パーソナリティ研究
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17 巻 , 3 号
(2009)
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
特集論文
  • ――体験者の語りを手がかりに
    清水 亜紀子
    原稿種別: 特集論文
    2009 年 17 巻 3 号 p. 231-249
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,自我体験の「体験内容」・「体験の位置づけ方」の類型化を試みる。そこで,25名の被調査者を対象に,自我体験に関する個別面接調査を実施した。得られた語りを分析した結果,自我体験の体験内容は,時間軸・空間軸への問い,存在への感覚的違和,自・他の実在への懐疑,独一性への気付きの4つに分類された。また現時点での自我体験の位置づけ方は,個人史再編成,体験同化,意味づけ途上,体験疎外の4つに分類された。特に,個人史再編成では,新たな自己が生成される一方で,体験疎外では,旧来の自己のあり方を堅持しようする様子がみて取られた。さらに,事例的検討から,自我体験とは,「第二の私」が「今ここの私」として生きるという新たな自己の成立の契機的体験であり,その体験をいかに受けとめるかによって,「今ここの私」を根底から崩すものにも,支えてくれるものにもなりえるパラドキシカルな体験なのではないかと考えられた。
原著
  • 小塩 真司, 西野 拓朗, 速水 敏彦
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 3 号 p. 250-260
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,他者軽視および顕在的自尊感情と,潜在連合テスト (Implicit Association Test; IAT) によって測定された潜在的自尊感情との関連を検討することによって,仮想的有能感の特徴を明らかにすることであった。研究1では大学生119名に対し,紙筆版の潜在連合テストによって潜在的自尊感情を測定し,顕在的自尊感情尺度,他者軽視に基づく仮想的有能感尺度を実施した。また研究2では,大学生155名を対象に,パーソナルコンピュータ上の潜在連合テストによって潜在的自尊感情を測定し,顕在的自尊感情尺度,仮想的有能感尺度を実施した。2つの研究ではほぼ同じ結果が再現された。まず第1に,仮想的有能感は顕在的自尊感情とは有意な関連がみられないが,潜在的自尊感情とは有意な正の相関関係にあった。また第2に,顕在的自尊感情が低く潜在的自尊感情が高い者が,もっとも他者軽視を行う傾向にあることが示された。
  • 高野 慶輔, 丹野 義彦
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 3 号 p. 261-269
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    Trapnell & Campbell (1999) によれば,私的自己意識は反芻と省察に分けられ,前者は抑うつと関連する非適応的な自己意識,後者は精神衛生に貢献する適応的な自己意識とされている。本研究では,これらの2つの私的自己意識と抑うつ,およびストレスの因果関係を探るため,大学生を対象に,素因ストレスモデルに基づいて縦断調査を行なった。階層的重回帰分析の結果,反芻の主効果および反芻とストレスの交互作用が2週間後の抑うつを有意に予測した。このことから,反芻は抑うつの脆弱性要因であると考えられる。一方の省察は,私的自己意識の一種でありながら抑うつとの関連が見られなかった。この結果は省察が適応的な自己注目であることを積極的に支持するものではないが,省察のようなある種の自己注目により,否定的な感情を強めることなく自己制御が可能であることを示していると考えられる。
  • 貝川 直子
    原稿種別: 原著
    2009 年 17 巻 3 号 p. 270-279
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究は,教師バーンアウトに影響を及ぼす要因として,職場内での組織特性や個人が持っているソーシャルサポートを取り上げ,それらがどのような影響を与えているかを明らかにした。287名の小中学校教師がMaslach Burnout Inventory (MBI),学校組織特性尺度,ソーシャルサポート尺度からなる質問紙調査に回答した。共分散構造分析によって,以下の2点が明らかになった。まずはじめに,学校の職場環境という学校組織特性がバーンアウトへ直接悪影響を及ぼすことを示した。次に,情緒的サポートを得ることでバーンアウトを緩和できるが,道具的サポートはバーンアウトに影響を与えないことを明らかにした。以上の結果から,教師バーンアウトを軽減するためには,職場の管理職や同僚との関係をよりよくしていくとともに,情緒的サポートを得られる環境を組織的に整えていくことが望まれる。
資料
  • 上地 雄一郎, 宮下 一博
    原稿種別: 資料
    2009 年 17 巻 3 号 p. 280-291
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    過敏型自己愛人格と対人恐怖症者に共通の人格構造としての過大な理想自己が臨床家によって確認されている。Broucek (1991) や岡野 (1998) は過敏型自己愛人格を過大な理想自己と卑下された現実自己との乖離を反映する恥意識に悩む人とみなすが,それに対してKohut (1971) が言うには,彼らは高い理想自己をもつ人ではない。本研究の目的は,対人恐怖発現の要因の間の関係を明らかにし,Broucekおよび岡野の見解とKohutの見解を総合的に説明することであった。まず,自己愛的脆弱性尺度の短縮版を作成した。この尺度による調査を216名の学生に実施し,他の尺度との相関を通して妥当性を確認した。次に,この尺度と,自己不一致(理想自己–現実自己の不一致),自尊感情,対人恐怖傾向に関する質問紙による調査を,249名の学生に実施した。その結果,自己不一致とともに自己愛的脆弱性が直接的・間接的に対人恐怖傾向を強めることが示唆された。さらに,自己不一致と自己愛的脆弱性にも関連が見出された。
  • 上出 寛子, 大坊 郁夫
    原稿種別: 資料
    2009 年 17 巻 3 号 p. 292-301
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,様々な対人関係において認知される自己の多様性と精神的健康の関連について検討が行われた。99名の学生を対象に,親密な5人の他者とそれぞれ一緒にいる場合の自己認知について評定を求めた。自己認知は3次元(社会的望ましさ,個人的親しみやすさ,活動性)に基づいて測定した。その結果,社会的望ましさにおける自己の多様性は精神的健康の低さと関連し,個人的親しみやすさにおける自己の多様性は精神的健康の高さと関連した。活動性における多様性は精神的健康と関連せず,全般的な活動性の高さが精神的健康の高さと関連した。このことから,一定した社会的望ましさと多様な個人的親しみやすさが適応的であることが示唆された。自己の多様性と精神的健康が関連するプロセスについて,他者からの評価や関係満足度などを今後検討することが議論された。
