日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
ISSN-L : 1883-4426
14 巻, 4 号
令和4年10月
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
巻頭言
訂正とお詫び
依頼論文
◆企画:令和3年度関西支部学術大会/生涯学習公開セミナー 「磁性アタッチメントの基礎と臨床」
  • 権田 知也
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

     磁性アタッチメントは,磁石の吸引力で可撤性義歯を維持させる支台装置である.使われ始めたのは古く,1970年代より臨床で用いられてきたが,令和3年9月に保険適用となったことからさらに適応が増えることが予想される.適切に使用することで維持力を発揮し,支台歯にも優しい維持装置だが,使い方を誤ると問題を生じるため,適切に使用する必要がある.本稿では,基本的な術式を確認し,気をつけていただきたい点について説明する.

◆企画:令和3年度西関東・東関東支部合同学術大会/生涯学習公開セミナー 「Digital dentistry時代における「顎運動」の必要性」
  • ―見えないものを「観る・診る」ために―
    重本 修伺, 杉元 敬弘, 松本 勝利, 小川 匠
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 4 号 p. 351-356
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

     咬合器を使った間接法からCAD/CAMシステムで補綴装置をつくることが一般的になりつつある.しかし,どのような補綴装置が機能的に優れているのか的確に答えることは難しい.実証するには,動的な咬合接触や下顎頭の動態など見えないものを「観る・診る」手段が必要であり,「顎運動」はその一つとなり得る.

     顎運動と顎口腔の形態を収集・統合・解析することで「顎運動」をできるだけ具体化,標準化する必要がある.今回は,顎機能の検査・診断および補綴装置の設計・製作を可能とする「次世代歯科用CAD/CAMシステム」の現状を紹介し,Digital dentistry時代における「顎運動」の必要性について解説する.

  • ―顎運動の可視化・数値化によって進化する補綴臨床の実際―
    杉元 敬弘, 重本 修伺, 松本 勝利, 小川 匠
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 4 号 p. 357-362
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

     現代の歯科医療の進歩を牽引するデジタル技術による歯科医療,いわゆるデジタルデンティストリーは,歯科医療技術の向上だけでなく,それらのあり方を変革しつつある.しかし,顎運動に関連する臨床術式は術者の経験や技術に頼っている主観的な部分が多く,デジタルワークフローに反映させることは非常に難しい.そのためには顎口腔の形態と機能をデジタル化し,統合・解析することで顎運動についてできるだけ可視化・標準化し,「Science」と「Art」の両立を目指す必要がある.今回は顎運動のデジタル情報によって,日々の補綴臨床の試行錯誤的な部分の効率化と治療法のシステム化,簡素化を目指した取り組みについて説明したい.

原著論文
  • 若見 昌信, 續橋 治, 深津 晶, 内堀 聡史, 淺野 隆, 小西 賀美, 吉崎 聡, 小林 平, 小見山 道
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 14 巻 4 号 p. 363-372
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,新規銀系抗菌ガラスDL-7900(以下DL-7900)を用いて,Candida属真菌に対する殺菌効果の評価とその殺菌メカニズムの解明を目的とした.さらに,DL-7900の義歯洗浄剤としての応用も検証した.

    方法:1)DL-7900のCandida属8真菌に対する薬剤感受性試験とCandida. albicans(以下C. albicans)の最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration: MIC)および最小殺菌濃度(Minimum Fungicidal Concentration: MFC)の測定を行った.2)C. albicans菌液とC. albicansバイオフィルムに対するDL-7900の殺菌効果,またDL-7900が有効な殺菌効果を示す時間と使用回数を検討した.3)PCR法を用いて,DL-7900のC. albicans殺菌メカニズムを検証した.

