日本化學雜誌
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88 巻, 7 号
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  • 辻 二郎
    1967 年 88 巻 7 号 p. 687-706
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウムーオレフィン錯体とカルバニオンの反応による新しい炭素一炭素結合の生成を検討した。π一アリル錯体は活性メチレン化合物,エナミンと容易に反応して炭素一炭素結合を生成した。シクロオクタジエソパラジウム錯体もマロン酸エステルが導入された錆体を生成し,この錯体と塩基との反応によって8員環にマロン酸エステルが付加した種々の化合物が得られた。 パラジウム-オレフィン錯体は一酸化炭素とベンゼン中で反応し,3一クロルカルボン酸塩化物になった。さらにオレフィンのカルボニル化反応が,触媒量の金属パラジウムとハロゲン化水素との触媒作用によってアルコール中で容易に進行し,飽和カルボン酸エステルが生成することを見いだした。オレフィンと一酸化炭素と水素とからは収率は低いがアルデヒドが生成する。このような金属パラジウム触媒によるオレフィンのツルポニル化反応の機機を提出したが,さらにこの反応機構から考えて,金属パラジウムによるア.ルデヒド,酸ハ資ゲソ化物の脱カルボニル反応を予想し,実験的にこれを確かめた。またとれに関連してRosenmund還元の機構を提出した。これらの化合物の脱カルボニル反応はクロロトリス(トリフェニルボスフィン)ロジウム(I)を使用すると室温でも進行することがわかった。酸ハロゲソ化物のこの錯体に対する酸化的付加反応によって, 脱カルポニル反応の中間体と考えられる新しいアシルロジウム錯体を単離した。クロ群カルボニルピス(トリフェニルポスフィン)ロジウム(1)は酸ハロゲン化物の触媒的脱・カルボニルに有効に使用できることがわかった。この触媒はとくに芳香族カルボン酸ハロゲン化物から芳香族ハロゲン化物をつくるのに有効である。
    パラジウム触媒を用いるカルボニル化反応は単純オレフィンのみならず,他の二重, 三重結合にも応用できる。アリル型化合物,共役ジエンからはβ,γ -不飽和エステルが生成した。このようにして,生成したβ,γ-不飽和エステルは塩化パラジウム(I)と反応して新しいアリル錯体を生成することを見いだした。パラジウム,塩化水素系はアセチレン類のすぐれたカルボニル化触媒にもなる。ジフェニルアセチレン,アセチレンモノおよびジカルボン酸エステル,プロパルギル型化合物も容易にカルボニル化された。パラジウム触媒によるカルボニル化反応の特長はジカルボニル化が主反応として起ることである。アミンも金属パラジウムの存在下で一酸化炭素と反応し,尿素,ホルムアミド, オキザミドの各誘導体を生成することを見いだした。
  • 外村 徳三, 岡本 克爽, 藤島 輝義, 山村 博
    1967 年 88 巻 7 号 p. 707-710
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジオキサン中のフェノール,アセトアミドおよび N-メチルアセトアミドの会合を凝固点降下法により研究した。その結果フェノールは3分子,アセトアミドは3分子,N-メチルアセトアミドは4分子の自己会合することが判明した。これらの平衡定数は,それぞれ0.8,1.8および6.6であった。
    ジオキサン中のフェノールとアセトアミドおよびフユノールとN-メチルアセトアミドの相互作用を調べた結果,いずれも1:1の分子比で分子間化合物を生成することが確かめられた。 これらの会合平衡定数は0.7および1.8であった。
  • 玉木 国夫, 尾崎 正孝, 荻原 誠, 竹村 功
    1967 年 88 巻 7 号 p. 711-714
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンスルホン酸,ポリピニルスルホン酸,ポリアクリル酸のリチウム,ナトリウム,カリウム,テトラメチルアンモニウム,テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム塩について,対イオンを共通とする中性塩0.05Nの存在のもとにおける電気伝導度と高分子イオンの電気泳動速度の測定から,対イオンの見かけの電離度を測定した。アルカリ金属イオンの見かけの電離度は,ポリスチレンスルホン酸塩とポリピニルスルホン酸塩については,Li+>Na+>K+の順となり,ポリアクリル酸塩については, Li+<Na+<K+となる。これらの順序は,-SO3-イオンまたは,-COO-イオンとアルカリ金属イオン間の相互作用の差を示すものと解釈される。一方,テトラアルキルアンモニウム塩の見かけの電離度は,ポリスチレンスルホン酸塩については, Me4N+>Et4N+>Bu4N+となり,他の2種の高分子電解質については, Me4N+<Et4N+<Bu4N+となる。ポリスチレンスルホン酸については,高分子イオンとテトラアルキルアンモニウムイオンとの疎水的な相互作用がいちじるしく強いことを示す。
