1,4-ジオキサンは,環境動態が科学的に未解明であるため,従来のVOCsに比べて土壌汚染調査が困難である.本研究では,真砂土,黒ボク及び黒泥を対象として,土壌中の固相及び液相中の1,4-ジオキサンの分配の基礎的な検討を行った.各種分配試験(pH依存性,土壌含水比及び保水性)の結果では,分配試験初期に与えた1,4-ジオキサン濃度とほぼ同値の濃度となり,固相への分配割合は0.1~数%であった.しかし,高アルカリ条件では,1,4-ジオキサンが20%固相へ分配される可能性がある.土壌の保水性に着目すると1,4-ジオキサンは,有機分の少ない土壌で間隙水による希釈の影響によって濃度変化する可能性がある.このことから,特殊な環境(高アルカリ,低保水性)に移行しない限り,環境中に放出された1,4-ジオキサンは,間隙水または地下水へ移行することが示された.
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