    結果:1)実験に供したすべてのCandida属真菌は,DL-7900に対して感受性を示した.C. albicansに対するDL-7900のMIC値とMFC値は,それぞれ3.9 mg/mlと31.25 mg/mlであった.2)60分間以上C. albicansをDL-7900に作用させた場合,殺菌率100%であった.また,DL-7900はC. albicansバイオフィルムに対して,既存の義歯洗浄剤と同様に殺菌効果を示した.さらに,DL-7900は,連続使用してもその殺菌性は低下しなかった.3)PCR法によってDL-7900のC. albicans殺菌メカニズムを検証した結果,溶菌作用によって殺菌効果を発揮していることが推測された.

    結論:DL-7900は,高い殺菌力を有し,殺菌効果が持続する優れた義歯洗浄剤としての材料であることが示唆された.

技術紹介
  • 伊藤 竜太郎, 髙江洲 雄, 谷口 祐介, 加我 公行, 一志 恒太, 小嶺 亮, 都築 尊, 城戸 寛史, 松浦 尚志
    原稿種別: 技術紹介
    2022 年 14 巻 4 号 p. 373-378
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    目的:全部床義歯のろう義歯試適において,遠隔の歯科技工士との診療がオンラインにより効果的に行われるかについて,客観的評価とともに検討することを目的とした.

    材料と方法:補綴歯科専門医が上顎全部床ろう義歯の試適を,遠隔の歯科技工士とオンラインを介して情報交換しながら行った.後日,別の2名の補綴歯科専門医と補綴歯科認定医が動画のデジタル画像データを観察し,オンラインによるろう義歯試適が可能であるのかどうかについて評価した.

    考察:画像の画素数の制限からシェードの測定は困難と評価されたが,リップサポート,スマイルライン,モールドおよび発音の評価は十分可能と判断された.シェード選択の際は口腔内写真撮影を併用した方が良いが,ろう義歯試適をオンラインによって遠隔の歯科技工士の立ち会いの下で行うことは可能であると示唆された.

    結論:全部床義歯のろう義歯試適におけるオンライン診療による歯科技工士の立ち会いは十分に可能であることが示唆された.

専門医症例報告
  • 四ツ谷 護
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 379-382
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:76歳男性.「上顎の入れ歯が動いて食べづらい」という主訴で来院した.下顎前歯部には著しい咬耗を認め,対向関係は上顎前歯部顎堤に咬合接触する過蓋咬合であった.

    考察:安静空隙内の咬合挙上を金属床による部分床義歯で行い,上顎臼歯部の舌側咬頭には,金属床部分を拡大し咬合接触を付与させた.経年的変化の少ない金属歯を応用することによって,咀嚼機能の回復と審美的要望が長期的に維持されたと考えられる.

    結論:著しい咬耗歯列の前歯部欠損症例に対して,二次固定効果や咬耗歯列の進行抑制を考慮した金属床義歯による補綴治療を行い,良好な予後を認めた.

  • 岡田 信輔
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 383-386
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は80歳男性,咀嚼時の上顎義歯の易脱離,下顎義歯床下粘膜の疼痛を主訴として来院した.不適切な人工歯排列位置による咀嚼障害の診断の下,義歯の力学的安定を高めるため,臼歯部に交叉咬合排列を付与した義歯を新製した.

    考察:本症例では簡易咬合採得を行うことにより臼歯部の顎間関係が交叉咬合排列の適応であり,旧義歯の人工歯排列では対応できないことを診断できた.また,患者の水平的顎位をゴシックアーチ描記法を用いて決定したこと,閉口機能印象により十分な辺縁封鎖が得られたことが本症例の高い患者満足度につながったと考えられる.

    結論:機能時に易脱離する上顎義歯に対して交叉咬合排列の付与は有用である可能性が示唆された.

  • 竹内 周平
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 387-390
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:73歳男性.多数の虫歯でかめないことを主訴とし来院.多数歯齲蝕・歯周炎進行による咬合支持歯減少と咬合高径低下を認めた.治療期間中に生じた歯根破折歯には意図的接着再植法を適用した.プロビジョナルレストレーションおよび治療用義歯によって咬合挙上を伴う咬合再構成を行い,最終補綴装置を装着した.

    考察:強固な両側性臼歯部咬合支持とアンテリアガイダンスの付与により咬合崩壊に至るリスクを減じることができたと推測される.

