日本化粧品技術者会誌
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44 巻, 4 号
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特集総説 乳化技術の基礎と進化(4)
  • 早瀬 基
    2010 年 44 巻 4 号 p. 269-277
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    多くの種類のエマルションがさまざまな化粧品に適用されている。本質的にエマルションは不安定な系であるため,エマルション安定化のための多くの技術が研究されてきた。
    安定化方法として以下の3つのポイントが考えられる。
    1) 均一な乳化粒子を形成する
    2) 乳化粒子の動きを抑制する
    3) 乳化粒子の接触を抑制する
    ここでは化粧品に用いられるエマルション製剤の安定性制御の方法と応用例に関し解説する。
報文
  • 小倉 有紀, 牟田 恵子, 松永 由紀子, 平尾 哲二, 天野 聡
    2010 年 44 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    皮膚真皮のエラスチン線維は,皮膚の構造維持や物性 (強度や粘弾性) に重要な役割を果たしており,老化によるエラスチン線維の質的劣化や量的低下は,皮膚のしわやたるみの要因になると考えられている。しかし,その形成機構には未知の点が多い。これまで,in vitroにおいては,エラスチン線維を三次元で再構築させる系が確立されておらず,真皮線維芽細胞の単層培養における平面での線維形成や,遺伝子の発現などを指標とした研究が行われてきた。しかし,エラスチン線維の機能発揮には三次元構造の形成が必須であることから,より生体に近い三次元的なエラスチン線維形成を評価できるモデル系の開発が望まれてきた。これまで,三次元培養真皮モデルとして汎用されてきた収縮コラーゲンゲルは,エラスチン線維形成が誘導できないという問題点があった。そこで,エラスチン産生を促すフィブリンを用いた長期培養方法を検討して,新しいモデルを確立した。このモデルは,エラスチン線維形成に対する植物抽出エキスなどの効果の評価にも応用可能であった。
  • 芳賀 理佳, 鈴木 幸一, 松川 浩, 田中 結子, 一ノ瀬 昇, 竹中 玄, 藤田 早苗
    2010 年 44 巻 4 号 p. 285-291
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
  • 竹原 孝二, 井上 敬文, 上杉 健太朗, 竹内 晃久, 鈴木 芳生
    2010 年 44 巻 4 号 p. 292-297
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    屈折コントラスト法により撮影した画像を用いたX線マイクロCTにより,前処理などを施さないインタクトな状態で毛髪内部構造を詳細に観察することができた。パーマ処理毛髪と未処理毛髪の比較から,毛髪コルテックス部位でパーマ処理により空隙と思われる微細構造が生じることを見出した。この構造変化はパーマ処理による毛髪損傷の新しい側面を提示しているように見受けられ,屈折コントラスト法を用いたX線マイクロCTは毛髪研究に有用な手法と考えられる。
ノート
  • —脱毛器3機種とカミソリによる手入れの比較から—
    久留戸 真奈美, 中村 千春, 塩原 みゆき
    2010 年 44 巻 4 号 p. 298-303
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    昨今,若い女性たちの腕や脚に乾燥した状態が目立っているが,これはムダ毛の手入れと非常に関係が深い。本研究では,一般女性19名の腕,脚,腋の肌の状態を調査するとともに,電動脱毛器3機種とカミソリによる手入れを比較して,ムダ毛の手入れと肌への影響を調査した。この結果,手入れの前後で,TEWLが増し,安全カミソリのみならず,むしろ,肌を傷めずに脱毛できると訴求される電動脱毛器においても,肌に赤みや炎症を起こし肌荒れの原因になる可能性が示された。
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