ベリリウム,銅,ニッケル,コバルトおよび亜鉛のジベンゾイルメタン錯体の溶媒抽出挙動を検討し,これら金属の分離に応用することを試みた。ベリリウムは,pH>5で酢酸ブチルあるいはクロロホルムにより抽出され,またCa-EDTAで他金属をマスクすることによって核分裂生成物からベリつウムを分離することができる。核分裂生成物からベリリウムを抽出した場合,DF=10
4であつた。
水相に対して約0.1%のジベンゾイルメ1タン濃度として,銅はH>5,ニッケルはpH=8~10,コバルトはpH=10,亜鉛はpH=9~10の溶液から酢酸ブチルで定量的に抽出される。アンモニアの存在する場合,銅,ニッケル,亜鉛の抽出率は相当低下するが,コバルトの抽出率の低下は余り大きくない。
鉄はpH=2においても定量的に抽出されるので,銅,ニッケル,コバルト,亜鉛などから抽出分離できる。また鉄を分離したのち,pHを5として銅を抽出分離することもできるが,余り有効な方法とはいい難い。
抄録全体を表示