白血病の診断は, 細胞の形態と, 特殊染色やモノクロナール抗体によってなされているが, 白血病の診断の一助としてブロッティング法の有用性について検討した. CMLでは45例中44例 (97.8%) と高頻度にM-BCR内に再構成がみられ, 1.2HBgと0.6HBの, 2種類のプローブが非常に有用であった. この2つのプローブで, 転座に際し欠失を伴う症例にも診断には, 十分であった. Ph
1陽性ALLでは第1イントロン内に切断点がみられる例が多かった. 成人のPh
1陽性ALLでは20例中20例でm-BCRに再構成がみられ, 小児例では, 9例中7例で再構成がみられた. したがって, m-BCRに切断点のみられる症例は, 高い確率をもってPh
1陽性ALLと診断することができる. APL症例では, RAR-αないしPML遺伝子内の再構成が全例にみられ, 2種類のプローブが診断に際し特異性が高いことが判明した. 染色体分析の結果が判明するまでに時間のかかることを考えるとサザンブロット法は迅速かつ有用な診断法ということになる. しかし, その利用に関しては, 相互転座に際してプローブに対応する領域が欠失した場合には再構成がみられない点に充分配慮する必要がある.
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