パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
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ISSN-L : 1348-8406
32 巻, 2 号
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原著
  • 上田 皐介, 稲垣 勉, 山形 伸二, 加藤 弘通
    2023 年 32 巻 2 号 p. 57-68
    発行日: 2023/07/18
    公開日: 2023/07/18
    ジャーナル フリー

    本研究は,外向性・内向性を印象づける自己呈示の前後で呈示者の顕在的・潜在的外向性に変化が生じるか,および公的状況(隣室に他者がいて,その人に個人情報を伝えたうえで自己呈示する)と私的状況(録音のみで個人情報も明かさずに自己呈示する)でその変化の大きさが異なるかを検討した。62名の参加者を2(呈示特性:外向性・内向性)×2(状況:公的・私的)の4条件に無作為に割り当てた。顕在的・潜在的外向性のそれぞれについて,測定時点(自己呈示前・後)を個人内要因とする3要因の分散分析を行った。その結果,潜在的外向性についての測定時点の主効果のみが有意であり,自己呈示は呈示特性,状況にかかわらず潜在的外向性を高める一方,顕在的外向性には影響しないことが示された。潜在的外向性に変化が生じたメカニズムや先行研究との結果の不一致が生じた理由,特に直前の測定が顕在的外向性の変化を抑制した可能性について考察した。

  • 柴田 康順
    2023 年 32 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2023/09/04
    公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究は,自己像の不安定性が自己注目に影響し,自己注目から心理的ストレス反応に影響するプロセスにおけるアイデンティティの媒介効果について検討することを目的とした。大学生および大卒者を対象とした質問紙調査を行い,構造方程式モデリングを行った。その結果,自己像の不安定性は反芻,混乱を強め,反芻,混乱はともに心理的ストレス反応を全体的に強めていた。省察は統合を強め,混乱を弱めていた。混乱は心理的ストレス反応を全体的に強める一方,統合は無気力を弱めるのみであった。同じモデルで媒介分析を行った結果,アイデンティティは,反芻と心理的ストレス反応の間で部分媒介,省察と心理的ストレス反応の間で完全媒介していた。本研究の結果から,アイデンティティの問題は自己像の不安定性に起因した反芻,混乱によってメンタル不調に陥る可能性があること,自己像の不安定性および反芻への介入がメンタル不調の予防に有効であることが推測される。

  • 下坂 剛, 小塩 真司
    2023 年 32 巻 2 号 p. 102-112
    発行日: 2023/10/16
    公開日: 2023/10/16
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究の目的は,就学前の子どもの年齢で分けた3群(第1子が1歳,3歳,5歳)において,父親における妻へのサポートが育児関与を介して主観的幸福感を説明している程度を検討することである。600人の父親を対象にインターネット調査を実施した。3群における各尺度の測定不変性の検討が行われた。その上で,3群の多母集団同時分析により,「妻へのサポート」から「しつけ」と「家事」には有意なパスが示されたが,「しつけ」と「家事」から「主観的幸福感」には有意なパスは示されなかった。また,3歳児の子をもつ父親において他の2群に比べて,「妻へのサポート」から「心理的ケア」により強いパス,「心理的ケア」から「主観的幸福感」により強いパスがそれぞれ示された。子どもの発達に伴って,父親の育児関与の様相は変化し,3歳頃の子どもとの心理的ケアによる関わりが,父親自身の主観的幸福感を高めるという有益な知見が得られた。

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