日本補綴歯科学会誌
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ISSN-L : 1883-4426
15 巻, 4 号
令和5年10月
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巻頭言
依頼論文
◆企画:第131回学術大会/専門医研修会「補綴難症例に対する補綴歯科専門医の解決策を共有する(その1)すれ違い咬合,高度顎堤吸収,摂食機能障害」
  • 大久保 力廣
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 427-433
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     パーシャルデンチャー治療における難症例とは,「通常の義歯設計や製作を行ったとしても患者の満足が得られない症例群」であり,すれ違い咬合はその最たるものとされている.すれ違い咬合の問題点は,術前は著しく悪化した残存歯や顎堤と崩壊した咬合への対処であり,術中は咬合挙上を含む顎位の修正と再構築が挙げられ,術後は義歯の破損と回転変位への対応が余儀なくされることにある.

     そこで,すれ違い咬合治療の難点を再考し,分類とそれぞれの特徴について概説するとともに,すれ違い咬合に対するパーシャルデンチャーの設計指針を提示し,治療上の注意点とインプラント支持の有効性,義歯装着後の回転変位への対応について解説する.

  • —デンチャースペース採得とダイナミック印象について—
    鱒見 進一
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 434-439
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     無歯顎の高度顎堤吸収症例に対する全部床義歯を安定させるためには,デンチャースペースの動態を記録して,これに調和した義歯を製作することが非常に有効である.一方,義歯製作時にいかに正確に精密印象採得が行われたとしても,種々の問題により作業用模型の粘膜面および辺縁部は完成義歯に正確には再現されない.そのため義歯完成後にダイナミック印象を用いて修正する必要がある.本稿では,デンチャースペースの代表的な記録法について紹介するとともに,ダイナミック印象の臨床術式についても解説する.

  • 小野 高裕, 堀 一浩
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 440-444
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     嚥下の準備期・口腔期を改善するために有効な歯科的アプローチである口腔内装置(義歯,PAP,PLPなど)は,いまだに摂食嚥下リハビリテーション(摂食嚥下リハ)の現場における普及度が低く,その理由はさまざま挙げられる.本稿ではまずリハの現場で義歯やPAP を適用するうえで歯科医師が知っておくべき基礎知識,すなわち「義歯の装着による準備期・口腔期への効果」における健常者の場合と摂食嚥下障害患者の場合との違い,リハ医療の現場で頻繁に見られる「合っていない義歯の見分け方と対応の原則」について解説する.また,リハ医療の現場において口腔内装置が普及するための要件について私見を述べたい.

◆企画:令和4年度東海支部学術大会/生涯学習公開セミナー「歯科訪問診療における補綴歯科治療から摂食嚥下リハビリテーションまで」
  • ─補綴的処置の重要性─
    蓜島 弘之
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 445-450
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     超高齢社会において歯科訪問診療の重要性が高まっている.訪問診療が必要な高齢者や障害者は一般の歯科診療に加え摂食嚥下リハビリテーションを必要とする者が多い.摂食嚥下リハビリテーションを進めるにあたっては診断とリハビリテーションの立案が大切であるが,歯科医師として歯科補綴処置を応用した代償的アプローチに精通することが大切である.口腔内に装置を入れることは歯科医師にとっての業務独占であり,チーム医療においても他の職種からの要望も強い.本稿では臨床的に効果のあるPAP(舌口蓋接触床)やPLP

    (軟口蓋挙上床)の適応や作成方法を説明していく.

◆企画:令和4年度第5回補綴歯科専門医研修会「機能的に最適な臼歯部の咬合接触を考える」
  • 田中 順子
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 451-457
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     臼歯部の歯冠修復を行う場合,重要なことは「機能的に最適」な咬合面形態を付与することである.技工室で作業用模型から正確に製作されたクラウンでも,患者の口腔内で咬頭嵌合位を正しく再現することはできない.そこで,クラウンの咬合面に咬頭嵌合位を具現化する臨床テクニックとして,咬合印象法による歯冠補綴法がある.咬合印象法は支台歯と対合歯の印象ならびに咬合採得を同時に行え,一塊で咬合器装着が行えるため正確な咬合面形態の装置が製作できる.また,咬頭嵌合位を正確に再現し,かつ偏心運動時の情報も咬合面製作時に反映させる方法としてFGPテクニックがある.本稿では,咬合印象とFGPテクニックの術式や技工操作に関して,デジタル機器とも合わせて対応できることを紹介する.

