日本化粧品技術者会誌
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37 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 毛利 邦彦
    2003 年 37 巻 3 号 p. 171-178
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    The advance of foundation makeup technology has made remarkable progress these ten years. The study of formulation, utility or makeup effect have been reported not only in Japan but also in IFSCC and many studies have received prizes, I would like to describe the advance of foundation makeup technology by explaining some research which has been reported.
  • ニキビに対する効果
    神原 敏光, 周 艶陽, 川嶋 善仁, 岸田 直子, 水谷 健二, 池田 孝夫, 亀山 孝一郎
    2003 年 37 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    甘草の化粧品添加物としてのさらなる利用を目的に, Glycyrrhiza inflata Batalinの根から調製したリコカルコンAを主要成分とする抽出物である油溶性甘草エキスP-Uについて, 新たな皮膚科学的有用性を検討した。その結果, 本抽出物はテストステロン5α-リダクターゼ, リパーゼおよびホスホリパーゼA2の阻害作用やアンドロゲン受容体結合阻害, 抗菌およびSOD様作用など, スキンケア, 特にニキビの形成や悪化の抑制に係わる種々の作用を示した。これらの試験結果を基に, ニキビ患者に対する油溶性甘草エキスP-Uの効果を検証し, その有効性が推定された。
  • 江川 麻里子, 平尾 哲二, 高橋 元次
    2003 年 37 巻 3 号 p. 187-194
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    官能評価は, 化粧品を開発する上で重要な評価項目である。しかしながら, 評価者の好みや体調, 心理状態によって変動することも多く, 客観的で再現性の良い機器による評価が望まれている。これまでにわれわれは, ヒト皮膚表面でのすべり摩擦測定を行い, 摩擦係数と皮膚生理パラメータとの関連性を検討してきた。本報告では, 化粧品塗布後の皮膚表面摩擦と官能評価との関係を検討することを目的とした。実験は, 市販の表面摩擦測定機器, KES-SETM (カトーテック (株)) にアームホルダーを取り付けて行い, 摩擦特性値として, 平均摩擦係数 (MIU) とその平均偏差 (MMD) を用いた。皮膚摩擦特性に大きく影響する角層水分量はComeometer CM 825TMを用いて測定した。使用感触の異なる9種類の乳液を用いて, 塗布直後, 1.5, 4, 5.5, 7時間後のMIU, MMDを測定し, 官能評価は6名の専門家パネルおよび149名の一般パネルにより行い, 機器測定の結果と対応させた。その結果, MIUと「しっとり」「べたつき」とは正の相関, 「つるつる感」との間には負の相関が認められた。さらに, 化粧品塗布直後からのMIUの経時変化のパターンは, 化粧品のなじみの良さと関係あることを見出した。また, MIUとMMDの値から「油っぽさ」と「しっとり」を分けて評価できることがわかった。以上の結果から, 本機器は, 化粧品を皮膚に塗布した後の感触評価に活用可能であることが示された。
  • 腋臭に関与する鉄の影響と抗酸化剤の防臭効果
    飯田 悟, 一ノ瀬 昇, 五味 哲夫, 染矢 慶太, 平野 幸治, 小倉 実治, 山崎 定彦, 櫻井 和俊
    2003 年 37 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    人々の清潔志向を背景に, 腋臭を中心とした体臭のデオドラントニーズは年々高まっている。われわれは, 官能評価および機器分析を用いてヒトの腋臭について研究した結果, 新たな臭気原因成分としてビニルケトン類 (1-octen-3-one, cis-1,5-octadien-3-one) を発見した。これらビニルケトン類のにおい閾値は非常に低く強烈な金属臭を有し, 腋臭に大きく寄与していることが示唆された。これら臭気は, 人体代謝物中の不飽和脂肪酸と鉄が接触して生成する酸化物であることをモデル実験によりつきとめ, におい発生のメカニズムを解明した。また, 植物抽出エキスの抗酸化作用により, ビニルケトン類の生成を抑制する方法をin vitro系にて検討し, 『クワエキス』に優れた生成抑制効果を見出した。
  • 新消臭粉体の開発と制汗剤への応用
    宮崎 雅嗣, 藤平 健一郎, 定家 恵実, 西川 直樹, 近 亮, 杉山 圭吉
    2003 年 37 巻 3 号 p. 202-209
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    体臭はエクリン腺, アポクリン腺, 皮脂腺などの分泌物等が皮膚常在菌により分解された不快なにおいであることが知られている。そのにおい物質としてC5-C11の低級脂肪酸, アミン類, ステロイド類などが体臭から検出されている。一方, われわれは体臭の解析からビニルケトン類の1-octen-3-one (OEO), cis-1,5-octadien-3-one (ODO) を新たに腋臭のキー成分として発見した。この研究の目的は低級脂肪酸類やアミン類だけでなくビニルケトン類に対しても消臭効果が高い消臭パウダーを開発することである。そしてわれわれは消臭効果が知られている各種パウダーを評価し, 高多孔質マグネシア・シリカを開発した。この優れた消臭効果は多孔質化による物理的吸着とマグネシアとビニルケトン類との特異的吸着の複合効果によることを明らかにした。さらに, このパウダーと体臭発生抑制効果が高いクワエキスを配合した制汗剤組成は優れた防臭・消臭効果を示した。
  • 鎌田 勉, 石川 洋子, 岩崎 信博
    2003 年 37 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ヘアマニュキュアを使用する際に頻繁に起こる皮膚染色が問題視されている。原因としては, 酸性染料による皮膚染色を完全に, そして簡単に除去する技術が確立されていないためである。西澤らは, 皮膚につきにくいヘアマニュキュア剤の開発について報告を行っているが, リムーバーの機能自体へのニーズは依然として高い。そこで, 皮膚からの酸性染料を容易に除去するために, 「皮膚からの溶出」そして「皮膚への浸透性」を指標として, リムーバーに適する溶剤, 活性剤等の検討を行った。「皮膚からの溶出」については乾燥豚皮からのヘアマニュキュアの溶出を指標に検討を進めた。その結果, 溶剤においてはイオン化と溶出に優れる炭酸プロピレンの選定に至った。活性剤においてはヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが検討活性剤の中で最も高い溶出性を示したが, 安全性を考慮してノニオンであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を選定した。pHにおいてはアルカリ側で溶出能が高い結果であった。「皮膚への浸透」においては, イオン化に優れる炭酸プロピレンは単独では皮膚への浸透性が悪いが, アルコール共存下において浸透性が飛躍的に向上した。これらの結果より, 安全性をキーワードに処方化を試みた。溶剤は炭酸プロピレン, 活性剤はノニオンであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油, pHは中性域である。豚皮からの溶出, また実際の人の腕での評価で, 従来のリムーバーよりすばやく落とせ, なおかつ安全性に優れたリムーバーの開発に至った。
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