日本化學雜誌
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91 巻, 5 号
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  • 正宗 直
    1970 年 91 巻 5 号 p. 407-430
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本論文は,C-ノル-D-ホモステロイドホルモン類の合成に関連して得られたエチオジュルバン類の立体化学,とくにC/D環の結合様式について,著者らの得た知見をまとめたものである。標題化合物はもともと,問題の変形骨格を有するアルカロイド,ジェルビンや11-デオキソジェルビン,あるいは正常ステロイド骨格を持つサボニンの一種,ヘコゲニンの転位によって得られたものである。しかしそれらのアルカロイドあるいは転位生成物のC12が不飽和炭素であるため,具体的にはC12-C13位に二重結合が存在するため,それらの飽和誘導体におけるCおよびD環の結合様式およびそれらの環上の置換基の立体配置は,長い間未知のままであった。しかしこの問題はエチオジェルバン類の化学の立場からはきわめて重要なものであり,それらの立体配置が明らかになつて初めて,エチオジェルバン類の種々の反応の配座解析が可能になるであろうと考えられる。
    本論文では初めに,種々のC-ノル-D-ホモステロイドホルモン類の合成および合成中間体の立体配置について述べる。つぎに,飽和のC12を有するエチオジェルバン類のうちもっとも古くから知られており.かつ重要な化合物,ジヒドロジxルビン,および関連化合物の立体化学について,従来の考え方を批判しながら議論を進める。最後にC/D環の安定性に対するC12-位の置換基の影響を述べるとともに,それまでに合成された多くのエチオジェルバン類のORD曲線およびNMRスベクトルの測定の結果得られた簡車な経験則について述べる。
  • 宇津木 弘, 渡辺 昭輝, 伊藤 晃逸, 西村 成興
    1970 年 91 巻 5 号 p. 431-439
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカゲル,アルミナ,酸化亜鉛,および磁性酸化物をエタノール,1-プタノール,または四塩化炭素に浸した状態でオートクレープ中で加熱,加圧し臨界点付近で排気することにより,原試料の表面は親油性に変化した。これら表面処理試料は四塩化炭素-水,1-ブタノール-水,ベンゼン-水の二相に分離する分散媒中で,有機分散媒の方に分散する6臨界点付近の温度での加圧処理では強磁性微粉休の磁性に変化は与えない。77°Kアルゴン吸着等温線の測定結果は処理,未処理試料ともに同じであることから,表面処理により毛管分布,表面積などの粉体特性は変化しないと認められた。示差熱および熱重量分析から付着基は200~300℃で分解脱離すること,元素分析および熱重量分析の結果から付着基はアルキル基またはCCl3基であり,元素分析および表面積から求められる単位表面積あたりの表面アルキル基およびCCl3基数は表面被積率が単分子層またはそれ以下のごく薄い被膜であることを示している。
  • 内海 浩之, 藤井 和利, 入江 秀雄, 古崎 昭雄, 仁田 勇
    1970 年 91 巻 5 号 p. 439-443
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-クマル酸の固相皿合の可能性を検耐するために,その結晶構造をX線解析法によって研究した。この結晶は単斜晶系に嘱し,8=8.71±0.01,b=5.26±0.01,c=17.24±0.02Å,β=100.0±0.2° なる大きさの単位格子中に,4個の分子を含んでいる。空間群はP21/Cである。反射強度は.GuKa線を用いて,β 舳およびb軸のまわりで等角傾斜法によって撮影した積分Weissenberg写真から.目視法で測定した。構造は賦膠法によって解き,異方惟温度因子を用いたブロック対角近似の最小二乗法によって精密化した。最終のR因子は12.9%である。最終のパラメーターで計算したD合成から,カルボキシル基の水素以外の全水素原子を見つけだすことができた。
    この分子は,カルボキシル基同志の強い水素結合(2・64Å)によって,対称中心のまわりに二量体を形成している.そらして,これの二量体は.さらにフェノール性水酸基同志の弱い水素結合(2.89Å)により,らせん軸のまわりに結びつけられ,(104)に平行な分子層を形成している。結局.この研究で見いだされた分子配列から,p-クマル酸はある適当な条件のもとでと水酸基と,カルボキシル基の縮合によって.ポリエステルに変わるかもしれないということが結輸される
  • 内海 浩之, 竹中 章郎, 古崎 昭雄, 仁田 勇