◆企画:令和4年度東関東支部学術大会/生涯学習公開セミナー「アナログとデジタル共存時代の歯科生体材料を再考する」
  • 谷本 安浩, 永田 俊介, 加藤 由佳子
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 458-466
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     近年,デジタルテクノロジーが歯科領域に導入され,CAD/CAMシステムなどを応用したデジタルデンティストリーも発展してきた.現在,CAD/CAMシステムには,除去製造(切削加工)法と付加製造(積層造形)法がある.これらに使用されるデンタルマテリアルは素材別に有機(高分子)材料,無機(セラミック)材料,金属材料,およびそれらを組み合わせた複合材料に分類され,それぞれに特徴がある.

     本稿では,CAD/CAMシステムにおける切削加工および積層造形に使用されているデンタルマテリアルの主な種類,特徴を概説し,今後の展望について述べる.

  • デジタル技術を援用した補綴臨床の現状と展望
    新谷 明一
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 467-473
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

     現在の補綴治療では,日常的にデジタルを意識した臨床がもとめられている.CAD/CAM冠の支台歯形成時には,それに適した形態にしないと誤差が生じ,臨床トラブルに直結する.また,前歯部でモノリシッククラウンを選択した場合,ある程度の色調再現は可能であるが,補綴専門医に求められているシェードマッチングを得ることは困難である.そのため,アナログとデジタルのどちらを選択すればよいのか,製作方法と材料選択には迷う点が多々ある.また,装置の製作法ではデジタルとアナログの境界線も明確ではない.そのため現状では,デジタル技術を正しく理解し上手に使うのみならず,アナログ技術を併用することで,良好な結果が得られる.

原著論文
  • 冨士 岳志, 羽鳥 弘毅, 中本 哲自, 樋口 大輔, 蓜島 弘之
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 15 巻 4 号 p. 474-482
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    目的:新義歯装着後の咀嚼能力は,旧義歯と比較して装着直後に低下するとされるが,その後の経時的評価をした報告は少ない.今回,可撤性義歯を装着した患者を対象に咀嚼能力を経時的に評価し,新義歯装着後の咀嚼能力に影響する因子を検討した.

    方法:可撤性部分床義歯または可撤性全部床義歯を装着し,新義歯装着後初回および充分な調整期間後に有床義歯咀嚼機能検査により2回咀嚼スコア(術後検査①・②)を得た患者を対象とした.評価項目は性別,患者年齢(70歳未満/以上),グミ摂取経験の有無,Eichner分類(B群/C群),残存歯の有無および調整期間(1か月未満/以上)で2群に分別し,各検査時および術後2回の検査間において咀嚼スコアの比較検討を行った.統計は,咀嚼スコアの変化の比較にはWilcoxon signed rank test(P=0.05)を,2群間の比較にはMann-Whitney’s U test(P=0.05)を用いた.また,検査間の咀嚼スコアの変化の比較にはWilcoxon signed-rank test(P=0.05)を用いた.

    結果:術前検査と術後検査①を実施した患者は64名(男性31名,女性33名)で,平均年齢は72.3±7.2歳であった.さらに術後検査②を実施した患者は23名(男性9名,女性14名)で,平均年齢は71.8±6.4歳であった.新義歯装着直後の一時的な咀嚼能力への義歯の影響を確認するため,各検査間で咀嚼スコアを比較したところ有意差は認められなかった.患者23名について,術後検査①・②間の咀嚼スコアの変化と関連があった因子は,年齢,Eichner分類および調整期間であった.2群間の比較では,各検査時のすべての評価項目について咀嚼スコアに有意差はなく,咀嚼スコアに影響を与える因子は認めなかった.

