露出時間(5分~6時間)と温度(5~50℃)を変えてアルカリ(pH10~13)に曝したヒト血清albを,主としてアクリルアミドゲル電気泳動(pH9.0)によって分析した.アルカリ変性の初期の段階では,泳動図に8~9個のzones(1,1',2'',2',2,3,4,5および6)が現われる.成分1と1'はalb monomers,成分2'',2'および2はdimers,成分3~6はhigher polymersである.次の段階ではゲル中に浸入できないgross aggregatesが生じ,ついで泳動図にtailingが現われる.さらに変性が進むとzone 1'を除いた他のzonesは消滅し,泳動図は全体に互って染色される.
変性の初期の段階は次に述べる2つの反応からなることが知られた.最初,アルカリ膨脹したalb分子(成分1)の間でSH-S-S交換反応が起こって,成分2'',2'および2が連続的に生産される(first reaction).成分2が適量に達すると,次にアルカリ膨張したalb分子(成分1)内でSH-S-S交換反応が起こって成分1'が生じ,続いて成分2,3,…が連続的に生産される(second reaction).この変性の初期の段階における成分1の減少は,全体として1次反応に従うことが観察された.
ヒト血清albのアルカリ変性に対するcysteineと抗変性剤の効果についての研究も行なった.
抄録全体を表示