日本化學雜誌
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92 巻, 6 号
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  • 小杉 正紀, 右田 俊彦, 永井 洋一郎
    1971 年 92 巻 6 号 p. 477-490
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    脂肪族化合物の塩素分子と次亜塩素酸t-ブチルによる遊離基的塩素化に対する構造と反応性の関係を系統的に研究する目的で, 2, 2-ジクロルプロパンのメチル水素1個の反応性を基準とする相対的反応性を求めた。
    CH3-X型化合物についてHammett-Taftの取り扱いを行なった結果,相対的反応性の対数とTaftの極性置換基定数σ*値との間には直線関係が存在することが明らかになり,塩素原子に対する水素引き抜き反応においてはρ*値は-0.95, t-ブトキシ遊離基に対する水素引き抜き反応においてはρ*値, -0.69を得た。塩素原子による水素引き抜きに関してはクロルアルカン類とそのケイ素類似体の反応性の比較について検討を加えた。ケイ素化合物についてはσ*値を用いて反応性を体系化することはできないが, NMR13C-Hカップリング定数を用いると相当する炭素化合物と定量的に反応性を比較検討することができた。
    また脂肪族化合物を〓,型化合物と考え,置換基(R, R', R'')の極性効果に加成性があるとして取り扱うことにより反応性におよぼす影響を感応効果,共役効果,立体効果に分離できることを示した。
  • 井上 好昌, 長谷川 貞夫, 河口 武夫
    1971 年 92 巻 6 号 p. 491-495
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    空気中, 100-400°Cで熱処理した亜鉛およびカドミウムの過酸化物触媒の常磁性イオンの挙動とその表面性質を調べた結果,亜鉛の過酸化物触媒では常磁性表面トラップである Zn(i)+, O2-あるいはHO2,非常磁性表面トラップであるZn(i)2+, O〓2-(格子点からはずれた酸素イオン)などが2, 2-ジフェニル-1-ビクリルヒドラジルと反応すること,さらに,表面トラップ濃度は一般にそれぞれ過酸化物触媒の塩基性度およびアセトアルデヒド縮合反応の速度比例することがわかった。なお,カドミウムの過酸化物触媒についても同様な結果が得られた。
  • 羽藤 正勝
    1971 年 92 巻 6 号 p. 496-500
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    オキシエチレン鎖長に分布のない, C12H25(OCH2CH2)nOSO3M(M-1/2Ca, Na)を合成してクラフト点を測定した。その結果カルシウム塩,ナトリウム塩ともクラフト点がオキシエチレン鎖長とともに低下すること,とくにカルシウム塩のクラフト点は効果的に低下することがわかった。したがって,この型の界面活性剤はカルシウムイオン存在下でも作用し, C16H33, C18H37といった長鎖同族体も使用可能となる。
    ナトリウム塩の硬水中での溶解性,オキシエチレン鎖長の分布のクラフト点への影響を知るため,界面活性剤混合物のクラフト点を測定した。界面活性剤混合物のクラフト点は,クラフト点が界面活性剤水和固体の融点であり,混合ミセルをつくり,融解した無機塩の凝固点が他の無機塩の添加により低下するのと同様の理由で低下すると考えることにより半定量的に説明される。
  • 井上 広保, 星 敏彦, 谷崎 義衛
    1971 年 92 巻 6 号 p. 501-503
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    2-アントラキノンスルホン酸ナトリウム誘導体および1, 8-ジスルホン酸ナトリウム誘導体の延伸PVA膜中における二色性スペクトルを220mμ以上の波長領域で測定し,アントラキノンおよびこれらのスルホン酸誘導体の各吸収帯の分極方向について考察した。その結果,アントラキノンは220mμ以上に四つの吸収帯を324, 272, 252および240mμ付近にもち,324と252mμ帯は分子面内でC=O結合軸に垂直方向に分極し, 272と240mμ帯はC=O結合軸の方向に分極していることが明らかになった。また,ここで得られた実験結果をすでに報告されているMO計算の結果と比較検討した。
  • 岩本 一星, 吉田 俊久, 青沼 孝正
    1971 年 92 巻 6 号 p. 504-507
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    Raneyニッケルによるアルキルメチルケトンの液相水素化の速度論から,ケトンの水素化の反応機構および反応性を検討した。
    アルキルメチルケトンの水素化の反応機構には,既報1)で提示したアセトンのそれがそのまま適用できることがわかった。