ショートレポート
  • 渡部 麻美
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 3 号 p. 302-306
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    In this study, relationship between friendship problems of high school students and four requirements of assertiveness was examined. Two hundred fifty-four high school students responded to a questionnaire. Results of Quantification Method Type I indicated that the second requirement, control of emotion, and the fourth, self-direction, had a negative linear relationship with friendship problems; as the scores for the requirements increased, friendship problems decreased. When the first requirement, candid expression, was extremely high, the person had problems of fearing being disliked by friends and being inconsiderate. And if the third, consideration for others, was extremely high, the tendency to fear conflicts and being ignored also became high.
  • 長谷川 真里, 堀内 由樹子, 鈴木 佳苗, 佐渡 真紀子, 坂元 章
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 3 号 p. 307-310
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    A multidimensional scale for measuring empathy in elementary school children was developed and its reliability and validity investigated. Results indicated adequate internal consistency and temporal stability of the scale, suggesting it had good reliability. Correlations with Prosocial Behavior and Social Desirability Scales indicated sufficient validity of the scale. In addition, results of confirmatory factor analysis supported the Davis finding (1983) that empathy had four components. Development of empathy in elementary school children, as well as problems such as children's acquiescence set were also discussed.
  • 桑村 幸恵
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 3 号 p. 311-313
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to examine empathic embarrassment toward others of different psychological distances, and to compare those high on chronic susceptibility to embarrassment and those low. Participants were seventy-five female technical-college students. They completed a questionnaire that used six situations and four actors: oneself, family member, friend, and stranger. They indicated how much embarrassment they felt toward each actor in each situation. Results showed that empathic embarrassment occurred more frequently toward the person of close psychological distance, and those high on chronic susceptibility experienced empathic embarrassment more often.
  • 岡村 寿代, 清水 健司
    原稿種別: ショートレポート
    2009 年 17 巻 3 号 p. 314-316
    発行日: 2009/05/01
    公開日: 2009/07/04
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to examine the effect that social skill deficits had on responses to stressors in elementary school children. Social skills and responses to stressors were measured in a survey of 403 elementary school children. About three months later, responses to stressors were measured again, along with occurrence of stressors during the interval. A hierarchical regression analysis found an interaction effect of social skills and stressor scores on post-interval physical complaints, and girls with more deficits in social skills reported more physical complaints.
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