  • 大杉 治郎, 佐々木 宗夫
    1967 年 88 巻 7 号 p. 715-720
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3,5-トリニトロベンゼン(TNB)とジエチルアミン(DEA)のアセトン中での反応を常温でstopped Flow methodを用いて検討した。
    472と516mμ での吸光度の時間変化から,速い反応と遅い反応が逐次的に起ることを確かめた。470mμ に吸収極大をもつ中間体はTNBとDEAの1:1錯体と考えられ,反応は可逆的で,TNBとDEAに関しそれぞれ1次である。また5161nμ の吸光度の増加速度は,DEAのアセトン溶液の``エージング"にいちじるしく影響される。生成物の元素分析や赤外吸収スペクトルの結果からもアセトンが後続反応に関与していることを確かめ,520mμ に吸収極大を示す生成物は,TNB,DEA,アセトンがそれぞれ1:2:1の錯体と考えられる。
    全反応について素過程を仮定し,速度論的に考察した。
  • 大杉 治郎, 水上 哲夫, 橘 忠文
    1967 年 88 巻 7 号 p. 721-725
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタノール,エタノール,2-プロパノ一ル,n-ヘキサンおよびn-ヘプタン溶媒中でのアセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンのケト-エノール平衡に対する圧力効果を加圧状態で紫外吸収スベクトルを測定することにより検討した。
    ケト形およびエノール形のパラコールから推測される分子容の比較から,圧力の増加はエノール形に有利と考えられるが, アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンのケト-エノール平衡におよぼす圧力効果は小さく,この平衡は高圧下においては,極性鴻媒中ではケト形に移行し,非極性溶媒中ではエノール形に移行する。このことは,溶媒の誘電率の圧力による変化が高圧下のケト-エノール平衡に影響をおよぼすものと考えられる。
    つまりケト-エノール平衡に対する圧力効果を検討するにあたり,I 異性体の体積変化,および, II 圧力の増加にともなう溶媒の誘電率の増加の二つの要素を考える必要がある。
  • 枡野 邦夫
    1967 年 88 巻 7 号 p. 726-730
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化ビスマス(III)一酸化マンガン(III)一酸化鉄(III)系のX線的研究により,強誘電性を示すBi(Fe,Mn)O3固溶相と,Bi2(Fe,Mn)4O9固溶相と,Bi2Mn4O10相が見いだされた。非化学量論的BiFeO3固溶相は,菱面体単位胞α=3.94~3.96Å,90° からのずれの角α7'=0~42'をもち,ビスマス過剰の相に存在する。このビスマス過剰相について,Bi3+イオンの有効イオン半径を1.20Åとしてイオン半径によるペロブスキー石型構造のトレランス・ファクターを考察した。また,BiFeO3固溶相のCuric点は組成により,90°から140℃までの範囲で見いだされた。BizFe409とBi2Mn4O10の両化合物は,前者はBi2(Mn1_xFex)4O9化学式の0.78<x<1,0で表わされる組成まで,後者はx<0.1まで固溶する。
  • 今井 弘
    1967 年 88 巻 7 号 p. 730-734
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ローダミンBは塩酸溶液中でSbCI6-, GaCI4-, AuCI4-, TICI4- および FeCI4-のような金属のクロロ錯体と反応して有機溶媒,たとえばベンゼンで容易に抽出されるローダミンB-金属クロロ錯体を形成する。 有機溶媒層に抽出されたこれらの錯体のモル吸光係数を測定し,そして修正したMcConnell-Davidsonの式を用いて,抽出した錯体を含む有機溶媒層の吸光度から塩酸溶液中におけるこれらの錯体の安定度定数を計算した。