    考察:本結果から,新義歯装着後の咀嚼スコアに影響を与える因子として,年齢,Eichner分類,調整期間が予想された.すなわち,新義歯装着後の咀嚼能力の評価には,年齢や咬合支持域を考慮し,さらに充分な義歯調整期間を経る必要があると考えられた.

    結論:新義歯装着後の咀嚼能力には咬合支持域や年齢が影響する可能性があること,新義歯装着後の咀嚼能力の評価には,充分な長期観察を経る必要があることが示唆された.

専門医症例報告
  • 萩野 僚介
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 483-486
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は66歳女性.臼歯欠損および残存歯の動揺による咀嚼障害を主訴に来院した.残存歯の補綴装置は脱離し咬合高径の低下・咬合平面の乱れが認められた.咬合挙上と咬合平面を是正した全顎的補綴歯科治療を行うことで咀嚼機能の回復と審美性の改善を図った.

    考察:顔面計測,下顎安静位を参考に咬合高径および咬合平面を決定した補綴装置を製作したことにより,咬合支持が回復し咀嚼能力が向上したと考えられた.審美面についても患者の高い満足度を得ることができた.

    結論:全顎的補綴歯科治療を行ったことにより口腔関連QOL評価の結果に改善が見られ,良好な結果が得られた.

  • 佐竹 宣哲
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 487-490
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は41歳男性.上顎左側臼歯の疼痛による咀嚼の困難を主訴に来院した.重度慢性歯周炎による残存歯の動揺,咬合高径の低下,下顎偏位が認められた.重度歯周炎に対する治療とともに,咬合挙上を含めた下顎位の修正を行い,クラウンブリッジ補綴と部分床義歯による咬合再構成を行った.

    考察:エックス線検査と開閉口をよく観察した臨床所見において下顎偏位を確認し,オクルーザルアプライアンスを用いて下顎位を是正できたことが,治療効果に大きく影響したと考えられる.

    結論:下顎偏位を伴う患者に対し,開閉口等の下顎運動を十分診察することは,適正な補綴装置の装着と良好な経過に寄与することが示唆された.

  • 鈴木 翔平
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 491-494
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は71歳の男性.下顎前歯の動揺と咬合痛を主訴として来院した.上顎には全部床義歯,76|456 にはインプラント支持固定性補綴装置を装着されていたが咬合平面の不正を認めた.32|123 は保存困難のため抜歯し,上顎には全部床義歯を,下顎にはロケーターアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャー(以下IOD)を装着した.

    考察:上下顎補綴装置の再製作により咬合平面を修正し,下顎にはロケーターアバットメントを用いたIODを装着することで機能性と清掃性に配慮した補綴歯科治療を行うことができた.

    結論:咬合平面の不正を認める患者に対して,可撤性補綴装置による補綴歯科治療を行うことで良好な経過が得られた.

  • 石幡 一樹
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 495-498
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:73歳男性.下の奥歯がなくなり部分床義歯を作ったが,疼痛により使用できずかめないことを主訴に来院した.また,残った歯が欠けてとがっているため,見た目も気になっていた.咬耗による咬合高径の低下が認められたため,咬合再構成後,固定性と可撤性の補綴装置を装着した.

    考察:治療用義歯とオクルーザルスプリントを用いて垂直的・水平的顎間関係を決定した.プロビジョナルレストレーションを用いて機能および審美を確認したことで,高い口腔関連QOLが得られた.

    結論:咬合高径の低下に対して,オクルーザルスプリントおよび治療用義歯を用いて咬合高径の決定を適切に行うことで,患者の高い満足度が得られた.

  • 野﨑 浩佑
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 499-502
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:78歳男性.咀嚼時に下顎前歯が上顎口蓋粘膜と接触し疼痛が生じ咀嚼が困難であることを主訴に来院した.咬耗による咬合平面の不正および臼歯部欠損による咬合平面の不正による咀嚼障害と診断した.補綴空隙の不足が認められたため,オクルーザルスプリントにより咬合挙上し,顎位の評価後に固定性補綴装置および部分床義歯を装着した.

    考察:咬合再構成するための顎位を,オクルーザルスプリントを用いて評価し,補綴装置を製作することにより,予後が長期的に安定した治療を行えることが示唆された.

