生成したスルファミン酸ピリジニウム塩によりただちにο-スルホン化が行なわれる(経路(B))。(2)スルファミン酸ピリジニウム塩によるο-スルホン化の速度がスルファミン酸ピリジニウム塩間のN-スルホン化にくらべおそいときは,いったんIIを生成しそののち,丑によるο-スルホン化が起る(経路(C))。(3)スルファミン酸ピリジニウム塩によるο-スルホン化の速度が(1),(2)の中間であれば,B,C両経路による反応が同時に起る。またピリジンはスルファミン酸ピリジニウム塩の生成に必要なだけでなく,スルファミン酸ピリジニウム塩からIIの生成,およびスルファミン酸ピリジニウム壇あるいはIIによる硫酸エステル化反応の際の触媒となる。
  • 小竹 無二雄, 川崎 一郎, 松谷 茂, 楠本 四郎, 金子 武夫
    1963 年 84 巻 2 号 p. 160-162,A12
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    川骨のアルカロイドとしては,ヌファリジン,デスオキシヌファリジン,およびヌファラミンが知られているが,副アルカロイドをさらにアルミナクロマトグラフィーによって分離したところ,ヌファラミンーメチルエーテル,およびエチルエーテルを単離することができた。
  • 田伏 岩夫, 小田 良平
    1963 年 84 巻 2 号 p. 162-167,A12
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチレンカルボナートと種々の第一アミンの反応の速度を,未反応アミンを過塩素酸で滴定することによって測定した。生成物は相当する開環したカルバマート,RNHCO2CH2CH20Hであり,アミノエタノールの場合には条件によってオキサゾリジノン-2が得られた。反応速度はアミノエタノールの場合,アミン2次,エチレンカルボナート1次の3次式であり,その他のアルキルアミン類では,v=k[アミン][アミン]0[エチレンカルボナート]にしたがった。ここに,[アミン]oはアミンの初濃度であり,nは1またはこれより少し大きい値をとる。生成物カルバマートは反応の触媒となることを確かめた。上記の速度式は,反応物アミンも生成物カルバマートもともに触媒作用を示す結果として説明される。
    種々のアルキルアミンの構造と反応性の関係は,脂肪族の反応性に関するTaftの式,すなわち置換基の極性効果と立体効果だけでは表わされず,アミンに対するカルボニル化合物の求電子反応でアミン側のα-位のCHの関与する付加的超共役効果を用いるとよく説明できることを見いだした。
  • 後藤 良造, 鈴木 仁美
    1963 年 84 巻 2 号 p. 167-173,A12
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリハロゲンベンゼンおよびそのモノアルキル誘導体に対する濃硫酸の作用を検討した。通常の条件下ではプロムおよびヨード化合物のみがJacobsen反応を示し,クロル化合物は安定である。ハロゲン原子が分子間移動を起し,ヨード化合物の場合にはこの移動がきわめて容易である。移動生成物は,大抵の場合,逐次ハロゲン化物であり,従来からJacobsen反応の特色とされてきた置換基の隣接位置への配向性(ViCinal Orientation)はまったく見られない。ポリヨード化合物は反応の際にいちじるしい分解をうけ,反応生成物の相互関係もいっそう複雑になってくるが,立体障害の少ない方向へ移行しようとする傾向がいちじるしい。
  • 大島 昇, 三井 生喜雄
    1963 年 84 巻 2 号 p. 174-176,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェニルベンジルエーテル,p-ベンジルオキシ安息香酸エチルおよびp-ベンジルオキシアセトフェノンをパラジウム-炭またはラネーニッケル触媒で接触還元するときの水酸化ナトリウムおよび各種有機塩基の影響を調べた。パラジウム-炭触媒では少量の強塩基性物質(たとえば水酸化ナトリウム,ピペリジン,エチルアミン類)の添加は水素化分解を促進したが,弱塩基(ピリジン)の添加はほとんど影響をおよぼさなかった。一方ラネーニッケル触媒ではその作用はパラジウム-炭触媒の場合とはかなり異なり,水酸化ナトリウム,ジエチルアミンおよびトリエチルアミンには促進作用があるが,アンモニア,モノエチルアミン,ピリジンおよびピペリジンは逆に水素化分解を抑制し,塩堪基の作用はその立体構造と密接な関係のあることが明らかになった。
  • 大島 昇, 佐藤 和文, 三井 生喜雄
    1963 年 84 巻 2 号 p. 177-180,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シンナミルアルコール(I)およびその誘導体安息香酸シンナミル(II),酢酸シンナミル(III),フェニルシンナミルエーテル(IV),p-シンナミルオキシァセトフェノン(V)をパラジウム-炭またはラネーニッケルを触媒として,接触還元したときの酸または塩基性物質添加の影響を調べた結果,パラジウム-炭触媒で添加物のないときはいずれの化合物もエーテルおよびエステル結合の水素化分解はわずかであり,霊として二重結合への水素添加が起った。少量の酸の添加は1の水素化分解を非常に促進したが,II,III,IVおよびVに対してはほとんど影響がなかった。一方塩基を添加したときは1の水素化分解を抑制し,III,IVおよびVのそれを促進した。ラネーニッケルを触媒としたときも塩基の作用はパラジウム-炭の場合とほぼ同様の傾向を示した。