    これらの安定度定数は金>アンチモン>タリウム>ガリウム>鉄の順に減少することが見いだされ,そしてこの順序はこれらの金属の電気陰性度の順序と平行である。
  • 藤沢 忠, 田中 信行
    1967 年 88 巻 7 号 p. 734-737
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    HEDTAと多量のカルシウムイオンを含む酢酸塩緩衝溶液中で,塩素イオンを加えて反応電流を測定し,Korytaの式と各錯体の安定度定数値から(1)および(2)式の解離反応の速度定数を決定した。いずれも,測定したpH範囲においては(3)式中水素イオンの一次の項が支配的で,25℃におけるk1の値はそれぞれ,(1)4× 105[H+]sec-1,(2)0.75 × 105[H+] sec-1であった。
  • 奥谷 忠雄
    1967 年 88 巻 7 号 p. 737-741
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヨウ素イオン,臭素イオンおよび塩素イオンが共存するとき,微量のヨウ素イオンまたは臭素イオンを定量する方法について研究した。
    pH7にたもった試料溶液に水銀試薬A(Hg(NO3)2-KI)の一定量とジフニニルカルバゾンのエタノール溶液を加えると,ヨウ素イオンは水銀試薬と反応し,過剰の水銀試薬はジフニニルカルバゾンと反応してベンゼンに抽出されやすい紫赤色の錯体を生成する。562mpの波長でベンゼン相の吸光度を測定することにより,塩素イオン100ppm,臭素イオン2ppmが共存するとき0.1~3.0ppmのヨウ素イオンを定量することができる。
    塩素イオンおよびヨウ素イオンが共存するとき,この方法では臭素イオンを定量することができないので臭素イオンの定量はつぎのように行なう。臭素イオンは過マンガン酸カリウムで臭素に酸化し,これを四塩化炭素で抽出する。四塩化炭素相に水,水銀試薬B(Hg(NO3)3-KI-Hg(SCN)2),硝酸およびジフユニルカルバゾン溶液を加えふりまぜる。560mμ の波長で四塩化炭素相の吸光度を測定し,臭素イオンを定量する。
    この方法により1000ppmの塩素イオンと50ppmのヨウ素イオンが共存しても,0.1~2.5ppmの臭素イオンが正確に定量できる。
  • 磯崎 昭徳, 内海 喩
    1967 年 88 巻 7 号 p. 741-744
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
     メチレンブルー・テトラフルオロホウ酸の錯塩はジクロルエタンに抽出される。この事実に基づいて,岩石中の微量のホウ素の簡単で迅速な定量法研究した。
    岩石が硫酸とフッ化水素酸の混酸で容易に分解されるときは,ポリプロピレン製ビーカーに試料0.1gをとり,これにこの混酸と過酸化水素を加え・水浴上で20分間加熱する。分解後その溶液をホウ素の含有量が10ppm(1μg/0.1g)以下あるいは以上によって,20mlあるいは200mlに水で希釈する。ポリエチレン製分液漏斗に希釈された飲料溶液の全部または一部(20ml)をとり,これにメチレンブルー溶液とジクロルエタンを加えてふりまぜる。有機相を分離後,硫酸銀溶液で洗浄し,ジクロルエタンを融解してから,対照液として波長660mμ で吸光度を測定する。混酸で分鰍にくい岩石については,試料を白金ルツボにとり炭酸ナトリウムで融解してから,ケーキをポリプロピレン製スピーカー中で,硫酸フッ化水素酸と過酸化水素水で処理し同じ方法で定量する。
    岩石中に普通存在している種々の物質はホウ素の定量を妨げない。本法により岩石中の0.5~100ppmのホウ素が満足すべき結果で定量することができた。
  • 山本 勇麓, 坪内 正弘, 沖村 一三, 高木 利治
    1967 年 88 巻 7 号 p. 745-748
