パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
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30 巻, 3 号
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追悼
原著
  • 中島 実穂, 丹野 義彦
    2021 年30 巻3 号 p. 134-143
    発行日: 2021/12/17
    公開日: 2021/12/17
    ジャーナル フリー

    個人間感情制御は,ソーシャルサポートといった社会的資源を活用した感情制御である。個人間感情制御に対する志向性には個人差があり,Williams et al. (2018)はそれを測定するツールとして,Interpersonal regulation Questionnaire (以下IRQとする)を開発した。本研究ではIRQ日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。分析の結果,IRQ日本語版の因子構造は,原版同様,4因子構造であることが示された。またそれぞれの下位尺度は,十分な内的信頼性と再検査信頼性,ある程度の併存的妥当性を有していることが確認された。さらにIRQの下位尺度のうち2つは,情緒的ソーシャルサポートによる感情制御効果に寄与していることが示された。今後,IRQをソーシャルサポートの介入に活用していくことは,介入の効率化,及び効果の増大に貢献すると期待される。

  • 村山 幸子, 小林 江里香, 倉岡 正高, 野中 久美子, 安永 正史, 田中 元基, 根本 裕太, 松永 博子, 村山 陽, 村山 洋史, ...
    2022 年30 巻3 号 p. 151-160
    発行日: 2022/02/02
    公開日: 2022/02/02
    ジャーナル フリー

    世代継承性は元来中年期の心理社会的課題とされてきたが,近年は高齢期の課題としても注目されている。本研究は,高齢期の世代継承性を多元的かつ簡便に測定できる改訂版世代継承性尺度(以下,JGS-R)を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。日本語版Generativity尺度(大場他,2013)をもとにJGS-Rの項目を作成し,都市部在住高齢者1,393名に質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果,「世代継承的行動」,「世代継承的関心」,「世代継承的達成感」という3因子が抽出され,確認的因子分析により因子妥当性が確認された。この3因子をもとに作成した下位尺度は,いずれも高い内的整合性が認められた。さらに,JGS-Rの各下位尺度得点は他世代との会話頻度,他世代への手段的・情緒的サポートの提供頻度,および地域における子育て支援行動と正の相関関係にあり,このことから尺度の基準関連妥当性が認められた。

  • 三枝 弘幸, 内村 慶士, 谷川 智洋, 下山 晴彦
    2022 年30 巻3 号 p. 174-185
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,アバター通信を用いたオンライン心理支援における,非言語コミュニケーションの豊富さと対面性の低さの役割を検討するために,比較実験を行った。実験参加者は,ほぼ全員が学生であった。実験1においては,22名のクライエント役が動くアバターと動かないアバターの2つの形式のアバター通信による心理面接を体験し,各面接を評価した。各面接の評価点の差をt検定で分析した結果,アバター通信を用いた心理支援における心理士の非言語コミュニケーションの豊富さの有効性が示唆された。実験2においては,24名のクライエント役がアバター通信とビデオ通話の2つの通信形式による心理面接を体験し,各面接を評価した。各面接の評価点の差をt検定で分析した結果,アバター通信を用いた心理支援における心理士の対面性の低さの有効性が示唆された。以上の実験結果から,オンライン心理支援におけるアバター通信の活用可能性が示唆された。

  • 徳岡 大, 解良 優基
    2022 年30 巻3 号 p. 186-198
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー
    電子付録

    2×2達成目標モデルにおいて,課題要求の達成を目指す習得接近目標と,課題要求の達成失敗の回避を目指す習得回避目標は,行動指標のどのような側面に影響がみられるか明確でなかった。本研究の目的は,ウィスコンシンカード分類課題を用いて,習得回避目標の影響が,誤答後試行にのみ反応時間の遅延がみられるか明らかにすることであった。大学生および大学院生140名を対象に実験が実施された。達成目標は,教示によって習得回避目標,習得接近目標,遂行回避目標,統制の4条件が操作された。反応時間を従属変数とし,ex-Gaussian分布を仮定した一般化線形混合モデルによって,操作された達成目標と1試行前の正誤反応の及ぼす影響を検討した。その結果,習得回避目標条件においてのみ,1試行前が誤答だった場合に反応時間の遅れがみられ,習得接近目標条件,遂行目標条件および統制条件においてはこのような反応時間の遅れはみられなかった。

ショートレポート
依頼論文
  • Dimitri van der Linden, Curtis S. Dunkel, Peiqian Wu
    2022 年30 巻3 号 p. 199-211
    発行日: 2022/03/07
    公開日: 2022/03/07
    ジャーナル フリー

    It has been proposed that the hierarchical structure of personality contains a general factor, representing the shared variance of lower-order personality traits, such as the Big Five. This general factor of personality (GFP) reflects a mix of socially desirable traits. There is a scientific debate on whether the GFP mere arises due to measurement artifact (e.g., social desirability bias), or whether it is largely substantive. In the substantive view of the GFP, the factor is proposed to be mainly social effectiveness or resilience. In the present article we focus on advancements on GFP research in two applied areas, namely occupational behavior and clinical psychology. We discuss research showing that, in the work domain, the GFP positively relates to supervisor-rated and objective job performance, and leadership. In line with the social-effectiveness account, the GFP also is associated with more interest in social jobs. In the clinical domains, low GFP scores have shown to be related to a wide range of psychopathologies and difficulties in dealing with everyday life. In conclusion, we argue that the GFP may have significant theoretical and practical implications.

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