日本化粧品技術者会誌
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35 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 堀田 肇
    2001 年 35 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ファンデーションなど, パウダー化粧料の骨格を構成する体質顔料は, 製品の特性を設計する上で非常に重要な役割を果たしている。中でも肌上でののび, 肌へのつき, 密着感やしっとり感といった使用感における特性や, 使用性の良さ, 使い心地の良さはベースメイクアップ化粧品の快適さを考える上で, 基本的かつ重要な要素であり, 粉体としての体質顔料に求められる特性が使用性, 使い心地に大きく影響を及ぼす。使用性の主な要因である延展性や滑沢性, 付着性は, 粉体層のバルク特性に大きく依存する。粉体は一個一個の粒子として, 形状・大きさ・性質が異なるが, 粒子が集合した粉体層として延展性や付着性, 滑沢性, 充填性などの特性を示す。ここでは, ベースメイクアップ化粧品の使用性を粉体特性の点から捉え, 大きさや形の異なる粉体を組み合わせることにより特異な使用性と機能を発現する事例として, 無機板状粉体/微小球状粉体混合系の流動・摩擦特性を紹介する。続いて, 単分散微小粉体/球状粉体混合系の付着性と光学的機能について, 評価手法を含めて紹介する。
  • 兼井 典子, 國枝 博信
    2001 年 35 巻 2 号 p. 107-119
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    乳化の型は水-油系における界面活性剤の溶存状態と非常に関係している。界面活性剤が水にミセル溶解する場合, 水中油滴分散型 (O/W) の乳化が形成され, 一方, 界面活性剤が油へ逆ミセル溶解する場合は, 油中水滴分散型 (W/O) の乳化が形成される。水/ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤/油系では, Hydrophile-Lipophile Balance (HLB, 親水性・親油性バランス) 温度あるいは転相温度 (PIT) において, 乳化の型はO/W型からW/O型へ転相する。このHLB温度において, 界面活性剤分子膜の曲率は0となり, bicontinuous型マイクロエマルションが生成し, 過剰な水相, 油相と共存する。HLB温度に及ぼす油の種類は, 界面活性剤分子膜の曲率を変化させる油と密接な関係がある。そこで, 自己組織体に油が可溶化される際, 界面活性剤分子膜の曲率変化に影響を及ぼす, 油や香料のPenetration効果, あるいはSwelling効果について解説する。また, HLB温度と界面活性剤分子膜の曲率に及ぼす油の効果との相関に関しても述べる。炭化水素油, 特に分子量の大きい油を添加した場合, 界面活性剤分子膜の曲率はより正となり, discontinuous micellar cubic相が形成される。このキュービック相に過剰な油を分散させると, 非常に高粘性でゲル状のキューピック液晶乳化が生成する。
  • 横田 朋宏, 池本 毅, 佐々木 稔, 堀越 俊雄
    2001 年 35 巻 2 号 p. 120-126
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    皮膚の色素沈着を抑制するためには, チロシナーゼが介するメラニン生成抑制効果を有することだけではなく, 紫外線等が引き起こす活性酸素種等の因子を抑制することも重要である。さらに, それらの効果を維持させていくことも大変重要なことである。われわれは, 植物に含まれる配糖体に注目し, 検討を行った結果として, ラズベリー果実に含まれるラズベリーケトングルコシドが持続的なメラニン生成抑制効果を有することを見いだした。さらに, その類縁配糖体の活性について調べることで, 本配糖体のメラニン生成抑制作用のメカニズムについて考察を行った。ラズベリーケトングルコシドは, ヒト角層細胞との反応でラズベリーケトンへ分解することを確認した。生成したラズベリーケトンには, 高いメラニン生成抑制効果だけではなく, ヒト皮膚中で持続的に発生し色素沈着を引き起こす一酸化窒素 (NO) を捕捉する効果, スーパーオキサイド (O2-) および過酸化脂質生成抑制効果が認められた。以上のことから, 本物質は, 皮膚中で徐々にラズベリーケトンに変換することにより, 持続的にメラニン生成抑制効果と種々の刺激因子を抑制する作用を示すことが期待された。
  • 井上 さくら, 荒木 徳博, 木村 知史
    2001 年 35 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究では創造的思考に着目し, 新しい発想を生み出そうとする場合の香りの効果を検討した。実験では創造性検査の一種である用途テストを用い, 「カンヅメのあきカン」の使い方を自由発想で20分間記述させた。用途テスト開始12分後にローズマリー, ペパーミント, オレンジ (以上香り呈示群), 香りなし (統制群) のいずれかを呈示した。回答は, 分類基準に従い, カンヅメのあきカンのもつ容器的使途と類似性の高い発想-Tタイプ-と, 類似性が低く独創的な発想-Hタイプ-の2種類のカテゴリーに分け, 各カテゴリーにおける香り呈示前後の回答数の変化を求めた。香り呈示群と統制群の回答数の変化を比較した結果, Tタイプでは, 香り呈示群と統制群との間に差はみられなかった。一方, Hタイプでは, ローズマリーとペパーミント呈示群は統制群と比較し回答数が有意に増加し, オレンジ呈示群では有意差はなかった。このことより, ローズマリーやペパーミントの香りに独創的な発想を促す効果がみられることが示唆された。さらに, 創造的態度得点の低い人がローズマリーやペパーミントの香りを嗅ぐと, より一層この効果が高くなる傾向がみられた。
  • 西島 貴史, 大須 弘之, 北原 隆, 武馬 吉則
    2001 年 35 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    皮膚表面の形状解析はレプリカの画像解析により行われているが, 毛穴の大きさを直接的に解析したものはない。今回われわれは皮膚表面レプリカの画像解析により, 窪みとして認識できる大きな毛穴について解析を行った。10代から70代までの健常女性98名 (平均年齢45.0歳) の顔面4ヵ所, 頬上部・頬中部・頬下部・オトガイからレプリカを採取した。レプリカ画像を二値化し, 面積が0.02mm2以上のものを毛穴として面積・長さを解析した。レプリカ画像における毛穴の総面積は, 頬下部とオトガイにおいて加齢に伴い増加していた。年代別の解析によると頬中部は40代が最大であり, 頬下部とオトガイは60代が最大であった。毛穴の大きさは頬中部・頬下部・オトガイにおいて加齢に伴い増加しており, 大きい毛穴の数は頬下部・オトガイで増加していた。一方, 毛穴の形状は頬上部と頬中部において加齢に伴い長くなっていた。以上, 頬下部とオトガイの毛穴は加齢とともに大きくなっていたことから, 毛穴とその周囲の形状は加齢とともに大きくなるものと考えられる。頬上部と頬中部はたるみにより皮膚が伸長するため, 毛穴が長くなり加齢とともに大きくはなりにくいものと考えられた。
  • 2001 年 35 巻 2 号 p. A2-A3
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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