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中に1,10-フェナントロリン-鉄(II)キレートの適当量と微量のクロロ白金(IV)錯陰イオンが共存するとき,ニトロベンゼンでふりまぜると赤色のキレート陽イオンと白金の陰イオンがイオン対となって有機相へ抽出されることを見いだしたので,このような現象に基づく微量白金の吸光光度定量法を検討した。すなわち,抽出におよぼすキレート濃度,塩化物濃度,pH,ふりまぜ時間・溶媒の種類,共存塩などの影響について検討し最適条件を定めた結果,8×10-6~4×10-5mol/lの白金濃度でBeer則が満足され,白金に対する撰択性の高い鋭敏な定量法であると認められた。なお抽出種の組成についても検討し,[Fe(Phen)3]2+・[PtCl6]2-(Phen:フェナントロリン)のようなイオン対として抽出されていることを明らかにした。
  • 安田 研爾
    1967 年 88 巻 7 号 p. 749-751
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホルムアミドをアルゴン, ベンゼン雰囲気中, およびアニリン,キノリンまたはフェノール溶液として, その沸点近くに加熱し, 熱分解を行なった, アルゴン雰囲気中ではアンモニア, 一酸化炭素, 少量のシアン化水素のほか, 大量の水, プリンを含む固体生成物, および相当量のギ酸が得られた。固体生成物は, シアン化水素の重合および未反応のホルムアミドとの反応によって生成したものと推定された。オキザミド, 水素, ヒドラジンなど, フリーラジカル同志のカップリングによって生成し得る化合物はいずれも検出されなかった。ベンゼン雰囲気中では, 生成した水は共沸混合物として系外に除去されるため,副次反応は起らないが, このとき生成したアンモニア, 一酸化炭素, 水と分解したホルムアミドのモル比は1:1:1:2に近くなった。また同時にギ酸の生成は加水分解によるものではないこともわかった。アニリン, キノリン, フェノールの中では,ギ酸は安定な誘導体になって留出しないが, 同時に一酸化炭素の発生もとまりアンモニアのみを生成した。これらのことにより, ホルムアミドの熱分解の中間体はギ酸であり, 一酸化炭素と水の生成源であると推定できる。すなわち, ホルムアミドの熱分解は, フリーラジカル型ではなく, イオン型であり, おそらくDavidson,Kartenの提案した機構によるものと考えられる。
  • 松木 保夫, 伊藤 イチ
    1967 年 88 巻 7 号 p. 751-754
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-プロム-3-メチル-および3-プロム-2-メチルチアナフテンと塩化アセチノレとの反応をニトロベンゼン中塩化アルミニウムの存在で実験し, 各種のアセチル置換体を得た。生成物の構造は, NMRスペクトルなどから確かめた。さらにこれらのアセチル体の酸化とSchmidt反応を行い, その生成物を検討した。
  • 松木 保夫, 庄子 房次
    1967 年 88 巻 7 号 p. 755-758
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼン核に2個の置換基を有するプロムメチルチアナフテン類の合成を研究した。プロムトルエンチオールの4種の異性体を合成し, これらをそれぞれプロムメチルフェニルーβ, β一ジメトキシエチルスルフィド類に変え, ポリリン酸を縮合剤とする閉環反応によって6種類のプロムメチルチアナフテンを新たに合成した。
  • 松木 保夫, 伊藤 イチ
    1967 年 88 巻 7 号 p. 758-763
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼン環の4~7位に臭素原子をもつブロムチアナフテン(Br-YN)とプロム置換3-メチルチアナフテンを合成し, これらを原料として2-および3-ホルミル体と相当するカルボン酸を合成した。m-プロムフェニル-β・β-ジメトキシエチルスルフィドと, m-プロムフェニルアセトニルスルフィドの閉環反応による生成物のNMRスペクトルの解析で, 前者では4-Br-TNと6-Br-TNの生成比率は約3;4, 後者では4-Br-3-メチル-TNと6-Br-3一メチルーTNを約1:3で生成する。Br-2-リチウム-TNとジメチルホルムアミドの反応で2-ホルミル体を, 臭素置換3-メチル-TNから3-ブロムメチル体を得てSommlet反応で3-ホルミル体をうる。またホルミル体の酸化で対応するカルボン酸を合成した。
  • 藤田 安二, 田中 洋一郎, 岩村 淳一
    1967 年 88 巻 7 号 p. 763-766
