目的:可撤性部分床義歯(RPD)装着患者に対するメインテナンスケア頻度の相違が残存歯歯周組織の状態に与える影響を明らかにすることを目的とした.
方法:平成8年から平成17年までにRPDを装着し,約5年が経過した患者108名をリコール調査したなかで,RPDを継続使用しメインテナンスケアを受けた患者34名を対象とした.リコール調査までの間に1年に4回以上のメインテナンスケアを経験した患者群14名の135歯の残存歯,リコール調査までの間に1年に3回以下のメインテナンスケアを経験した患者群20名の185歯の残存歯について後ろ向きコホート研究にて比較検討を行った.調査項目は,支台歯および非支台歯についてRPD装着時とリコール調査時における1)O’Learyの Plaque Control Record(PCR),2)歯周ポケット深さ,3)Millerの動揺度,4)歯槽骨吸収度とした.
結果:PCR,ポケット深さ,動揺度および歯槽骨吸収度をRPD装着時とリコール時で比較すると,メインテナンスケアが年4回以上の群の支台歯においては4項目とも有意な変化は観察されず,非支台歯ではポケット深さおよび動揺度が改善していた.一方,3回以下の群の支台歯においてはPCR,ポケット深さおよび歯槽骨吸収度が有意に悪化し,非支台歯ではPCR,ポケット深さおよび歯槽骨吸収度が有意に悪化し,動揺度のみが改善していた.
結論:メインテナンスケアが年4回以上の群では支台歯歯周組織の健康維持に有効であった.
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