    結論:本症例では,咬合挙上を伴った上顎クロスアーチブリッジおよび部分床義歯,下顎臼歯部連結冠および臼歯部ブリッジによる咬合再構成を行うことで咀嚼機能の回復と良好な経過を得た.

  • 上り口 晃成
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 391-394
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は74歳男性,下顎左側臼歯部の違和感を訴えて当院を受診した.主訴の原因は下顎左側第一大臼歯の破折であったが,患者はいわゆるパワータイプの患者で,咬合高径や咬合平面の問題を改善するため,インプラントを併用した全顎的固定性補綴治療を行った.

    考察:支持要素が不足する症例に対して,インプラントを適用することで欠損部に固定性補綴装置を追加することが可能になり,また残存歯の負担を軽減することが可能となった.インプラントによる咬合支持要素の追加は,いわゆるパワータイプ患者における全顎的補綴治療において有効である.

    結論:インプラントを用いた全顎的補綴治療によって咬合機能の回復と安定が得られた.

  • 西崎 真理子
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 395-398
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は67歳の女性.重度歯周炎を伴う多数の歯の動揺を主訴に来院した.重度歯周炎を伴う歯の抜歯は2回に分けて行い,義歯の増歯修理を行った.抜歯窩の治癒後,修理した義歯の形態を参考にして上下顎総義歯を製作した.

    考察:複数の咀嚼機能評価で治療効果を確認しながら義歯の調整を行ったことが患者の満足に繋がった.

    結論:多数の重度歯周炎を伴う歯を抜歯して局部床義歯から総義歯に移行する必要がある症例で,上下顎総義歯を製作する前に十分な形態修正と咬合調整を行った結果,新義歯で咀嚼機能を回復することができた.

  • 小川 晃奈
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 399-402
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:77歳男性.左側下顎歯肉癌 T4aN2bM0 のため,下顎区域切除術,左側頸部郭清術(Ⅰ-Ⅲ),プレート+腹直筋皮弁による再建術が実施されていた.術後の下顎位の偏位および舌圧低下による咀嚼障害と診断し,口蓋床を装着した.その後,最終補綴装置では上顎に総義歯形態の舌接触補助床および下顎に顎義歯を装着した.

    考察:今回の症例では,上下顎新義歯装着後に舌圧および咀嚼機能の向上を認めた.咀嚼,嚥下に留意した形態の義歯を製作したことにより良好な結果が得られたと考える.

    結論:口蓋部への舌の接触を考慮した最終補綴装置および機能訓練による舌圧向上により,比較的硬度の低い食品の摂取が可能となり咀嚼障害の改善を認めた.

  • 岩﨑 正敏
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 403-406
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は62歳の男性.「歯が揺れてきてかめない」,「歯肉から血が出てきて気になる」ことを主訴に来院した.歯科受診経験はないが受診に対して恐怖心を抱いていた.検査の結果,大部分の残存歯に著しい動揺を認めた.したがって,本症例では即時義歯を治療用義歯として使用し,その後,最終補綴装置を製作した.

    考察:初診時から丁寧な説明と心理的な負担の少ない処置から開始することで恐怖感を払拭することに努めた.その結果,最終補綴装置が装着可能となり,患者のQOL向上に貢献した.

    結論:歯科補綴治療の前段階として十分にコンサルテーションを行い,恐怖感を取り除いた後,適切な最終補綴装置を装着した結果,審美障害,咀嚼障害を改善した.

  • 佐々木 宗輝
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 407-410
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:58歳の男性.うまくかめないことを主訴として来院した.保存困難な歯を抜歯した結果,上顎は無歯顎に準じた状態,下顎は両側遊離端欠損となった.上顎は患者可撤式インプラント義歯を,また,下顎はミリングテクニックを応用した部分床義歯治療を行った.

    考察:上顎にはインプラントを用い,下顎にはミリングテクニックを応用した部分床義歯を装着したことで,上顎の受圧条件が改善され,義歯動揺の最小化によって下顎臼歯部の十分なサポートが得られたと考えられた.