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    日本各地産のナギナタコウジュElsholtzia ciliata Hylanderの精油をガスクロマトグラフィーにより再検討した。
    精油の収率は生草の0.10~0.25%, 油分はα一ピネン1.0~8.9%, イソ吉草酸イソプチル1.3~6.1%, シネオール0.8~3.5%, ρ一シメン<0.1%, 酢酸-3-オクチル0.4~1.7%, 3-オクタノール0.8~4.9%,酢酸<0.1%,1-オクテン-3-オ一ル<0.1%, β-ナギナテン(?)0.5~3.0%, α-ナギナテン(?)0.6~22%, リナロール<0.1~3.5%,ショウノウ<0.1~1.4%, エルショルチアケトン26.4~60.6%, イソ吉草酸8.2~35.2%, ラクトン5.3~25.8%, ツワブキ酸<0.1%, イソカブロン酸<0.1%, n-カプロン酸<0.1%, ゲラニオール0.1~14.3%, ナギナタケトン<0.1~2.2%,その他からなることがわかった。
    これを既報の大阪府勝尾寺方面産の別系のナギナタケウジュが, その収油率生草の0.12~0.21%, 精油成分としてα-ピネン2.4~4.4%, リモネン0.5~3.4%, ρ-シメン0.1~0.8%, 3-オクタノール0.9~2.1%, 1-オクテン-3-オール1.8~2.6%,2-アセチル-3-メチルフラン1.8~4.6%, リナロール0.6~1.5%, エルショルチアケトン1.7~7.6%, イソ吉草酸0.6~2.4%,ツワブキ酸エステル3.2~I1.6%, ツワブキ酸8.1~19.4%,ナギナタケトン35.3~66.1%, セスキテルペンアルコール3.1~11.3%を含むことと比較し, 若干の化学分類学的議論を述べた。
  • 藤田 安二, 藤田 真一
    1967 年 88 巻 7 号 p. 767-769
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報のMentha Gattefossei Maireの精油成分と比較するために同一場所で栽培した M. Pulegium Linn.の精油成分をガスクロマトグラフィーで検索した。このものの精油は収率生草の0.64%,油分はα-ピネン0.1%, β-ピネン0.1%, リモネン0.1%, 3-オクタノン0.4%, 酢酸-3-オクチル0.2%, 3-オクタノール2.5%,3-メチルシクロヘキサノン3.2%,1-オクテン-3-オ一ル1.2%, l-メントン26.4%, d-イソメントン3.2%, l-イソプレゴン2.0%, メントール0.1%, d-プレゴン50.5%, ピペリトン1.8%, cis-ブレゴンオキシド1.4%, trans-プレゴンオキシド1.4%, その他5.6%からなることがわかった。
    この両油分でガスクロマトグラムのピーク総数は19, このうち両者同一のものが14ある。これを類縁度(similarity)14/19×100=74%と呼ぶことにする。これはこの両者がはなはだ近似であることを示す。しかし両者の差異として,このM.Pulegiumの油分のリモネン含有率は0.1%であるが, M.Gattefosseiのそれは3.4%であること, およびM.Gattefosseiの精油にはメント一ルは存在しないが, M.Pulegiumには微量ながらすでにメントールが含まれていることがあげられる。このことは精油成分の生成様式から見て, M.Pulegiumの方がM.Gattefossei よりも進化の度合(degree of evalutian)がやや高いことを示す。
  • 杉山 登, 山田 和俊, 杉山 邦夫, 片岡 寛
    1967 年 88 巻 7 号 p. 769-772
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-およびtrans-ベンジリデンアセトンを冷却下で紫外線照射し, cis-irans-cis-1, 3-ジフェニル-2, 4-ジアセチル-シクロプタン(A)を得た。Aを熱およびアルカリにより異性化し,cis-trans-irans-1, 3-ジフェニル-1,4-ジアセチル-シクロブタン(B)を得た。またベンジリデンアセトン,ケイ皮酸のフロンティア電子密度(fr), スーパーデローカリザビリティー(Sr)を計算し, 実験事実に対する二三の検討を試みた。
  • 安里 竜, 奥山 典生, 佐竹 一夫
    1967 年 88 巻 7 号 p. 772-777
