土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
78 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
和文論文
  • 伊藤 雅子, 内野 佳仁, 三浦 隆匡, 山副 敦司, 高畑 陽
    2022 年78 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

     トリクロロエチレンが溶解した地下水が移流拡散することで生じる帯水層汚染を培養瓶内に模擬し,塩素化エチレン類を完全脱塩素化するDehalococcoides mccartyi UCH007株を導入することによる浄化効果を確認した.培養瓶内の飽和土壌の間隙に乳酸ナトリウム溶液を添加して20℃で3週間培養し,土壌間隙中の地下水が嫌気的な硫酸還元状態であることを確認後にUCH007株を含む菌液を導入した結果,6週間後に分解生成物を含む全ての塩素化エチレン類の地下水濃度および土壌溶出量が基準値以下に減少した.培養瓶内に導入後のUCH007株は全細菌数に対して約0.1%の存在比であったが,浄化の完了まで導入時の菌数が維持され,塩素化エチレン類からエチレンまでの速やかな脱塩素化に寄与することが示された.

  • 高荒 智子, 佐藤 圭太, 西山 正晃, 渡部 徹
    2022 年78 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/20
    ジャーナル フリー

     都市下水処理水の培養で増殖した微細藻類を給餌することで,養殖魚の種苗生産に用いられる動物プランクトン(アルテミア)の成長と生存を調べた.標準活性汚泥法と塩素消毒で処理された下水処理水を培養したところ,微細藻類の増殖が確認され,その95%以上が緑藻網(すべてクロロコックム目)であった.培養後の微細藻類を乾燥し粉砕した後,餌料としてアルテミアに与えて10日間の飼育実験を行った.比較対照として市販餌を与えた条件や餌を与えない条件でも同様の実験を行った.その結果,微細藻類を与えた条件での10日後のアルテミアの体長は,他の条件よりも平均で16%大きかった.さらに,微細藻類を与えた条件でのアルテミアの回収量は市販餌を与えた条件よりも明らかに多く,下水処理水由来の微細藻類はアルテミアの餌料として有用であった.

  • 田中 恒夫, 村田 茜衣
    2022 年78 巻1 号 p. 21-29
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/20
    ジャーナル フリー

     酸性泉の流入による河川水の酸性化は,河川水の用水としての利用やコンクリート製河川構造物の建設などの河川総合開発を困難にしている.本研究は,酸性河川水の水質改善を目的として,電気化学的手法による中和処理を新たに提案し,その可能性について検討した.酸性河川水を被検水として,陽極に多孔質材を用いた場合,セルにおいて被検水のpHはアルカリ性に変化した.一方,アルカリ性水溶液を被検水として,陰極に多孔質材を用いた場合,被検水のpHは酸性に変化した.陰・陽極ともに金属板電極を用いた対照実験では,セルにおける被検水のpH変化は僅かであった.これらの結果より,印加によるセルにおけるpH変化は主に,イオン種の多孔質電極内への泳動の影響と推察された.電気化学的手法による酸性河川水の中和処理は可能と考えられた.

  • 池川 洋二郎
    2022 年78 巻1 号 p. 30-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

     地球温暖化対策のオプションであるCCS(Carbon dioxide Capture & Storage)におけるCO2地中貯留に関して,当社の第2選択肢としてCO2ハイドレート貯留を研究している.これまでにCO2ハイドレート貯留のポテンシャル海域や貯留可能量などを報告している.さらに,CO2ハイドレート貯留は,海底下地層の温度・圧力が支配することから,日本周辺海域の約175万点のデータを海水温–圧力関係に整理し,太平洋と日本海について,それぞれ定式を本報告に示した.ここにおいて,海水と海底面の接触点の温度が一致する場合,これらの定式は海底面の温度の推定に利用できると考える.

feedback
Top