    結論:臼歯部欠損と咬耗により喪失した歯冠形態を,補綴装置を用いて咬合再構成を行うことにより咀嚼機能を回復することができた.

  • 宮安 杏奈
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 503-506
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は65歳女性で,上顎右側インプラント周囲および上顎左側大臼歯部の疼痛と腫脹による咀嚼障害を主訴に来院した.診断用ワックスアップを用いて治療計画を立案し,陶材焼付冠ブリッジと根面アタッチメントを用いた部分床義歯による咬合回復を行った.

    考察:義歯人工歯の咬耗を認めるものの,術後5年経過時においても歯周組織や補綴装置の状態は良好で,高い患者満足度を維持していると考えられる.

    結論:本症例では根面アタッチメントを用いることによって,上顎前歯のクラスプを回避でき,審美面に配慮した義歯設計が可能となった.結果として,患者満足度の高い補綴装置を装着することができ,患者のQoLの向上に寄与した.

  • 江越 貴文
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 507-510
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は66歳女性. |1 人工歯の脱離と,下顎全部床義歯の動揺による咀嚼困難と疼痛を主訴に来院した.下顎高度顎堤吸収に対しフレンジテクニックを用いて全部床義歯の製作を行い,義歯床粘膜面にアクリル系軟質リライン材を適用した.

    考察:フレンジテクニックにより口腔周囲筋の機能を反映した義歯床研磨面形態を付与し,義歯の維持,安定を得られたこと,軟質リライン材による顎堤粘膜の疼痛の緩和が,良好な予後に寄与したと考えられた.

    結論:下顎高度顎堤吸収の無歯顎患者において,適切な義歯床研磨面形態を付与し,軟質リライン材を義歯床粘膜面に適用した全部床義歯により,咀嚼機能の改善と高い満足度を得ることができた.

  • 河村 篤志
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 511-514
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は40歳の女性,顎の痛みとかみづらさを主訴に来院した.検査の結果,咀嚼筋痛障害および臼歯部咬合性外傷を伴う咀嚼・審美障害と診断した.スプリントの装着によって咀嚼筋痛症状の消退を図った後,智歯移植による臼歯部咬合支持の確立と,オールセラミックブリッジによるアンテリアガイダンスの再構築を行った.

    考察:自家歯牙移植による咬合支持の確立とプロビジョナルレストレーションを用いて検討した適切なアンテリアガイダンスの付与が,顎口腔機能の長期維持に有効であったと考えられた.

    結論:臼歯部の咬合支持の確立および適切なアンテリアガイダンスを回復する補綴歯科治療を行い,長期的に良好な結果を得ることができた.

  • 大竹 志保
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 515-518
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は25歳の女性.主訴は下顎左側臼歯部ブリッジの審美障害,咀嚼障害,および顎機能障害であった.左側第二大臼歯は鋏状咬合を呈しており,右側顎関節に疼痛とクリッキングを認めた.スタビリゼーションスプリントの使用後,部分矯正を行い,下顎左側に歯冠補綴を行った.

    考察:本症例では,初めにスタビリゼーションスプリントの装着による顎機能異常症状の改善,その後,部分矯正による鋏状咬合の改善により咬合状態が改善することにより,良好な経過が得られたと考えられた.

    結論:臼歯部の咬合状態を改善したことが,長期的に良好な経過を維持することに有効だった.

  • 小林 友幸
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 519-522
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は上顎前歯部の変色による審美障害を主訴に来院された.中切歯および側切歯はラミネートベニア,犬歯はセラミッククラウンにて改善を行った.

    考察:エナメル質の保存に努め,確実な接着操作を行ったこと,良好な口腔衛生が維持されていることが本結果につながったと考えられる.また,診断用ワックスアップやプロビジョナルレストレーションで段階的に確認を行うことで良好な患者満足度の獲得に寄与したと考えられる.

    結論:審美障害を主訴とした患者に対し,主観に配慮し段階的に確認を行うことで良好な患者満足度を獲得できた.