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアミンオキシダーゼ系におけるインジゴカルミンの脱色機構は長年議論の対象となっていたが, 本文中に述べたように, o-ジアニシジンを用いるペルオキシダーゼ活性を基準として, 数種のペルオキシダーゼ標品についてインジゴカルミンの脱色作用を比較すると, オキシヘモグロピンの場合がもっとも強い脱色作用を示すことがわかった。そこでジアミンオキシダーゼとオキシヘモグロピンを共役させた結果, な実験に述べられたような脱色反応が起り, Kapeller-AdlerおよびZellerらの結果をともに矛盾なく説明できることになり, 従来種々の実験において測定された結果をも活用することが可能となった。このようにインジゴカルミンの脱色機構が明らかとなった結果, ジアミンオキシダーゼ系においても過酸化水素が生成されることが十分推定され, インジゴカルミンの脱色機構も明らかにされたものといえる。
  • 府川 秀明
    1967 年 88 巻 7 号 p. 778-782
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コムギグルテンなどのグルタミン高含有タンパクの特異な物理的性質を解明する手がかりの一つとして, ポリグルタミンの合成を行ない若干の性質を調べた。まずN-カルボン酸無水物法により, 平均分子量105, 2×104, 6×103の3種類のポリ-L-グルタベン酸-γ-メチルエステルを合成し, 液体アンモニアにより, アミド化することによりポリ-L-グルタミンとした。アミド化の条件を検討した結果, o-クレゾールに溶解し, 加温加圧の条件で円滑にアミド化が進んだ。ポザレグルタミンは対応するポリ-L-グルタミン酸-γ-メチルエステルに比較して, (1)有機溶媒に対する溶解度が低下する, (2)水に対しては親和性が強くなり, 溶解度もやや増加し, 吸湿性となる, (3)色素結合能が増大する, (4)極限粘度がやや低下する,などの変化がみられ, 側鎖アミド基の効果を示している。ポリ-L-グルタミンの水懸濁液を加熱すると極限粘度は低下するが, 側鎖アミドの開裂はほとんどみられない。ついでコムギグルテンなどのモデル物質としてコポリ-{L-グルタミン酸-γ-メチルエステル, L-レイシン(1:1)},コポリ-{L-グルタミン酸-γ-メチルエステル, L-ロイシン, L-プロリン(5:3:2)}およびコポリ-{L-グルタミン酸-γ-メチルエステル, L-ロイシン, L-プロリン, S-ベンジル-L-システイン(3:2:1:0.07)}を合成し, 同様にアミド化を行ない, そのアミド化物を合成した。いずれもアミド化により, ボリ-L-グルタミンの場合と同様の傾向を示した。ただし極限粘度は逆に増大した。
  • 帰山 享二
    1967 年 88 巻 7 号 p. 783-786
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルボキシル基をもつ連鎖移動剤の存在下でスチレンの重合を行なった。生成したポリマーの分子量の決定と末端カルボキシル基の定量を行なった。α-およびβ-メルカプトプロピオン酸, トリクロル酢酸, トリブロム酢酸の連鎖移動定数は, それぞれ7.7, 9.4, 2.7×10-2と3.0である。α-およびβメルカプトプロピオン酸の存在下ではポリマー1分子あたりほぼ1個, トリクロル酢酸では約0.3個のカルボキシル末端基をもつポリマーが生成した。 末端カルボン酸を塩化チオニルで酸クロリドとし,メタクリル酸β-オキシエチルとメタクリル酸メチルの共重合体と反応させてグラフトポリマーを合成した。濁度測定の結果はグラフトボリマーが生成したことを示す。しかしセルロースおよびポリピニルアルコールに対する不均一系でのグラフト化反応では,グラフト率は低かった。
  • 城 崇, 萩原 信衛, 村橋 俊介
    1967 年 88 巻 7 号 p. 786-789
