戦後のわが国の製鉄業における新技術は欧米のそれに膚接して追随している。新技術の導入はまず圧延部門, 続いて製鋼, 製銑部門について行われたが, 一般に大型化, 量産化の設備, 技術に向つている。
高炉では装入物の整粒化, 羽口からの酸素, 或は重油, 微粉炭などの燃料吹込みなどによる出銑率の向上, コークス比の低下に成功している。鉄鉱石の直接還元は新しい技術ではないが, 最近, 高品位微粉精鉱の利用法として, 天然ガスまたはコークスガスによる還元が具体化されつつある。
製鋼関係では平炉に大量酸素を吹込むことによって生産性が著しく向上されたが一方純酸素上吹転炉製鋼法の導入によつて, 絞り用鋼板向の極軟鋼の量産が経済的に可能になってきた。
わが国の鉄鋼生産高は著しく伸張する反面, 大部分の所要原料を海外に依存しなければならないが, 貿易収支, 国内市場の規模の点からみて, 輸入価格の低減輸出の飛躍的な増大をはかるなど大きな問題が残されている。
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