    1970 年 91 巻 5 号 p. 443-447
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-スチルパゾールジブロミドの脱奥化水索反応により生成する物質の一つ,Cis-β-ブロム-β-(2-ピリジル)スチレンの分子ならびに結融構造をX線法を用いて研究した。この結品は斜方晶系に属し,空間周群はPbca,a=11.47±0.01,b=22 .17±0.01,c=8.96±0.01Åなる大きさの単位格子中に8個の分子を含んでいる。反射強度はCuKa線を用いてa軸およびc軸のまわりで撮影した積分Weissenberg写真から目視法によつて測定した。最小値関数法によって近似構造を見いだし,各原子に異方性温度因子を用いた級小二乗法により精密化した.ベンゼン環とピリジン環はいずれもエチレン平面からかなりはずれておりとそれぞれ約37.0°,エチレン平面および62.3° の二面体角をなしている。臭素原子はほとんどc映進面上にあり,その上さらに,x/a=3/8,z/c=0 なる特殊な位置の近くに存在してい。
  • 羽藤 正勝, 藤平 正道, 中山 春夫, 篠田 耕三
    1970 年 91 巻 5 号 p. 448-452
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種フッ素化界面活性剤水溶液の25℃ における表面張力の濃度変化を測定した。炭素数が8~9以上のフッ素化界面活性剤は一般にクラフト点が高く,室温ではミセルを形成せず水和固体がより低濃度で析出してくるため表面張力が十分に低下しないものがあるが,室温でミセルを形成するものは,表面張力が15~20dyne/cmまで低下する。n-C7F15COOMeとその異性体i-C7F15COOMeについて表面張力を測定し炭化フッ素鎖の末端の枝わかれの影響を調べた。ナトリウム塩については枝わかれ構造の方がCMC以下では1~2dyne/cmCMC以上では4.4dyne/cm低い表面張力を示した。酸については低濃度では枝わかれのある方がよく低下するが高濃度では直鎖の方が低くなった。適度の枝わかれをもった方がクラフト点は低下するので,枝わかれ構造の炭化フッ素鎖をもったものの方が使用に便利な場合が多いであろうどフツ素化界面活性剤とドデシル硫酸ナトリウムとの混合物の表面張力の濃度変化の測定によれば,25dyne/cm程度の表面張力の水溶液を得るにはフッ素化界面活性剤を炭化水素型界面活性剤で20~50%程度までうすめても可能であることが示された。通常の炭化水素型界面活性剤と混合すると,気一液界面の表面張力の最低値は少々高くなるものの,油0水溶液間の界面張力を低下させ得るのでγW/A+γO/W<γO/Aの条件が満され,界面活性剤混合物水溶液を油表面上に拡げることが可能な腸合がある。非水溶媒中でのCnF2n+1(CH2)3OH,i-C9F19CH=CH(CH2)7CH3の表面活性能を調べた。比較的極性の大きい溶媒の表面張力は1%フッ素化界面活性剤を添加すると10~50%程度表面張力が低下するが,無極性溶媒の表面張力は1.5~4%しか低下させなかった。
  • 今井 弘, 八重橋 良勝
    1970 年 91 巻 5 号 p. 452-457
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    β-ジケトンのこ座配位キレート剤であるアセトアセチルフェロセン(Fc(acac))はナトリウムアミドの存在のもとでアセチルフェロセンに酢酸エチルを反応させて合成し,それに相当するキレート化合物をメタノール中でマンガン(II),コバルト(II),ニッケル(II),銅(II),亜鉛(II),クロム(III),鉄(III)の酢酸塩を用いて合成した。
  • 山田 喜代子, 尾嶋 平次郎
    1970 年 91 巻 5 号 p. 457-461
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サリチル酸メチル1 molに対し,グリシン,またはβ アラニン1 mol を縮合させ,それぞれN-(カルボキシメ.チル)サリチルアミド(A),およびN(カルボキシエチル)サリチルアミド(B)を合成した。AおよびBを銅(II)塩と反応させることによりCu-A錯体6種類.およびCu-B錯体3種類を単離した(表1および表2)。これらの配位子はそれぞれ異種の3配位グルーブをもっているが,その配位挙動が溶液のpH値にはもちろん反応温度にも大きく影響されることを知った。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1970 年 91 巻 5 号 p. 462-466
