パーソナリティ研究
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21 巻 , 3 号
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原著
  • 阿部 ひと美, 今井 正司, 根建 金男
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 203-215
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,パーソナル・コンストラクト理論(Kelly, 1955)に基づいたアセスメント法であるレパートリー・グリッド法(Rep)を用いて,社会不安が高い者における個人的構成概念の特徴を検討することを目的とした。人間と環境との相互作用という観点から個人的構成概念の特徴を把握できる社会不安用Repを開発し,社会不安の高い大学生18名を対象に実施した。その結果,社会不安が高い者に共通していると考えられるエレメントおよびコンストラクトの特徴が明らかになった。さらに,社会不安の高い者のなかでも,その個人的構成概念はさまざまであることが示され,社会不安用Repにおける調査対象者の反応は,大きく5カテゴリに分類された。今後は,Repを用いることによって,社会不安の高い個人の特徴を,従来の質問紙法よりも詳細にとらえていくことが期待される。
  • 矢澤 美香子, 金築 優, 根建 金男
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 216-230
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,ダイエットにおいて特異的に生起する完全主義的思考や自己陳述を調査し,the Perfectionistic Self-statements Inventory about Dieting (PSI-D)という新たな尺度を作成し,その信頼性,妥当性を検討することを目的とした。研究1では,半構造化面接と自由記述調査によって収集された40個の予備項目による調査を女子大学生に実施し,厳格なダイエット実践者118名の回答を分析した。その結果,PSI-Dは高目標へのこだわり,失敗に関する自己批判,努力の重視,厳格な自己抑制という4種の因子を持つことが明らかとなり,尺度全体および各因子の十分な内的整合性が示された。研究2では,2つのサンプル(148名,140名)の女子大学生を対象に,PSI-Dと他の尺度を用いた調査を実施した。その結果,PSI-Dの十分な妥当性が示された。以上の結果を踏まえて,PSI-Dの有用性について論じた。
  • 野崎 優樹, 子安 増生
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 231-243
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ストレス経験への適切な対処は情動知能の向上につながる可能性があるが,これまでの研究では,この可能性はほとんど検討されてこなかった。本研究では,ストレス経験として大学入試を取り上げ,大学入試に対する認知的評価,ストレス対処と情動知能の成長感の関係を検討した。調査票に回答した参加者のうち,大学生484名(男性242名,女性242名)を分析対象とした。多母集団の同時分析の結果,入試形式にかかわらず,自己活用接近対処と他者活用対処が情動知能の成長感の向上につながることが明らかになった。さらに,媒介分析の結果,自己活用回避対処は,情動を改善させることで後の問題への取り組みを促進するという間接的な形で,情動知能の成長感の向上に寄与していた。この間接効果は,大学入試に対して回避的な評価をしていないほど強くなることが示された。
  • ―対話的場所(トポス)と宛先
    木戸 彩恵, やまだ ようこ
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 244-253
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,ナラティヴ・アプローチを用いて化粧をする行為者にとっての場所性と化粧行為の対話性について検討する試みを行った。4名の美容職従事者(23~61歳)を対象に,複数回のライフ・ストーリー・インタビューを行い,各々の場所性と化粧行為の連関をモデル化した。第一段階では,調査協力者の語りから,宛先となる場所と化粧プロセスの相違をモデル化し,次に,宛先となる場所を人生の年輪モデル(やまだ・山田,2009)を用いてモデル化した。結果として,1)化粧行為のプロセスと宛先となる場所のあり方は他者との複合的な関係において多重に構成されること,2)化粧行為の意味は個別の経験に基づき組織化され、行為者のあり方とともに変容していくことを明らかにした。これらの結果から,化粧行為の重要な役割は行為者のあり方に変容をもたらすことであるという新たな化粧研究への示唆が得られた。
