イギリス, アメリカ, ソ聯などの国々では, 原子力発電がすでに始動ないし工場建設の段階に達しており, 特にわが国のごとく動力資源の乏しい場合には, 原子力に強い関心が持たれる。しかし原子力の工業的利用のためには, 有効放射性物質の分離精製, 取扱い, 原子力工場の各種設備など化学, 冶金学, 建築上の困難が山積していて, 基礎的工業水準の高くならない限り早急に立案は不可能である。金属ウラン製造, 原子炉によるプルトニウム製造, U.235の分離, 原子力発電についてその技術の大要を説明し, 原子力工業がいかに複難なものであるかを示す。さらにその近き將来における実現によつて, 製鉄工業, 石炭工業を始め全産業に甚大な変革がもたらされることを指摘する。
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