    n-ヘキサンを溶媒にした場合,半水素化ケトンと解離吸着水素が反応する段階が律速となり,その活性化エネルギーはケトンにより差が認められなかった。また各ケトンの吸着熱はアセトンのそれと同じであった。
    一方,1-プロパノールを溶媒とした場合,ケトン-水素コンプレックスが第二アルコールに変わる段階が律速となり,その活性化エネルギーはケトンにより差が認められた。
    競争反応法により求めた各ケトンの吸着平衡定数の対数,および見かけの速度定数の対数とTaftの置換基定数σ*との間には,よい直線関係が成立した。
  • 中垣 正幸, 嶋林 三郎
    1971 年 92 巻 6 号 p. 508-513
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ポリビニルピロリドン(PVP)濃厚水溶液について高分子濃度cpおよびずり応力σまたは速度勾配gの粘度ηに対する影響について研究した。その結果, PVP K-90(〓η=79×104)においてはgの増加とともにηは低下し構造粘性を示すが, PVP K-30(〓η=3.8×104)においてはgの増加とともにややηが増加してダイラタントな傾向がみられた。これはポリビニルアルコール(PVA)の低分子量の試料についてもみられていることである。
    K-90の構造粘性はPhilippoffの式によって表現できる。構造粘性の度合をあらわすために降伏値に相当するパラメーターγおよび粘度の比η0/η∞(ただしη0, ηはそれぞれg→0, g→∞への外挿値)をとるとそれらは温度の上昇または高分子濃度の低下によって減少してくることがわかった。
    つぎに溶液の相対粘度ηrelと高分子濃度cpとの関係をサスペンションの粘度式と比較するために(lnηrel)-1と(1/cp)との関係を検討した。 K-90についてはg→0に外挿した粘度については直線関係はみられなかったが, g→∞に外挿した粘度の場合には直線関係が認められた。同様の直線関係はK-30の場合にも認められた。
    温度Tに対する粘度ηの変化はlogηと1/Tとが直線関係を示し
    η=Aexp(ε/RT)
    なるAndradeの式によって表わされる。この式に基づいて流動の活性化エネルギーを求めると3-4kcal/molとなり,溶媒である水の流動活性化エネルギー3.2kcal/molと同程度の値が得られた。したがってPVP水溶液の相対粘度ηrelは高分子濃度cpのみによってきまり,温度にはほとんど無関係に一定になった。
  • 富田 茂男, 玖村 照彦, 服部 英, 田部 浩三
    1971 年 92 巻 6 号 p. 514-519
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    アルミニウムとマグネシウムの組成比の異なる数種の二元酸化物を,炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム水溶液中でアルミニウムとマグネシウムの塩から合成して得たハイドロタルサイトを300-900°Cで焼成することにより調製した。これらの二元酸化物の酸塩基性質および還元性質を測定し,表面積,示差熱テンビン分析,X線回折および赤外吸収スペクトルの結果から物理的性質を検討した。酸強度は弱く,H0=+4.8程度であり,その強度の酸量は焼成温度の上昇とともに増大し,組成比に関してはMg/Alの比が3のとき極大値を示す。他方,塩基強度は強く(H-=17.2),塩基量も1.4mmol/gといういちじるしく大きい値を示し,焼成温度500°Cのとき極大となり,Mg/Alの比によって複雑に変化することを見いだした。また還元性も有し,その量は排気処理によっていちじるしく増大することを認めた。ハイドロタルサイト中に含まれている二酸化炭素の結合状態は組成により異なり,Mg/Alの比が大きくなるにしたがって二座型結合から一座型結合に変わることが認められた。また,Mg/Alの比が大きくなると,混晶を形成していない酸化マグネシウムの表面に見られる水酸基の吸収が観測された。X線回折によると,Mg/Alの比のかなり広い範囲にわたりハイドロタルサイトの混晶が形成され,これを焼成して得られる二元酸化物中に含まれる酸化マグネシウムの結晶は,水酸化マグネシウムを焼成して得られた酸化マグネシウムにくらべていちじるしく小さい。
  • 太田 直一, 寺井 稔
    1971 年 92 巻 6 号 p. 519-521
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    人体結石(胆石10例,尿石9例)とその関連体液(血液と胆汁は水銀中毒でない8例の剖検体から採取,尿は健康人8名から得た)の水銀含量を,ジチゾンにより吸光光度定量し,つぎの平均値を得た。
    胆石4.8±1.4 ppm,尿石2.6±1.5 ppm,血液0.46±0.26 μg/ml,胆汁0.54±0.31 μg/ml,尿25±11 μg/l水銀は,すべての胆石中に含まれているが,銅,マンガンおよび鉛のような既報の重金属成分にくらべ,量が非常に少なく,また,形成過程での濃縮度もずっと低い。これらの結果から,水銀は胆石形成では,特別な役割を果していないものと推察される。胆石中では,水銀はほぼ亜鉛の量に比例して多くなっているように思われる。