  • ―中間テストでの達成度を考慮に入れた縦断的検討
    大谷 和大, 中谷 素之
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 254-266
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    個人が特定の領域に自尊感情を随伴させている程度は,自己価値の随伴性と呼ばれる。これまで学業領域における自己価値の随伴性を扱った研究では,主にその抑制的な機能について扱われてきており,促進的な機能についての検討はあまりなされてこなかった。本研究では,自己価値の随伴性が動機づけや学業達成を促進することを予測し,これまで扱われてこなかった促進的な機能に着目した。中学生154名を対象に中間テストと期末テストを利用した3度の質問紙調査を行った。中間テストで達成度の低かった生徒のうち,自己価値の随伴性が高い生徒は,状態的自尊感情を低下させ,ネガティブ感情を高く喚起していた。さらに,ネガティブ感情は期末テストの成績と正の関連を有していた。一方で,中間テストで達成度の高かった生徒のうち,自己価値の随伴性が高い生徒は,状態的自尊感情とポジティブ感情を介することで,期末テストに正の影響を与えていた。
  • 服部 陽介, 川口 潤
    原稿種別: 原著
    2013 年 21 巻 3 号 p. 267-277
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,思考抑制を実現するための方略のひとつである,集中的気晴らしに関するメタ認知的信念と抑うつの関連について検討することを目的とした。研究1では,集中的気晴らしに関するメタ認知的信念として,“問題解決の阻害”,“逆説的効果”,“冷静な判断”,“記憶抑制”という4因子から構成される尺度である「集中的気晴らしに関するメタ認知的信念尺度(MBFQ)」が作成された。研究2では,MBFQの併存的妥当性,弁別的妥当性,再検査信頼性が確認された。さらに,“逆説的効果”に関するメタ認知的信念の確信度が高いほど,後の抑うつ症状が悪化することが示された。この結果から,メタ認知的信念に対する介入が,抑うつの慢性化や悪化の予防に貢献する可能性が示された。また,抑うつの悪化の背景に存在するプロセスについて議論した。
資料
  • 森 慶輔, 西村 昭徳, 宮下 敏恵, 奥村 太一, 北島 正人
    原稿種別: 資料
    2013 年 21 巻 3 号 p. 278-290
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    わが国では,バーンアウトの測定についてMaslach Burnout Inventory(MBI)の邦訳が多く使用されているが,教師を調査対象とした場合,原尺度通りの3因子が抽出されず,因子構造が不安定であることがさまざまな研究者により示されてきた。そこで本研究では,中学校教師を対象に,日本語版バーンアウト尺度(久保,1998)とSRS-18(鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野,1997)を使用し,バーンアウトと短期的ストレスとの関連性の観点から,教師を対象とした場合の日本語版バーンアウト尺度の因子構造を検討することを目的とした。調査は3回に分けて実施され,異なる3つの地域の中学校教師,合計1,313名が対象となった。日本語版バーンアウト尺度の確認的因子分析を行い,また共分散構造分析による日本語版バーンアウト尺度とSRS-18との関連を検討した結果,バーンアウトは,情緒的消耗感,脱人格化,個人的達成感の低下の3因子から捉えることが適切であると確認された。
  • ―学業水準の高い高校に所属する生徒に焦点を当てて
    鈴木 雅之, 武藤 世良
    原稿種別: 資料
    2013 年 21 巻 3 号 p. 291-302
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,学業水準の高い高校に所属している生徒を対象に,一般的な高校生の学業水準と自身の学業水準との比較過程が,学業的自己概念に与える影響について検討した。また,社会的比較の影響を調整する要因として,生徒の持つ達成目標に着目し,調整効果についても検討を加えた。高校生589名を対象に質問紙調査を実施し,解析を行った結果,国語と数学の両科目において,学業成績と学校内での比較過程,栄光浴効果の影響を統制しても,一般的な高校生との比較過程が学業的自己概念に影響を与えていることが示された。この結果から,平均的な基準と比較して,自身の学業水準を高いと捉える生徒ほど,高い学業的自己概念を持つ傾向にあることが示唆された。また,社会的比較の効果に関して,達成目標による調整効果はみられなかった。
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