乳化の型は水-油系における界面活性剤の溶存状態と非常に関係している。界面活性剤が水にミセル溶解する場合, 水中油滴分散型 (O/W) の乳化が形成され, 一方, 界面活性剤が油へ逆ミセル溶解する場合は, 油中水滴分散型 (W/O) の乳化が形成される。水/ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤/油系では, Hydrophile-Lipophile Balance (HLB, 親水性・親油性バランス) 温度あるいは転相温度 (PIT) において, 乳化の型はO/W型からW/O型へ転相する。このHLB温度において, 界面活性剤分子膜の曲率は0となり, bicontinuous型マイクロエマルションが生成し, 過剰な水相, 油相と共存する。HLB温度に及ぼす油の種類は, 界面活性剤分子膜の曲率を変化させる油と密接な関係がある。そこで, 自己組織体に油が可溶化される際, 界面活性剤分子膜の曲率変化に影響を及ぼす, 油や香料のPenetration効果, あるいはSwelling効果について解説する。また, HLB温度と界面活性剤分子膜の曲率に及ぼす油の効果との相関に関しても述べる。炭化水素油, 特に分子量の大きい油を添加した場合, 界面活性剤分子膜の曲率はより正となり, discontinuous micellar cubic相が形成される。このキュービック相に過剰な油を分散させると, 非常に高粘性でゲル状のキューピック液晶乳化が生成する。
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