パーソナリティ研究
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19 巻 , 2 号
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原著
  • 井合 真海子, 矢澤 美香子, 根建 金男
    原稿種別: 原著
    2010 年 19 巻 2 号 p. 81-93
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,境界性パーソナリティ障害(borderline personality disorder: BPD)周辺群を対象として,認知行動理論的視点から,見捨てられスキーマとBPD周辺群が示すBPDの徴候との関連を調べることを目的とした。調査1・2では,大学生452名を対象に質問紙調査を実施し,見捨てられスキーマ尺度(the Abandonment Schema Questionnaire: ASQ)を作成した。その結果,ASQは「恒常的な見捨てられ・孤独」,「親密な関係に対するしがみつき・同一視」,「他者からの好意に対するあきらめ」の3因子構造であることが示され,信頼性・妥当性も確認された。調査3においては,大学生253名を対象に,BPD周辺群の徴候と見捨てられスキーマの関連を調べた。パス解析の結果,見捨てられスキーマは,感情の不安定性を介してBPD周辺群に顕著にみられる様々な行動化に影響を与えている,という因果モデルが導かれた。今後は,ASQの大学生以外の適応可能性を検討することが求められる。
  • ――二次元レジリエンス要因尺度(BRS)の作成
    平野 真理
    原稿種別: 原著
    2010 年 19 巻 2 号 p. 94-106
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    レジリエンスは誰もが身につけられる精神的回復力であると言われているが,レジリエンスを導く多様な要因の中には後天的に身につけやすいものと,そうでないものがあると考えられる。本研究では,それらの資質的・獲得的な要因を分けて捉えるために,Cloningerの気質–性格理論(TCI)を用いて二次元レジリエンス要因尺度(BRS)を作成することを目的とした。大学生ら246名を対象に調査を行い,TCIとの関連性から選出された項目の探索的因子分析により,資質的レジリエンス要因として「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」,獲得的レジリエンス要因として「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」の7因子が見出された。さらに759名へ調査を行い,確認的高次因子分析および既存尺度との関連から,BRSの二次元構造と妥当性が確認された。また,TCIの気質・性格との関連性から,下位尺度の基準関連妥当性が確認された。
  • Kumiko Mukaida, Hiroshi Azuma, Lauren Shapiro Crane, David S. Crystal
    原稿種別: Articles
    2010 年 19 巻 2 号 p. 107-121
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    In this study, we explored cultural scripts in narratives about future life by comparing three different cultural groups. Participants were 236 Japanese, 83 Chinese, and 179 American undergraduates. They were asked to imagine and describe freely one day 10 years ahead. Through content analysis, we found that narratives about one's future life are likely to reflect scripts unique to each culture. Japanese narratives tended to be vague and to focus more on inner states. Chinese narratives were likely to contain concrete goals and behaviors, as well as aspirations. American narratives emphasized a nice job and a happy life with family. A “going with the flow” pattern, “mountain climbing” pattern and “happy ending” pattern were found to be dominant in Japan, China and the U.S., respectively. It is suggested that these culture-specific patterns are similar to the features of cultural texts prevailing in each society. Future research is needed to explore how these scripts emerge and how they influence people's behavior in reality.