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ある種のカルボニル化合物共存下で,2-フェノキシ-1-フェニルエタノール(1)(E;X,Y,R=H)からフェノールとアセトフェノンあるいはベンズアルデヒドが生成する光反応における置換基効果を検討した。ペンゾフェノン共存下ではいちじるしい置換基効果が認められたが,1,4-ナフトキノン共存下では若干の効果が認められるにとどまった。前者の場合,その影響はつぎのようであった。
    i)アルコール(1)のフニノキシ基のベンゼン核に置換基Xを入れたときには,分解速度が置換基の種類によって,影響をうけた。さらに,その置換位置も分解速度に影響した。
    ii)アルコール(1)のα-位フェニル基のパラ位にクロル,メチル基あるいはメトキシル基が置換基Yとして導入されたときは,/いずれも,アルコール(1)よりすみやかに分解した。
    iii)アルコールのβ-位にフェニル基あるいはペンジル基が置換Rとしてはいったときには,アルコール(1)より分解は遅くなった。
  • 沢 夏雄, 保田 昌宏
    1970 年 91 巻 5 号 p. 466-469
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-位非置換の各種のイミダゾリンと二硫化炭素との反応により2-イミダゾリン-1-カルボジチオ酸塩およびエステルを合成し,それらの二三の性質を調べた。
  • 近藤 忠雄, 近藤 寿, 後藤 俊夫
    1970 年 91 巻 5 号 p. 470-474
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3β,5α-ジアセトキシ-7a-プロコレスタン-6-オンに螺化ホ慷ハリウ云を作用させる場合,鉛イオンが存在す触媒作用によると,そのつて3β,5α-ジアセトキシコレスタン-6-オンを生成するた。この反応の機構を解明するため速度論的見地から検討し。反応速度の測定方法は・旋光度(348mμ)の変化,および水素化ホウ素ナトリウムや遊離臭素イオンの滴定を用いた。脱臭素反応の大き姻子は,鉛イオ膿度と溶媒の極性試薬,とくに水分含量であるが還元試薬やα-プロムケトンの濃度も速度に影響し,の混合順序は誘導期に影響を与えた。一般の水素化ホウ素ナトリウムの還元反応とは異なってα-プロムケトンとのモル比は1:1で, そのさい約2.5molの水素ガスを発生した.ちなみにプロムケトンは,ジボランや接触的還元法では脱臭素されなかった。
  • 戸田 敬, 西野 徳三, 佐々木 賢, 向井 利夫
    1970 年 91 巻 5 号 p. 475-479
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4-アミノトロボン類の化学的性質を検討するために5-アミノトロポロンから7-位に種々の置換差(ハロゲン,メトキシル,トシルオキシ基)を有する4-アミノトロボン誘導体の合成を行なった。得られた4-アミノトロポン誘導体の親電子試薬に対する反応では,置換はいずれも5-位に起こることがわかった。しかし,2~3位の二重結合は比較的不活性で,付加脱離反応を行なう。4-アセトアミドトロボン誘導体に対する水酸イオンやヒドリドイオンの攻撃はアセトアミド基に起こり.7-位の置換基は反応し難い。4-アミノ-7-クロルトロポンの接解還元で,約30%の収率で4-アミノトロボンを得ることができた。
  • 保田 道子
    1970 年 91 巻 5 号 p. 480-484
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    β-ケト酸のエノールアセタートを得る日的で,遊離のβ-ケト酸あるいはそのアミドやエステル誘導体を酸触媒下,無水酢酸でアセチル化した.p-トルエンスルホン酸を触媒として,2-メチノレアセトアセチルモルホリンをアセチル化すると(1)が得られ,2-オキソシクロヘキサンカルボン酸のエステルやアミドからは,相当するエノールアセタート(2)および(3)が得られた.(1)はシリカゲルカラムクロトグラフィーにより,シス,トランス両異性体のエノールアセタート(1b),(1a)に単離された.しかし,遊離のβ-ケト酸のアセチル化では,予期した.ノールアセタートは得られなかった.硫酸触媒下,2-オキソシクロヘキサンカルボン酸を無水酢酸と反応させたところ,興味ある新しいスビロ形の化合物,2,2-ペンタメチレン-5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ(e)-1,3-ジオキシン-4-オン(4)が得られた.(4)はまた,2-オキソシクロヘキサンカルボン酸とシクロヘキサノンとから好収率で生成することがわかった.シクロヘキサノンのかわりにシクロペンタノンやアセトンを用いると,(4)と類似構造の(5)および(6)を生成した.これらの構造は,UV,IR,NMR,MSを測定して決定した.