  • 河合 和三郎
    1963 年 84 巻 2 号 p. 180-185,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリエチルアルミニウムと三塩化チタニウムによるエチレンとプロピレンの共重合反応によって得た生成物をジエチルエーテル,n-ヘキサン,イソオクタンの各抽出ポリマーおよび残留物の四つの部分に分別し,赤外吸収スペクトル,X線回折,赤外の二色性などから,n-ヘキサン抽出ポリマーが,ポリエチレンとポリプロピレンの単なる混合物ではなくて,結晶性共重合体と考えられることを認めた。抽出残留物ポリマーはこれに反して,ポリエチレンとポリプロピレンの混合物と考えられる赤外吸収スペクトルおよびX線回折の結果を与えた。
    三塩化チタニウムは,四塩化チタニウムをキシレン中アルミニウム粉末で130℃において還元したものを使用した。
  • 梶返 昭二
    1963 年 84 巻 2 号 p. 185-188,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フルオレノンに臭化アリールマグネシウム類やアリールリチウム類を作用させて9-アリールフルオレノール類(VI)をつくり,ついでVIに臭化水素を作用させて9-アリール-9-プロムフルオレン類(VII)を得た。
    つぎにVIIと9-フルオレニルリチウムや,VIIのグリニャール試薬と9-プロムフルオレンとのカップリング反応によって,数種の新しい9-アリール-9,9'-ビフルオレニル類(III)を合成した。しかし9-(9-フルオレニル)-9,9-'ビフルオレニルに存在したところの9と9'との炭素哉素単結合の回転障害に起因すると考えられる立体異性体は得られなかった。さらにVIIを脂肪族アルコール類と還流させ定量的に9-アリール-9-アルコキシフルオレン類(VII)の約20種の新化合物を得た。
  • 福井 憲二, 中山 充, 畑中 正行
    1963 年 84 巻 2 号 p. 189-190,A13
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プソイドバプチゲニンおよびそのエーテル誘導体についてヨウ化水素酸,臭化水素酸および無水塩化アルミニウムによるエーテル開裂反応を検討した。その結果7,3',4'-トリオキシイソフラボンおよび7-メトキシ-3',4'-ジオキシイソフラボンが得られた。これらの生成物をそれぞれメチル化するとカブロィビン(7,3',4'-トリメトキシイソフラボン)が得られた。別に2,4-ジオキシフェニル-3,4'-ジメトキシベンジルケトンにo-ギ酸エチルを作用して7-オキシ-3',4'-ジメトキシイソフラボンを合成し,これをメチル化すると同一のカブロイビンが得られた。
  • 芳賀 竹芳
    1963 年 84 巻 2 号 p. 191-193,A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報に引きつづきオキシ酸の縮合反応の研究をした結果つぎのような事実がわかった。1)α-オキシ酸をアルカリ性で加熱脱水すると,β,γ置換α-オキシグルタル酸が生成する,2)α-オキシ酸とグリコール酸からはβ置換体,3)α-オキシ酸と乳酸からはγ置換体,4)α-オキシグルタル酸とアルコールまたはオキシ酸からはβ置換体が生成することがわかった。これらのα-オキシグルタル酸をアンモニアでアミド化すると相当するグルタミン酸が得られる。
  • 芳賀 竹芳
    1963 年 84 巻 2 号 p. 193-195,A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサノールとオキシ酸とをアルカリ性で200℃付近で加熱縮合させて,つぎのようなオキシ酸ならびに相当するラクゴトンを得た。シクロヘキサノールとゲリコール酸からは2-オキシシクロヘキシル酢酸(I)と2-オキシ4,3-シクロヘキサンジ酢酸(II)が得られた。副生物として2-オキシ-1,3-ベンゼンジ酢酸(II)が生成した。シクロヘキサノールと乳酸からは2-オキシ-α-メチルシツロヘキシル酢酸が,シクロヘキサノールとγ-オキシ酪酸からは2-オキシシクロヘキシル酪酸(V)と2-オキシ-1,3-シクロヘキサンジ酪酸(VII)が得られた。同様にして4-オキシシクロヘキシルカルボン酸とグリコール酸からは3-カルボキシ-6-オキシシクロヘキシル酢酸(VII)と5-ルボキシ-2-オキシ-1,3-シクロヘキサンジ酢酸(VIII)が得られた。
  • 今中 利信, 広田 鋼蔵
    1963 年 84 巻 2 号 p. 196-197,A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 片桐 誠子, 遠藤 寿一
    1963 年 84 巻 2 号 p. 197-197,A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 守永 健一, 中埜 邦夫, 中村 敬三
    1963 年 84 巻 2 号 p. 198-199,A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 84 巻 2 号 p. A9-A14
    発行日: 1963/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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