    結論:患者可撤式インプラント義歯とミリングテクニックを応用した部分床義歯により,良好な予後が得られた.

  • 齋藤 由貴
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 411-414
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は76歳男性,がん専門病院にて上顎右側歯肉癌と診断され,上顎部分切除術を施行し,暫間上顎顎義歯を装着後,『発音しづらい』との主訴で,本院補綴科に紹介状を持参して来院した.右側口蓋欠損の鼻腔および上顎洞と交通による構音・咀嚼障害と診断した.右側口蓋欠損部の確実な封鎖と口蓋床研磨面の形態に配慮した義歯の製作を計画した.

    考察:咀嚼,嚥下,構音機能に配慮した形態を最終義歯に付与した結果,良好な予後につながった.

    結論:右側口蓋欠損患者において欠損腔の閉鎖や口蓋床研磨面の形態は咀嚼,嚥下および構音を発揮するうえで重要であり,それらに留意した最終義歯の製作が機能障害の改善に寄与したと考えられる.

  • 臼田 頌
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 415-418
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:47歳女性,左側上顎骨骨肉腫に対し,上顎亜全摘,開頭腫瘍切除術,遊離筋弁による口腔再建術を実施した.筋体移植直後の術中に,事前製作した補綴装置をチタンスクリューで口腔内に固定,約1か月間装着したままとした.スクリュー除去後は術後瘢痕収縮に対し形態調整等を行い,筋弁形態安定に伴い良好に可撤性補綴装置を使用することができた.

    考察:術中より補綴装置を継続使用することで,下垂しない良好な口蓋形態が付与された.また上皮化後も長期的に安定し,審美性,会話や咀嚼機能の回復も良好であった.

    結論:再建を必要とする症例の生命予後は厳しく,患者のQOLを考慮した低侵襲かつ1回の手術で行える本治療法は有用であると考えられた.

  • 小島 丈
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 419-422
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は55歳の女性.下顎歯肉癌にて右側舌半側と下顎骨右側辺縁,下顎右側側切歯から第二大臼歯の6歯,頰粘膜を切除し,前腕皮弁にて再建された.咀嚼障害,審美障害のため,顎義歯を製作し機能回復を図った.

    考察:ピエゾグラフィの応用により人工歯の排列位置だけでなく,顎欠損部,瘢痕収縮に伴う頰粘膜部の周囲組織に調和した義歯床形態を付与できた.またFGPテクニックを用いたことにより,良好な咬合接触関係を確立できたと考える.

    結論:ピエゾグラフィやFGPテクニックを使用し,顎義歯を製作したことで,顎欠損,皮弁再建症例に対して良好な予後が得られた.

  • 岩田 好弘
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 423-426
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は67歳の女性.咬耗による審美不良および咀嚼困難を主訴に来院した.診査の結果,咬耗症による咀嚼障害および審美障害と診断した.

    考察:咬耗および下顎金属製可撤性補綴装置の不適合による咬合の異常を認めた.上下顎右側犬歯と第一小臼歯のみの接触にもかかわらず,再現性のある中心咬合位を維持する下顎位を利用し,最終補綴装置を装着した.顎間関係に大きな変化を与えず,最終補綴装置装着にまで至ったことで,咬合の安定が図られ良好な長期経過が得られたと考える.

    結論:咬耗・咬合の異常に対して顎間関係に大きな変化を与えず,可撤性補綴装置から固定性補綴装置へ処置を行ったことで,咀嚼障害および審美障害が改善された.

  • 新谷 明一
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 427-430
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は21歳の女性.上顎右側中切歯欠損による審美不良に対し,部分矯正と顎堤粘膜形成後にモディファイドオベイト型ポンティックを併用したブリッジにて欠損補綴を行った.

    考察:プロビジョナルブリッジを指標とした顎堤粘膜形成術により,モディファイドオベイトポンティックと粘膜が調和し,良好な審美性の改善が得られた.5年11か月の仮着期間にて,顎堤粘膜の安定を確認したことから,装着後10年6か月経過した現在も安定した経過が得られている.