    尿石中の水銀含量は,正常人尿の約に100倍になっている。
  • 小沢 敏夫
    1971 年 92 巻 6 号 p. 522-524
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    スチルバゾを用いて微量のチタン(IV)の吸光光度定量法を検討した。
    チタンとスチルバゾの呈色はpH 4.0では570mμに,またpH 5.85では520mμに吸収極大がある。
    520mμでは0~0.3ppmのチタンの定量が行なえる。モル吸光係数は9.2×104, 0.001の吸光度の感度は5.2×10-4μg Ti/cm2であり,分析感度はきわめて高い。ジルコニウム(IV),モリブデン(VI),バナジウム(V),アルミニウム(III),鉄(III),インジウム(III),銅(II),ベリリウム(II)などがいちじるしく定量を妨害する。
    570mμでは0.072~0.3 ppmのチタンが定量でき,ジルコニウム(IV),モリブデン(VI),バナジウム(V),タングステン(VI),トリウム(IV)などがいちじるしく妨害する。
  • 杉森 滋
    1971 年 92 巻 6 号 p. 525-528
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    N,N-ジクロル-α-(p置換フェニル)-p-置換フェネチルアミン〔1a~e〕,およびN-クロル-α-(p-置換フェニル)-p-置換フェネチルアミン〔4a, b〕は硫酸-酢酸溶液中, 0~5°C,鉄(II)触媒により炭素-炭素開裂反応をして,塩化p-置換ベンジル〔2a~c〕とp-置換ベンズアルデヒド〔3a~c〕を与える。同様にして, N,N-ジクロル-α-(p-置換べンジル)-p-置換フェネチルアミン〔5a~d〕は塩化p-置換ベンジル〔2a~C〕の混合物を与えるが,他方のp-置換フェニルアセトアルデヒドは単離することができなかった。塩化p-置換べンジルの生成量はその置換基の性質により異なる。その生成量についてHammett則が成立し, ρ値は5.1である。この炭素-炭素開裂反応は銅(I),クロム(II)触媒によっても起こるが, Mohr塩,無触媒の場合は起こらない。この分解反応はSN2型の置換応で進むと推論される。
    N,N-ジクロル-α-アルキル-p-置換フェネチルアミン〔6a~e〕, N-クロル-α-アルキル-p-置換フェネチルアミン〔8a~e〕は炭素-炭素開裂反応を起こさず,それぞれに相当するケトン類〔7a~e〕を与える。
  • 杉森 滋
    1971 年 92 巻 6 号 p. 528-532
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    N, N-ジクロル-α-置換ベンジルアミン〔1a~c〕のベンゼン溶液を太陽光または高圧水銀灯で照射するとそれぞれの原料に相当するアルキルアミン塩酸塩〔2a~c〕が40.0~46.5%の収率で, α-ベンゼンヘキサクロリドが少量生成し,その他に〔1a〕からケタジン誘導体〔3〕, 〔1b,c〕からN, N-ジクロルヒドラジン誘導体〔4, 5〕が12.4~17.2%の収率で生成する。
    1c, d〕のシクロヘキセン溶液の光照射反応ではN-クロル-α-置換ペンジルアミン〔6c, d〕が49.6~58.0%の収率で生成し,それぞれの原料に相当するアルキルアミン〔2c, d〕が8.4~12.3%の収率で生成する。
    N, N-ジクロルアルキルアミンの光化学反応はクロルアミニルラジカル中間体を経て進行すると推測される。
  • 浅野 達男, 長崎 民平, 今井 忍, 大方 勝男, 花房 昭静
    1971 年 92 巻 6 号 p. 532-538
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    2, 3-ジヒドロ-2, 3-ジメチル-2, 3-メタノ-1, 4-ナフトキノン〔1〕を亜鉛末と酢酸によって還元すると,その反応条件によって6, 8-ジメチル-6, 7, 8, 9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-5, 9-ジオン〔2〕が主生成物になる場合と,さらに還元が進んだ6, 8-ジメチル-5, 9-エポキシ-6, 7, 8, 9-テトラヒドロ-5Hベテン-5-オール〔3〕が主生成物になる場合とがあることを認めた。これら両生成物のNMRスペクトルの解析,生成物の化学反応性から,前者では2種のメチル基が環に関してトランスになり,後者では酸素を含む六員環はイス形,シクロヘプテン環は舟形の配座の方が優位であり,2種のメチル基はたがいに環に関してシスであることを示した。
  • 国近 三吾, 岡 信三郎, 杉山 卓, 井上 長三, 一居 誠
    1971 年 92 巻 6 号 p. 539-542