  • 福山 卓志
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 523-526
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:20歳の女性.先天性欠如による歯間空隙の閉鎖と金属補綴装置による審美性への不満の改善を希望し来院.歯列骨格統合モデルによる分析の結果,下顎骨の偏位や骨格的な異常は認められなかった.そのため,対合の補綴スペースを阻害している 3||3 の尖頭を咬合平面に合わせて形態修正した後,補綴治療を行った.

    考察:口腔内スキャナーによる咬合接触診査では,術後において咬合接触面積,咬合接触点数の増加が確認された.現在3年10か月が経過しているが予後は良好である.

    結論:歯列骨格統合モデルを用いた分析は,下顎の偏位や骨格的な評価・診断が可能であり,補綴治療を行ううえでは,有効な診断ツールであると推察された.

  • 中里 友香理
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 527-530
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は69歳の男性,臼歯部欠損による咀嚼困難および前歯部補綴装置脱離による発音困難を主訴として来院した.咬合高径の低下に対し咬合挙上により咬合の再構成を行い,インプラント義歯と歯冠補綴装置を用いて臼歯部の咬合を確立した.

    考察:咬耗と欠損部の長期放置が咬合高径の低下につながったと考えられた.また睡眠時ブラキシズムによる過大な咬合力が歯根破折や補綴装置の脱離を引き起こした可能性がある.

    結論:咬合高径の低下に対して治療用義歯とプロビジョナルレストレーションを用いて咬合挙上を行った後,インプラント義歯と歯冠補綴装置により審美性と咀嚼機能を回復し,患者満足度の高い結果を得ることができた.

  • 三浦 千晶
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 531-534
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は60代男性.咀嚼困難を主訴として来院した.残存歯は11本であり,上顎大臼歯は挺出し,すれ違い咬合であった.治療は下顎前歯の歯冠補綴装置の製作を進め,その後,治療用義歯を製作した.治療用義歯にて垂直的,水平的顎間関係を決定し,顎機能を確認後,最終補綴装置として部分床義歯の製作を行い,良好な咀嚼機能と審美性を得た.

    考察:治療用義歯による適切な咬合高径の回復と,最終補綴装置の適切な設計によって良好な長期経過が得られたと考えられる.

    結論:すれ違い咬合に対して治療用義歯を用いて補綴歯科治療を行い良好な結果を得た.

  • 畔堂 佑樹
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 535-538
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は71歳の男性.上顎右側中切歯の歯冠破折を主訴に来院された.歯肉縁下に及ぶ歯冠破折を認めたため,抜歯を提案したが,保存的な処置を希望されたため,プロビジョナルレストレーションによる経過観察を行ったうえで歯冠補綴処置を行った.

    考察:最終補綴装置装着後,約5年間,破折や脱離を認めず,患者は審美的にも満足していることから,良好な経過を得ていると考えている.

    結論:プロビジョナルレストレーションに適切なサブジンジバルカントゥアを付与することにより歯間乳頭を再建し,経過観察を行い,適切な形態を最終補綴装置へ移行することで,審美的に良好な結果を得ることができた.

  • 本庄 泰大
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 539-542
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は70歳男性.前歯がしみてかみにくいということを主訴に来院された.臼歯部欠損による咬合高径の低下および咬合性外傷に起因する咀嚼障害と診断し,旧義歯を治療用義歯として用い,残存歯にはプロビジョナルレストレーションを装着し中心咬合位での咬合再構成を行った.機能の異常が認められないことを確認したうえで最終補綴装置を製作した.

    考察:治療用義歯およびプロビジョナルレストレーションを用いて下顎位を修正し,その顎位を参考に歯冠修復および新義歯を製作することにより咀嚼障害を改善することができた.

    結論:咬合高径の低下した患者に対し,咬合再構成を行い機能的に良好な治療結果を得ることができた.

  • 中川 晋輔
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 543-546
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は71歳女性.下顎全部床義歯の不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.下顎の顎堤幅は狭く,両側臼歯部には顎堤吸収を認め,義歯の維持・安定は得られていなかった.下顎義歯の維持不良による咀嚼障害と診断し,インプラントオーバーデンチャー(IOD)による補綴歯科治療を行った.