資料
  • 登張 真稲, 大山 智子, 木村 あやの
    原稿種別: 資料
    2010 年 19 巻 2 号 p. 122-133
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,中学1年生を対象として,共感概念の重要要素間の関係を検討することである。ビデオ刺激を用いて中学1年生男女の共感を喚起し,質問紙尺度を使って,共感概念の重要要素である役割取得(相手の立場に立って気持ちを想像すること)と並行的感情反応(相手と同じ感情が生じること),他者指向的反応,感情理解の測定を行った。変数間の関係を男女別に検討すると,男女ともに役割取得と並行的感情反応,感情理解は他者指向的反応に有意な影響を与えていた。並行的感情反応と感情理解は他者指向的反応を誘発しうる,または高めうることが示唆された。また,女子のみ役割取得は並行的感情反応にも有意な影響を与えた。役割取得が感情理解に与える影響は有意とならなかった。感情理解については,その理由についてもたずねたところ,回答から,「状況」を手がかりとして主人公の感情を理解した場合が多いことが示唆された。
  • 金政 祐司
    原稿種別: 資料
    2010 年 19 巻 2 号 p. 134-145
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,中年期の夫婦関係において,成人の愛着スタイルが関係内の感情経験および関係への評価に及ぼす影響についての検討を行った。調査対象者は,156組の中年期の夫婦であった。その結果,愛着次元の関係不安は,回答者本人と配偶者のネガティブ感情と正の相関関係を示し,また,両者の関係への評価と負の相関関係を示していた。親密性回避の次元は,回答者本人のネガティブ感情や関係への評価と関連を示すのみであった。さらに,上記の関係不安と本人ならびに配偶者の関係への評価との関連は,双方のネガティブ感情経験によって媒介されていたが,親密性回避については,本人の関係への評価との関連についてのみネガティブ感情経験によって媒介されていた。上記の結果について,先行研究で示された青年期の子ども–母親関係ならびに青年期の恋愛関係の共通項との相似および相違の観点から議論を行った。
  • ――愛着スタイル尺度における自己評定と他者評定の一致度の検討
    中尾 達馬
    原稿種別: 資料
    2010 年 19 巻 2 号 p. 146-156
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,面識の度合いが比較的浅い2者について,愛着スタイル尺度における自己評定と他者評定との間の一致度(相関や対応性),および,そこでの相関が他者評定実施者の愛着スタイルに左右されるかどうか,について検討を行った。調査対象は,大学・専門学校の一年生120名(60組)であった。その結果,愛着スタイル尺度の2次元については,自己評定と他者評定との間には,値は低いながらも有意な相関があること,その相関は,他者評定実施者の愛着スタイルに左右されないことが示された。以上のことから,関係性初期の段階においても,愛着スタイルは認識可能なパーソナリティ特性であることが示唆された。
  • ――学業場面における4つの認知的方略の分類
    光浪 睦美
    原稿種別: 資料
    2010 年 19 巻 2 号 p. 157-169
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,過去の認知と将来の期待の組み合わせによって学業場面における4つの認知的方略(方略的楽観主義(SO),防衛的悲観主義(DP),非現実的楽観主義(UO),真の悲観主義(RP))の分類を試み,その妥当性を検討することと,認知的方略の違いによって採用するセルフ・ハンディキャッピング(SH)やストレス対処方略が異なるか検討することを目的とした。専門学校生,大学生,大学院生215名を4群に分類して,防衛的悲観主義尺度との関連や特性不安,課題に対するコントロール感を検討したところ,それぞれの方略の概念的特徴の定義を支持する結果が得られ,群設定の妥当性が示された。また,SO群とDP群はSHを用いず,SO群は問題焦点接近型の対処方略を採用していたが,UO群とRP群はSHと問題焦点回避型の対処方略を採用していた。4つの認知的方略の特徴の類似点と相違点が示され,これらの方略の適応性が議論された。
ショートレポート
  • ――大学生の学業ストレス場面における検討
    及川 恵, 林 潤一郎
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 19 巻 2 号 p. 170-173
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    This study investigated effects of distraction in problem solving situations. University undergraduates (N=258) were instructed to remember their recent experience of being depressed about academic achievement, and then they completed a questionnaire which measured their concentration on distraction, positive mood, problem solving behavior, negative rumination, and knowledge of effective activity. The results of path analysis indicated that concentration on distraction enhanced problem solving by facilitating positive mood. Knowledge of effective activity enhanced problem solving, while negative rumination impaired problem solving because it negatively affected concentration on distraction.
  • 栗原 愛, 長谷川 晃, 根建 金男
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 19 巻 2 号 p. 174-177
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    The Experiences Questionnaire measures decentering, the state of observing thoughts and feelings as temporary events in the mind. This study developed the Japanese version of the Experiences Questionnaire (JEQ). The fit indices in confirmatory factor analysis (n=297) suggested an acceptable fit to a model consistent with the original. The correlations (n=411) between the J-EQ and the Acceptance and Action Questionnaire- II, the Affective Control Scale, the Ruminative Response Scale, and the Cognitive Control Scale showed adequate construct validity. Internal consistency (n=411) and test–retest correlations of factors (n=54) indicated good reliability of the J–EQ. The J–EQ can be used to examine the influence of decentering on psychopathology.
  • 中山 留美子
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 19 巻 2 号 p. 178-180
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    This study examined narcissistic self-esteem regulation based on the relationship between narcissism and contingency of self-worth among Japanese adolescents. The results of correlation analysis indicated that the grandiose facet of narcissism was positively related to emphasis on appearance, competition, and family support, and negatively related to approval from others. The hypersensitive facet of narcissism was positively related to all dimensions of contingency of self-worth except appearance. The results for grandiose narcissism generally support the (extended) agency model. The necessity of investigating cultural differences in future studies was discussed.
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