アジア-北米東岸コンテナ輸送においては,従来中心的であったパナマ運河経由からスエズ運河経由へのシフトが進んでいる.一方,2016年にはパナマ運河が拡張される.拡張後に,スエズ運河経由へのシフトが続くのか,それとも,パナマ運河経由へ回帰するのかは,アジアで最もパナマ運河に近いわが国の北米への輸送の利便性に大きく関わる.
以上の状況を踏まえ,本研究は,アジア-北米東岸コンテナ輸送におけるパナマ・スエズ運河経由割合を算定し,スエズ・シフトの要因を分析した上で,拡張後の経由割合について試算を行ったものである.その結果,1) スエズ・シフトは両運河の通航船型及び通航料の差が主要因である,2) パナマ拡張後に両運河の通航船型が同レベルとなった場合,パナマ運河経由コンテナ量は2割強の増加が見込まれるとの結論を得た.
抄録全体を表示