    考察:本症例では磁性アタッチメントを選択し,高齢患者にも義歯着脱が容易であった.また,磁性アタッチメントの維持力により義歯の維持・安定が増した.

    結論:義歯の維持不良による咀嚼障害を訴える無歯顎患者に対し,旧義歯の問題点を踏まえて新義歯製作を行った後,磁性アタッチメントを適用したIOD は患者の口腔関連Quality of Life(QOL)を改善した.

  • 岩内 洋太郎
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 547-550
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は87歳女性.上顎全部床義歯の維持力低下,下顎部分床義歯の動揺による咀嚼困難と下顎残存歯の審美不良を主訴に来院した.習慣性咬頭嵌合位に異常を認めなかったため,治療用義歯の顎位を保持した状態で上下金属床義歯の製作を行った.下顎残存歯の補綴装置と同時に上下の義歯装着を行うことで,咀嚼機能の回復と審美性の改善を図った.

    考察:可撤性有床義歯の審美領域に設定した維持装置は審美性に劣るが,高齢患者にとって固定性の補綴装置と比較してメインテナンス等を考慮すると非常に有効な選択肢であると考えられた.

    結論:本症例では,金属床義歯と歯冠補綴装置により,審美性と咀嚼機能を回復し,患者の口腔関連QoLは術前に比べ向上しており,良好な結果を得ることができた.

  • 高瀬 一馬
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は76歳女性.咀嚼困難を主訴に来院した.過蓋咬合を呈しているが,経済的理由から矯正治療は選択肢になく,垂直的な補綴スペースの増加は困難であると判断できたため,可綴性補綴装置により治療を行った.患者は機能的に改善された治療結果に満足した.

    考察:患者は最終補綴装置装着後3年間特に問題なく経過している.可綴性補綴装置によって上顎咬合平面の改善が容易になったことが,良好な経過を得たものと考える.

    結論:過蓋咬合を呈する症例に対して,可綴性補綴装置を用いることにより咬合挙上を図ることは有効であった.

  • 小田 師巳
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 555-558
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は58歳女性で,食片圧入を主訴に来院した.臼歯部を中心に,補綴装置の摩耗や残存歯質の破折を多く認めた.咬合関係は,前歯に咬合接触がない開咬状態であった.補綴治療により犬歯に中心咬合位での咬合接触を付与し,側方運動時にグループファンクションによる大臼歯離開咬合を与えた.補綴装置装着4年5か月後も患者は機能的,審美的に満足している.

    考察:側方運動時に大臼歯離開咬合を与えたことで,補綴装置の過度な摩耗や破折を防ぐことができ,患者の高い満足に繋がった.

    結論:開咬の患者に中心咬合位における犬歯での咬合を付与し,側方運動時の咬合様式に配慮した全顎的な補綴治療を行ったことで,良好な経過を得た.

  • 梅津 健太郎
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 559-562
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は19歳女性.上顎前歯の違和感を原因とする咀嚼困難を主訴に来院した.診査診断の結果,1| は歯根破折のため保存不可能であり,抜歯適応であった.医療面接により,インプラント補綴治療を行うこととしたが,年齢的配慮が必要であり,それを考慮した処置を計画した.

    考察:顎骨および顔貌の成長が停止するまで,暫間的補綴装置を使用することで,機能性,審美性の維持を保ち,安全かつ計画的にインプラント補綴治療ができた.

    結果:患者年齢を考慮して,安全にインプラント補綴治療を行うことができた.成長過程を考慮した暫間的補綴装置の使用は有効であることが示唆された.

  • 水野 圭一朗
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 563-566
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は63歳の女性. 1| の咬合時疼痛を主訴に当院を受診された.また 2| には不適合な歯冠補綴装置が装着されていた.それぞれに補綴前処置後に,審美的な歯冠補綴治療を行った.

    考察1| および 2| は残存歯質が不足していた.1| は補綴前処置として矯正的挺出および歯冠長延長術を行った後,歯冠補綴治療し,2| は補綴前処置として外科的挺出後に歯冠補綴治療を行った.補綴前処置を行い,歯肉縁上に健全な歯質を確保したうえで歯冠補綴治療したことが,良好な結果につながったと考える.