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    AlBr3・HBrの作用による1, 2-ジトリルエタン(以下DTEと略記する)の異性化をトルエン中,50°Cで行なった。異性体分布の経時変化をガスクロマトグラフィーで決定した。出発物質としてDTEのo, o'-, m, m'-, p, p'-体のいずれを用いても,平衡時における異性体分布は,およそ[m, m']=42%[m, p']=35%,[o, m']=12%,[p, p']=7%,[o, p']=4%(o, o'-体はコン跡量)となった。また,同様な条件下で1, 2-ジフェニルエタンをトルエン中で反応させると,転位生成物の1-フェニル-2-トリルエタンおよびDTEは,それぞれ一定組成をたもちながら増加した。これらの結果から,DTEのトルエン中での異性化は,おもに分子間反応よりも速い分子内1, 2-シフト機構により進むと考えられる。
  • 柘植 乙彦, 又賀 駿太郎
    1971 年 92 巻 6 号 p. 543-547
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    臭化テトラエチルアンモニウム存在下のN-スルフィニル-p-トルエンスルホンアミドとスチレンオキシドとの反応について検討し,現在まで知られているN-スルフィニリン類と1, 2-エポキシドとの反応とは異なり,N-スルフィニル化合物とオキシドのと2:1付加体からの脱二酸化イオウに対応する3-フェニル-2, 5-ジ-(p-トリルスルホニル)-1, 2, 5-チアジアゾリジン1-オキシドと2種のアミノアルコ-ル体とが生成することを見いだした。また, 1, 2, 5-チアジアゾリジン体の生成径路との関連から1-(p-トリルスルホニル)アジリジンとの反応を検討し,ベルヒドロ-1, 2, 3, 6-チアトリアジン体が好収率で得られた。これら化合物の生成径路についても若干の考察を行なった。
  • 仏願 保男, 吉田 滋夫, 武藤 正男, 尾藤 忠旦, 松浦 輝男, 中島 路可
    1971 年 92 巻 6 号 p. 548-551
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    (+)-シトロネラール〔1〕から(-)-シトロネロニトリル〔3〕に導いた。〔3〕の光増感酸素化反応で得られるホトベルオキシドの混合物〔4〕を亜硫酸塩で還元してモノアルコール体の混合物〔5〕および〔6〕に導いた。〔5〕は酸処理または加熱によって脱水してジエン化合物〔7〕を与えることから〔6〕と〔7〕をそれぞれ単離した。〔7〕を高温(500°C)熱処理するとアクチニジン構造異性体〔9〕を与えた。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1971 年 92 巻 6 号 p. 552-555
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ある種のカルボニル化合物共存下, 2-フェノキシ-1-フェニルエタノール〔E〕はフェノール〔PH〕とアセトフェノン〔AP〕あるいはベンズアルデヒド〔BA〕に光分解した。
    今回は,さらに,数種の環状ケトン類共存下のアルコール〔E〕の光反応において,このべンズデヒドとアセトフェノンの生成比(+〔BA〕/+〔AP〕)を調べた。その結果,
    i) α-テトラロンあるいは4-クロマノン共存下の場合,この生成比はおの 8.0×10-2, 4.0 ×10-1 (ベンゾフェノン共存下 2.9×10-2)であり,アセトフェノン生成が優先していた。
    ii) クロモン,アントロン,キサントンあるいはアントラキノン共存下の場合,この生成比はおのおの 1.1×10, 5.3×10, 1.1×102, >9.4×102 (1, 4-ナフトキノン共存下, >2.5×102)であり,逆にベンズアルデヒド生成が優先していた。
    なお, 1,4-ナフトキノンとアントラキノン共存下の場合では,分解生成物にいちじるしい差が認められた。すなわち,前者の場合フェノールが好収率で得られたのに対し,後者の場合かわりにアニソールが収率よく生成した。
  • 二川 修治, 島岡 悟郎, 桂 博二, 金子 武夫
    1971 年 92 巻 6 号 p. 556-559
    発行日: 1971/06/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    さきに第1~3報において,グリシド酸同族体のナトリウム塩の加アンモニア開裂では,α-アミノ-β-ヒドロキシ酸およびβ-アミノ-α-ヒドロキシ酸が生成することを報告した。この開裂反応がエポキシ環に隣接する置換基の影響をどのように受けるか,また求核試薬の性質によってどのように変化するかを究明するため,本研究ではグリシド酸同族体のエステルおよびアミドについて,アンモニア水,ベンジルアミンおよびα-メチルベンジルアミンによる開裂反応を検討した。その結果,アンモニア水による開裂の場合には,β-アミノ酸の他に少量のα-アミノ酸の生成が認められたが,アミン類による開裂では,β-アミノ酸のみが認められた。
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