土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
74 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
和文論文
  • 塚井 誠人, 塚野 裕太
    2018 年 74 巻 2 号 p. 111-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     空間情報基盤の整備によって,土地利用や人口動態などの地理情報はより小さな集計単位で入手できるようになったが,その特徴を適切に把握・圧縮する方法の開発は進んでいない.本研究では因子分析とトピックモデルの類似性を指摘した上で,集計単位の小さな地理情報への適用を通じて,後者の利点を明らかにした.中国地方5県の県庁所在都市を対象に,3次メッシュレベルで12属性を収集した.トピックモデルへの入力データは,自然階級分類によって12属性を96階級別属性に離散化して作成した.分析の結果,トピックモデルからは8種類の地理特性が得られたが,因子分析からは3種類しか得られなかった.トピックモデルから得たメッシュ別で最も優勢な地理特性の空間分布は,実都市の構造を適切にとらえており,同モデルの利点が確認できた.
  • 水谷 大二郎
    2018 年 74 巻 2 号 p. 125-139
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
     2005年のマルコフ劣化ハザードモデルの開発により,非集計的なマルコフ推移確率の推定方法が提案された.これにより,社会基盤施設のアセットマネジメントにおける統計的劣化予測モデルの推定精度が飛躍的に向上し,その適用事例も多数蓄積されている.本研究では,マルコフ劣化ハザードモデルが隣接する健全度間の健全度推移のみを仮定していることに起因して,本来,マルコフ過程モデルが表現できる隣接する健全度以外の健全度間の推移も含む劣化過程をマルコフ劣化ハザードモデルが表現できない点に着目し,その解決方法を提案する.具体的には,Multi-destination型のハザードモデルを用いてマルコフ推移確率を推定するための方法論を提案する.さらに,提案した方法論の有用性を橋梁の実点検データを用いた実証分析により検証する.
  • 高山 雄貴
    2018 年 74 巻 2 号 p. 140-151
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,時差出勤の普及(始業時刻の分散化)が経済活動の時空間分布に与える影響を分析する.そのために,Takayama1)により提案された始業時刻選択モデルと標準的な住居立地モデルを統合する.そして,ポテンシャルゲームの性質を利用して,その安定的な均衡状の性質を調べる.その結果,始業時刻の分散化はピーク時の交通渋滞を緩和させる一方で,郊外に居住するインセンティブを増加させることを明らかにする.さらに,社会的最適状態・次善最適状態の特性を調べることで,始業時刻の分散化は必ずしも効率性の向上につながるとは限らないことを示す.
  • 中内 和, 山田 圭二郎, 高橋 利之, 川崎 雅史
    2018 年 74 巻 2 号 p. 152-164
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー
     現在各地では,行政主導で様々な景観形成計画が策定されており,これらは計画設計論への応用を見据えた規制誘導のフィジカルな指針である.それにくわえ景観は,多様な主体の関わりや,それら主体によるまちづくりへの意志と積極的な関与も必要である.そのための試みの一つとして,人々が接する景観体験・思いの意味を引き出して,差異や共通点が生じる背景を理解することや互いに共有できる接点を見出すことが重要である.
     本研究では下北沢を対象として,属性が異なる被験者で街歩き・WSを行い,景観体験・思いの意味を解釈した.解釈した17の意味に関して,i)空間への接し方により発現する意味が異なること,ii)どのような主体であれ,空間に参加する際には当事者性やその承認を通じて,ある種の帰属意識を求める視点は共通していると考察された.
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