    結論:目的に応じた補綴前処置後に歯冠補綴治療を行うことにより,良好な治療結果を得ることができた.

  • 須田 賢司
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 567-570
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は73歳男性.上下顎全部床義歯の動揺,審美不良,咀嚼困難を主訴に来院した.上下顎全部床義歯不適合による審美および咀嚼障害と診断した.治療用義歯を用いて顎位の偏位の修正と審美性および咀嚼機能の改善を確認した後,最終義歯の製作を行った.

    考察:治療用義歯にて口腔機能を適切に改善後に,機能的要素および形態的要素を最終義歯にトランスファーして製作したことにより,長期的に良好な結果が得られたと考えられる.

    結論:本症例において,治療用義歯による顎位の偏位の修正と,審美性および咀嚼機能の改善は,最終義歯装着後の長期的な義歯の安定をもたらした.

  • 川野 弘道
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 571-574
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は70歳の男性,機能時の下顎全部床義歯の動揺が受け入れがたいことを主訴に来院した.従来の全部床義歯による維持力の更なる向上は困難と考え,インプラントオーバーデンチャー(Implant overdenture:IOD)を選択し対応した.

    考察:従来の下顎全部床義歯では患者が満足する機能時の安定が得難く,維持力の向上を目的にIODを用いて主訴の解決を図った.本症例を通して,治療法の選択とともに患者のライフステージを考慮した補綴介入の重要性を再認識した.今後は顎堤吸収などの経時的に生じる事象に対し,注意深い経過観察が必要であると考える.

    結論:下顎全部床義歯を受忍困難であった患者に対し,下顎IODを適応し良好な結果を得られた.

  • 土井 一矢
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 575-578
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は64歳の女性,下顎左側固定性ブリッジ( |(5)67(8) )の咬合痛を主訴に来院した.|8 に歯肉縁下カリエスを認め抜歯を行い,下顎左側大臼歯欠損部に対してインプラント治療を行い,機能回復を定量的に評価した.

    考察:暫間上部構造での経過観察中,連結部の清掃不良による炎症所見が認められ,口腔内スキャナを用いた口腔衛生指導を行った.咀嚼機能の回復を定量的に評価して提示することが,患者自身による清掃の重要性や長期予後の維持に有効と考えられた.

    結論:臼歯部欠損に対するインプラント補綴治療によって咀嚼機能回復が良好に行え,咀嚼機能の定量的評価は機能維持に対する患者の意識向上に有効であることが示唆された.

  • 原田 佳枝
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 579-582
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:84歳男性.下顎義歯が食事や会話時に動き困ることを主訴に来院した.上下顎無歯顎,下顎義歯の舌房は狭く,小さな舌運動で動揺した.下顎位は不安定で口腔機能は低下していた.口腔機能訓練指導に加え,治療用義歯にて下顎位の安定を図り,新義歯を製作した.訓練指導により口腔機能は改善し,新義歯装着後はさらに咀嚼能力が改善し,自立維持を保つことができた.

    考察:治療用義歯で適切な床形態と咬合関係を決定し,複製義歯を用い反映させることで床形態に反映させ,維持安定に優れた新義歯を製作できた.

    結論:口腔機能訓練指導に加えて顎堤や顎機能の状態を配慮し製作した義歯治療には,咀嚼機能の改善と維持に有用である.

  • 三谷 裕子
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 583-856
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は49歳女性,複数歯の脱落,上顎前歯部の冷水痛と審美不良,咀嚼困難を主訴に来院した.残存歯すべての歯に未処置齲蝕を認め咬合崩壊による審美障害ならびに咀嚼障害を呈していた.歯周基本治療後,治療用義歯を用いて咬合挙上量と下顎位を決定し,テレスコープ義歯を製作した.

    考察:咬合再構成にあたり,挺出歯や傾斜歯の削除量と残存歯にかかる側方力を可及的に少なくすることを重視した.治療用義歯を用いることで,適正な下顎位を最終補綴装置に反映させることができた.

    結論:咬合崩壊した片側性低位咬合患者に,咬合挙上により適正な下顎位とアンテリアガイダンスを与えたテレスコープ義歯を装着し,咀嚼機能や審美性が改善された.

