パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
Print ISSN : 1348-8406
ISSN-L : 1348-8406
19 巻 , 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著
  • ――自己愛的脆弱性尺度を用いた検討
    伊藤 亮, 村瀬 聡美, 金井 篤子
    原稿種別: 原著
    2011 年 19 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,過敏性自己愛傾向がふれ合い恐怖心性に及ぼす影響について,対人恐怖心性との比較から検討することであった。専門学校生,大学生,大学院生443名を対象に,ふれ合い恐怖心性,対人恐怖心性,過敏性自己愛傾向を測定する自己愛的脆弱性尺度からなる質問紙を実施した。パス解析の結果,自己愛的脆弱性尺度の下位因子である目的感の希薄さと自己顕示抑制の高さがふれ合い恐怖心性と対人恐怖心性の両者を高めていることが示された。しかしながら,承認・賞賛への過敏さの高さは対人恐怖心性を高め,自己緩和不全の低さおよび潜在的特権意識の高さはふれ合い恐怖心性を高めるという相違点が見出された。これらの結果から,両心性の背景には共通して過敏性自己愛傾向が潜んでいるものの,承認・賞賛の過敏さ,自己緩和不全,潜在的特権意識の過敏性自己愛傾向の下位側面のあり方によって,現れ方が異なってくる可能性が示唆された。
  • ――自己記述質問票(SDQ-I)の心理測定的検討
    富岡 比呂子
    原稿種別: 原著
    2011 年 19 巻 3 号 p. 191-205
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    日本とアメリカの自己概念を尺度の因子構造・信頼性・妥当性の観点から検討することを目的として,小学3,4,5年生の児童計1,357名に対してSDQ-I(自己記述質問票)を実施した。確認的因子分析では日米ともに「身体的能力」「身体的外見」「友人との関係」「両親との関係」「一般的自己」「国語」「算数」「教科全般」の8因子構造が確認され,多母集団同時分析においても日米間のデータに等質性があることが検証された。内的整合性に関しても十分な信頼性があると認められた。日米両国を通じての傾向性としては身体的能力・数学の項目では男子が高く,国語に関しては女子が高かった。学年の主効果は日本に見られたがアメリカには見られなかった。国の主効果は全項目に対して見られ,アメリカの自己概念が日本に比べて有意に高かった。考察では日米の自己概念の特徴や相違点について文化的自己観や学校風土の観点から検討し,SDQの応用可能性について言及した。
  • ――状態的自尊感情と失敗場面の感情を媒介として
    大谷 和大, 中谷 素之
    原稿種別: 原著
    2011 年 19 巻 3 号 p. 206-216
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    自己価値の随伴性(Contingencies of Self-worth)とは,個人が特定の自己の領域をどの程度重要視しているかの指標である。学業領域の自己価値の随伴性が高いと,学業での失敗が自己価値を揺るがす脅威となることが指摘されている。本研究の目的は,学業における自己価値の随伴性が内発的動機づけ低下に及ぼす影響プロセスを明らかにすることであった。両変数を媒介する要因として状態的自尊感情と失敗場面の感情に焦点を当てた。中学2年生125人を対象に場面想定法により検討した結果,自己価値の随伴性が内発的動機づけを低下させるプロセスと,内発的動機づけ低下を緩衝するプロセスの両側面が明らかとなった。すなわち,自己価値の随伴性が状態的自尊感情と無能感を媒介した場合,内発的動機づけを低下させるが,一方で自己価値の随伴性が後悔を媒介した場合には,内発的動機づけ低下が抑制されることが示された。
  • Katrin Kullasepp
    原稿種別: Articles
    2011 年 19 巻 3 号 p. 217-232
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    The purpose of this article is to present results of an ongoing longitudinal qualitative study that aims to chart the dynamics of professional identity construction of Estonian psychology students over the period that embraces their studies of psychology in a bachelor's program and two years after obtaining a bachelor degree. The construction of an identity is discussed from socio-cultural perspective, and in terms of the semiotic mediation approach. To investigate dynamics in intra-psychological level, the dialogical self theory (Hermans, 1995) was applied. The results show how the Self <> Self and Self <> Other dynamics set up differentiation of inherently inconsistent parts of the Self (“being myself” <> “being a psychologist”), and that the entry into professional role entails inter-individually different linkage of the features of personal culture with different aspects of the expected role of psychologist.
資料
  • 橋本 京子, 子安 増生
    原稿種別: 資料
    2011 年 19 巻 3 号 p. 233-244
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,楽観性と,ポジティブ志向(現実のポジティブな面を強調するような,必ずしも現実に基礎をおいていない認知),および主観的幸福感の関連を検討することを目的として行われた。大学生337名を対象に,楽観性尺度,主観的幸福感尺度,ポジティブ志向尺度から成る質問紙調査を実施した。因子分析の結果,楽観性,主観的幸福感は,両者とも1因子構造であること,およびポジティブ志向は,ポジティブに認知する際の基準をどこに置くかの違いによって,「上方志向」と「平静維持」の2因子に分かれることが明らかになった。楽観性がポジティブ志向の各因子を経て主観的幸福感に至るモデルを構成し,共分散構造分析によって検討したところ,楽観性は,「上方志向」および「平静維持」と正の関連がみられた。また,主観的幸福感は,楽観性および「上方志向」と正の関連がみられたが,「平静維持」との関連はみられなかった。
  • 津田 恭充
    原稿種別: 資料
    2011 年 19 巻 3 号 p. 245-254
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    妄想の認知療法では,妄想の内容を変えることよりも,感情や行動を変えるほうが重要だという指摘がある。この考えに基づいて,本研究では,被害妄想に伴う感情を測定する尺度(EPDS)を開発した。大学生401名(男性209名,女性192名)がEPDSに回答し,そのうちの130名(男性60名,女性70名)が自己関係づけ尺度と妄想観念チェックリストにも回答した。構造方程式モデリング(SEM)を用いた検証的因子分析の結果,モデルはデータによく適合しており,因子的妥当性が確認された。EPDSと他の尺度との間には有意な相関が認められ,併存的妥当性が示唆された。また,尺度項目について高い判別力や高い内的整合性が得られた。これらの結果は,EPDSが十分な信頼性と妥当性を有することを示唆している。
  • 伊澤 冬子
    原稿種別: 資料
    2011 年 19 巻 3 号 p. 255-266
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2011/06/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,心理的ストレス過程モデル(Lazarus & Folkman, 1984)に基づいて,対人ストレス過程(加藤,2001)における2種類の楽観性の役割を検討した。大学生・大学院生・短期大学生361名を対象として,質問紙を用いたパネル調査を実施した。その結果,2つの影響過程が検証された。第一に,属性的楽観性が高いと対処効力感を高く評価し,ポジティブ関係コーピングと解決先送りコーピングを行使しやすかった。第二に,高い楽観的説明スタイルをもつとイベントの脅威を低く評価し,ネガティブ関係コーピングと解決先送りコーピングを行使しにくかった。これらの結果を踏まえ,対人ストレス過程における各々の楽観性の役割について議論がなされた。
ショートレポート
feedback
Top