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化ロジウム(皿)およびクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(1)二量体はSchiff塩基のカルボニル化の触媒作用を有し,コパルト触媒を用いた場合と同様にフタルイミジン誘導体を生成した。塩化ロジウム(II)水和物, クロロ(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルロジウム(I)およびクロロトリス(トリフェ二ルホスフィン)ロジウム(I)は触媒作用を示さなかった。水酸化μ ジウム(III)およびクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体を触媒としてアゾベンゼンをカルボニル化すると2-(3-オキシイソダゾール-2-イル)安息香酸のラクトンおよびN, N'-ジフェニル尿素を生成した。塩化ロジウム(III)水和物を触媒に用いた場合にはほとんど定量的にN, N'-ジフェニル尿素を生成した。また,クロロ(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルロジウム(I)およびク0ロトリス(トリフxニルボスラィン)ロジウム(1)は触媒作用を示さなかった。これと関連してSchifr塩塞およびアゾベンゼンとロジウム化合物の反応を検討し, 二三のアゾベンゼンのロジウム錯体を合成した。これら錯体は赤外吸収スペクトル, 核磁気共鳴スペクトルおよび化学反応によりその構造を検討した。
  • 世良 明, 後藤 良造
    1967 年 88 巻 7 号 p. 790-791
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    単糠類を濃厚リン酸カリウム熱水溶液中で分解するときに生成するアセトール(CH3-CO-CHH20H)の生成機構については, 著者らの研究室において十数年来系統的に研究が行なわれ, とくに放射性炭素(14C)を用いた実験からつぎの機構が提唱されるにいたっている。
    この機構はグルコースからアセトールが生成する場合に, 炭素鎖切断反応の前に3-ケトースまたはそのエノラートイオン(I)を生成する異性化反応を含んでいる。したがってこの機構が妥当なものであれば, 3-ケトースからのアセトール生成反応はグルコースからのそれよりもよりすみやかでより容易でなければならない。
    この仮定を実証するために,つぎの方法でケト形D-リボ-3-ヘキスロースのアセタート(VI)を合成した。
    得られた化合物(VI)はヘミアセタール環を形成していないカルポニル基をC3に有するヘキソースアセタートであって, 新しい形の単糖類アセタートである。この化合物は結晶化せず, bp0.05 138°~139℃, νc=o 1756cm-1, λmax273mμ, εmax109(エタノール)であった。得られた直鎖状3-ケト0スアセタート(VI)を濃厚リン酸カリウム熱水溶液(pH9.0)で分解蒸留した結果, 図1および表1に見られるように, 3-ケトースアセタートからのアセトール生成は, 比較のために用いたグルコースあるいはグルコースアセタートからのアセトール生成にくらべてすみやかであり, その生成量も多い。この事実は前記のアセトール生成機構が妥当なものであることを実証するものである。なおアセトール生成量は用いた緩衝液のpHにあまり依存せず,また同一条件下ではグルコースよりもグルコースアセタートの方がよりアセトールを生成しやすいことが認められる。後者はグルコースのC1またはC6に結合しているアセトキシ基が脱離しやすい基であるため, アセトールの生成を促進することから予期される結果であろう。
  • 柴田 村治, 西川 洋明, 紺谷 和夫
    1967 年 88 巻 7 号 p. 792-793
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 永井 洋一郎, 山崎 和夫, 小堀 宣政, 小杉 正紀
    1967 年 88 巻 7 号 p. 793-794
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 杉山 登, 山田 和俊, 青山 弘, 佐山 徳太郎
    1967 年 88 巻 7 号 p. 794-795
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 森川 久美子, 広瀬 善雄
    1967 年 88 巻 7 号 p. 795-796
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 7 号 p. A43-A48
    発行日: 1967/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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