  • 白井 麻衣
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 587-590
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は73歳の女性.上下顎義歯の不適合および下顎前歯部の著しい唇側傾斜による審美不良を認めた.義歯の支持・把持機能の向上と植立方向の是正を目的としたコーピングとアタッチメント,上下顎義歯の製作により機能と審美性の回復を図った.

    考察:ろう義歯を複製したトレーで印象採得を行うことで最適な支台装置の形態を付与することができた.また,患者の習癖に配慮し,段階を確認しながら治療を進めることで,口腔内の大幅な改変に患者が適応することができたと考えられる.

    結論:唇側傾斜した残存歯を利用して機能を高めた義歯により,歯列不正による審美障害を改善し,残存歯,補綴装置ともに良好な予後が得られた.

  • 村上 和裕
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 591-594
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は52歳の女性.舌腫瘍切除後の下顎義歯の安定性の欠如を主訴に来院した.上下顎は無歯顎で,手術により舌欠損を認めた.検査の結果,舌欠損および義歯不適合による咀嚼障害と診断し,ピエゾグラフィーを用いて,上下顎に口腔周囲筋の動きに調和した全部床義歯を装着した.

    考察:舌可動部が欠損したことにより下顎義歯の安定を得ることが困難であった.そこで,ピエゾグラフィーを応用し,機能時に過剰な口唇圧や頰圧を受けない床形態や人工歯の排列位置を設定できたことが良好な結果につながった.

    結論:舌腫瘍切除後の無歯顎患者に対して機能的に調和した義歯形態を付与することで下顎総義歯の安定性を高めることができた.

  • 西尾 健介
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 595-598
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は79歳男性.全部床義歯の咀嚼不良を主訴に来院した.下顎歯肉癌の既往があり,手術の影響で左側顎堤は高度に吸収しており,さらに広範囲が可動粘膜となっていた.主訴を改善するべく,下顎義歯の安定を考慮し,新たに上下全部床義歯を製作した.

    考察:下顎全部床義歯の印象は,粘膜の耐圧機能を考慮し,左側のみ加圧印象とし,さらに人工歯排列はリンガライズドオクルージョンとすることで,下顎全部床義歯の安定に努めたことが良好な結果につながったものと考える.

    結論:本症例では,下顎歯肉癌の既往がある患者に対して,下顎全部床義歯が安定するよう精密印象と人工歯排列を工夫することで良好な結果を得ることができた.

  • 小見野 真梨恵
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 599-602
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:81歳の男性.開口時と咀嚼時の義歯脱離による咀嚼困難を主訴に来院した.上顎はフラビーガム,下顎は高度顎堤吸収を伴う無歯顎症例に対して,旧義歯を用いて粘膜や咬合状態の改善後,上下顎全部床義歯を製作した.

    考察:旧義歯の義歯床形態の修正および粘膜調整などの前処置を行った後,修正した義歯を参考に義歯床形態の付与と,顎堤形態に配慮した人工歯排列を行った上下顎全部床義歯を製作したことにより,良好な結果を得ることができた.

    結論:旧義歯の問題点を踏まえ,上下顎全部床義歯による欠損補綴治療を行った結果,患者の主訴は解決し,咀嚼能力,咀嚼運動などの客観的指標は改善し,機能回復が得られた.

  • 田中 雅章
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 4 号 p. 603-606
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は60歳の女性.歯の動揺による咀嚼困難および上顎正中離開による審美不良が主訴であった.下顎に固定性のハイブリッド型コンポジットレジン前装ブリッジを,上顎に内冠および外冠に金合金を使用し,前装材としてハイブリッド型コンポジットレジンを使用した可撤性ブリッジによる補綴を行った.

    考察:審美性および機能性を両立するため,ハイブリッド型コンポジットレジン前装ブリッジと可撤性ブリッジを装着することで,審美性と咬合支持の回復を図り良好な清掃性を得ることで高い患者満足度を得たと考えられる.

    結論:歯周病患者に対して可撤性ブリッジは有効な補綴装置であると考えられた.

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