  • 鈴木 仁美
    1970 年 91 巻 5 号 p. 484-489
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3種のテトラメチルベンゼンとそのモノクロルおよびモノブロム誘導体.ベンタメチルベンゼンおよびペンタエチルベンゼンを無水塩化アルミニウムの共存下に塩化オキサリルと反応させて対応する多置換安息香酸の合成を試みた.フロムテトラメチルベンゼンを除く8種の化合物からは対応する安息香酸が比較的好収率(40~67%)で容易に得られる.5-ブロム-1,2,3,4-テトラメチルベンゼンと4-プロム-1・2・3・5-テトラメチルベンゼンは反応のさいに臭素原子が離脱してテトラメチル安息香酸を与えるが,3-プロム-1,2,4,5-テトラメチルベンゼンからは4-ブロム-2,3,5,6-テトラメチル安息香酸と2,3,5,6-テトラメチル安息香酸の混合物が得られる.脱臭素化反応によって生じる高次の臭素化物は主としてジブロムテトラメチルベンゼンである.クロルテトラメチルベンゼンおよびペンタアルキルベンゼンの反応では,副生成物としてクロルペンタメチルベンゼンまたはヘキサアルキルベンゼンと.1個のアルキル基の離脱によって生じたとみなされる構造の九置換ベンゾフェノンが得られる.3種のテトラメチル安息香酸およびそれらのクロルおよびブロム誘導体,ペンタメチルおよびペンタエチル安息香酸,ならびにこれらの多置換安息香酸のメチルエステル類のブロトン化学シフトおよび赤外吸収スペクトルを測定した.
  • 黒田 勝彦, 石川 延男
    1970 年 91 巻 5 号 p. 489-494
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    sym-トリクロルトリフルオルベンゼンに,これに対し2倍あるいは3倍モル比のn-ブチルリチウムならびにトリメチルクロルシランを同時に反応させることにより,トリクロルトリフルナルベンゼンの塩素原子が2個あるいは3個トリメチルシリル基によって置換され,5-クロル-2,4,6-トリフルオル-1,3-ビス(トリメチルシリル)ペンゼンあるいはsym-トリフルオルトリス(トリメチルシリル)ベンゼンが得られた。同様に1,3-ジクロル-2,4,5,6-テトラフルオルベンゼンから2,4.5,6-テトラフルオル-1,3-ビス(トリメチルシリル)ベンゼンが得られた。ポリクロルフルオル(トリメチルシリル)ベンゼン類をリチウム化し,ついで加水分解あるいはカルボキシル化することによりいくつかのフルオル(トリメチルシリル)ベンゼン類あるいはフルオル(トリメチルシリル)安息香酸類を得ることができたまた. ここで得られた含フッ素トリメチルシリルベンゼン類について,それらの1Hおよび19F NMRスベクトルを検討した
  • 世良 明, 竹村 年男, 井上 義治, 真柄 吉郎, 瀬口 和義, 後藤 良
    1970 年 91 巻 5 号 p. 494-497
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 野村 俊明, 池田 隆, 小松 寿美雄
    1970 年 91 巻 5 号 p. 497-499
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 宮本 弘, 名畑 和幸
    1970 年 91 巻 5 号 p. 499-500
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小泉 英, 大内 新一
    1970 年 91 巻 5 号 p. 501-503
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 岡本 淑子
    1970 年 91 巻 5 号 p. 503-504
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 91 巻 5 号 p. A25-A29
    発行日: 1970/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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