皮膚真皮のエラスチン線維は,皮膚の構造維持や物性 (強度や粘弾性) に重要な役割を果たしており,老化によるエラスチン線維の質的劣化や量的低下は,皮膚のしわやたるみの要因になると考えられている。しかし,その形成機構には未知の点が多い。これまで,
in vitroにおいては,エラスチン線維を三次元で再構築させる系が確立されておらず,真皮線維芽細胞の単層培養における平面での線維形成や,遺伝子の発現などを指標とした研究が行われてきた。しかし,エラスチン線維の機能発揮には三次元構造の形成が必須であることから,より生体に近い三次元的なエラスチン線維形成を評価できるモデル系の開発が望まれてきた。これまで,三次元培養真皮モデルとして汎用されてきた収縮コラーゲンゲルは,エラスチン線維形成が誘導できないという問題点があった。そこで,エラスチン産生を促すフィブリンを用いた長期培養方法を検討して,新しいモデルを確立した。このモデルは,エラスチン線維形成に対する植物抽出エキスなどの効果の評価にも応用可能であった。
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