    結論:顎堤吸収を伴う前歯部欠損症例に対し,部分矯正と顎堤粘膜形成後にモディファイドオベイト型ポンティックを用いたことで,高い審美性と長期的に良好な経過が得られた.

  • 大嶋 瑶子
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 431-434
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:51歳女性.暫間補綴装置と義歯の不適合による前歯部の審美不良と咀嚼困難を主訴に来院した.睡眠同伴者の歯ぎしり音の指摘はなかったが,咬耗面の光沢から睡眠時ブラキシズムを疑い,上顎にコーヌステレスコープ義歯と夜間装着用義歯を製作し,下顎にインプラント治療を行った.

    考察:コーヌステレスコープ義歯により,各支台歯が強固に連結固定されリジッドサポートを獲得し,前歯欠損部に床を付与することで,リップサポートが確保され,審美性の改善につながった.

    結論:コーヌステレスコープ義歯とインプラント治療により審美性と咀嚼機能を回復し,夜間装着用義歯により支台歯への力学的負担を軽減し,良好な経過が得られた.

  • 吉田 裕哉
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 435-438
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は72歳の男性.下顎部分床義歯の破損と下顎両側臼歯部の欠損による咀嚼困難を主訴に来院した.下顎両側に生じている下顎隆起に対し,外科的処置を行うことなく,リンガルプレートを大連結子に用いたCo-Cr製の金属床による可撤性部分床義歯を製作した.

    考察:部分床義歯装着により臼歯部の咬合支持域の回復が達成され,金属床義歯を用いることで,義歯の異物感を最小限にすることで患者の満足を得られた.

    結論:下顎隆起を有する部分歯列欠損症例に対し,大連結子の選択に配慮し,金属床を用いた部分床義歯を適用することで良好な結果を得ることができた.

  • 大野 公稔
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 439-442
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は46歳の男性,前歯の見た目が気になるとの主訴で来院された.上顎左側中切歯,側切歯欠損による審美障害と診断し,ジルコニアコーピングに陶材前装を行ったオールセラミックブリッジを用いた欠損補綴治療を行った.初診時のアンテリアガイダンスを再現したプロビジョナルレストレーションにて機能異常が認められないことを確認したうえで,最終補綴装置を製作し,装着した.

    考察:最終補綴装置に初診時のアンテリアガイダンスを反映させたことで,審美と機能において患者が満足する補綴装置を製作することができた.

    結論:オールセラミックブリッジを製作し,審美的,機能的にも良好な経過を得ることができた.

  • 原木 真吾
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 443-446
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は40歳の女性. |4 欠損による咀嚼障害および審美障害,ならびに上顎前歯部の審美障害を主訴に来院した.上顎前歯部には軽度の叢生および形態不良,32|23 失活による明度の低下とコンポジットレジン充塡の色調の不一致を認めた.当該部位にはオールセラミッククラウンおよびブリッジにより審美的改善を行った.

    考察:診断用ワックスアップによりイメージを共有したうえで,患者の主観に基づいてプロビジョナルレストレーションに修正を加えつつ治療を進めることで,高い満足度を得ることができた.

    結論:審美的要求の高い患者に対し,主観に配慮した段階的な治療手順を踏んで補綴治療を行うことで,良好な治療結果を得ることができた.

  • 渡辺 崇文
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 4 号 p. 447-450
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は70歳男性.上顎ブリッジの動揺・多数歯欠損による咀嚼障害のため来院した.プロビジョナルブリッジおよび治療用義歯による咬合挙上とモチベーション維持のための患者指導を行った後,最終補綴装置を装着した.

    考察:外科的前処置や補綴的前処置が最終補綴への重要なステップであるとともに,患者との良好な信頼関係を構築する大きなきっかけとなった.さらに,内発的動機付けを行うことにより,患者自身の治療のモチベーションも継続させることができた.

    結論:効果的な前処置および内発的動機付けにより,補綴治療を行い良好な経過を得た.

feedback
Top