土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
67 巻 , 5 号
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土木計画学研究・論文集 第28巻(特集)
  • 佐々木 葉
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_1-67_I_14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本稿は,文明の装置として基本的に存在する土木施設のデザインに対して,時代とともに変化する社会的要請をどのように認識し,その中でデザインという行為を位置づけていくかに関する論考である.土木分野におけるデザイン概念を既存研究をもとに整理し,現代において土木デザインが担う役割として物語りの創造,コミュニケーション媒体,時間と場所の投錨を示すとともに,これらの価値創造を可能とするデザインのプロセスと主体に関する事項を試論として示した.最後に今後の展望として復興デザインへの示唆と研究蓄積の必要性を述べた.
  • 神山 藍
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_15-67_I_23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,京都の北山に位置する大文字山,衣笠山,朱山,大内山を対象として,それらの山の風景を「見方」の持続という観点から考察した.それぞれの山の見方を特定の視点場から歴史的に把握すると,山を霊山,神,眺める対象とする複数の見方が把握できた.これらの見方は視点場の性格の変化や興味の対象となる山が変化した場合においても継続され,ひとつの視点場において複数の見方が持続されていることがわかった.つまり,山の風景は,いくつかの見方の集積が持続されており,これを文化資産として認識し,保全していくことが重要であると言える.
  • 藤田 雅久, 高山 純一, 中山 晶一朗, 牛場 高志
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_25-67_I_34
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    近年,わが国では原子力発電所事故に対する国民の関心が非常に高まってきており,各種市民活動も活発化してきている.そのため,原子力発電所事故に対する防災計画の整備を充実させることが求められている.そのような状況から,本研究では防災計画の検討を支援するためのシステムとして,ミクロ交通シミュレーションシステムを構築し,新潟県柏崎刈羽原発周辺を対象地域として車両での避難シミュレーションを行っている.加えて,本地域の風向きや人口などの観点から地域ごとに原子力発電所災害時の危険度を考え,それらについてそれぞれの避難シミュレーションの重要性について検討を行った.その結果,現状の避難計画における避難経路などについて問題があることが分かった.
  • 二神 透, 木俣 昇, 濱本 憲一郎
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_35-67_I_43
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    災害リスク・コミュニケーションの成否は,防災分野を専門とし,かつコミュニケーション力にも優れた特定の専門家に依存している.すなわち,リスク・コミュニケーション主体の個人的な力に負うところが多いのでは,との指摘もなされている.それならば,様々な地域の様々な災害に対処しなければならないリスク・コミュニケーションは,極めて困難なものとなる.
    そこで,本研究は,コミュニケーションのABCモデル,役割理論と,拡張Cシステムという概念の導入を提案する.そして,重点木造密集市街地における地域住民との間で始まったリスク・コミュニケーションの分析を通して,成果が上げれるリスク・コミュニケーションのための「拡張C役割」の諸条件や,A役割を担う専門家への負荷の軽減化策の探索を試みている.
  • 川端 光昭, 松本 昌二, 佐野 可寸志, 土屋 哲
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_45-67_I_56
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    公共交通サービスの社会的経済価値を評価する際,直接的利用価値のみに着目した費用便益分析では,オプション価値や非利用価値を無視することになり,便益の過小評価になると考えられる.本稿では,測定手法としてCVMではなく,主として国外で研究が進んでいる表明選択法(SCM)を提案し,ケーススタディとして富山ライトレールおよび富山地方鉄道を対象にしてオプション価値を含んだ経済価値を測定した.本稿の結果と既往研究の知見を踏まえると,対象とした鉄道は,消費者余剰が300~500円/月・世帯,オプション価値が800~1,200円/月・世帯程度であると推定できた.さらに,富山ライトレールのオプション価値便益を算出し,そのオプション価値便益の持つ意味を吟味し,公共交通機関の正当な評価のためにオプション価値を含めた検討の重要性を指摘した.
  • 瀬戸 裕美子, 宇野 伸宏, 塩見 康博
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_57-67_I_68
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    災害の多い我が国では道路網の途絶リスクは非常に高い.ひとたび道路が途絶すると,医療をはじめとする様々な公的サービスへのアクセスが困難となるなど,災害に対して極めて脆弱な社会であるといえる.そこで本稿では災害に対して頑健な地域社会の樹立に向け,道路網の連結性・脆弱性を考慮した医療施設配置計画問題を構築した.具体的には,まず,道路網形状に基づく都市間連結性と,都市で享受できる機会の大小を考慮したアクセシビリティ指標を提案した.その後,提案指標に基づいて医療施設をネットワーク上に最適に配置する数理計画問題を構築し,丹後医療圏実道路網に適用した.その結果,道路網の連結性を重視した場合,それを考慮しなかった場合と比べて,より地域内格差を減少させる分散型の施設配置解が得られることが示された.
  • 川端 光昭, 佐野 可寸志, 土屋 哲, 松本 昌二
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_69-67_I_78
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    いわゆるコミュニティバスのような地域交通を確保するために,バス運営に地域住民が積極的に関与する取り組みが活発になっている.しかし,コミュニティバスは独立採算性に乏しく,運営経費の大部分を市民の租税で補填していることが多い.そのため,当該バスサービスの直接的利得を受けない市民(非受益地域市民)の合意形成を図ることが不可欠であると考える.そこで本稿では,住民主体のバス運営が,1)非受益地域市民の公正感を醸成し,2)公正感の醸成により支払意志額を高め得る,と理論仮説を措定し,この仮説を検証するために仮想市場法(CVM)を援用した心理実験を行った.心理実験は自治体主体と住民主体の2つのシナリオを用意し,それぞれ異なる被験者に回答を依頼した.その結果,本稿の仮説を支持する結果が得られた.
  • 松村 暢彦, 中山 智文
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_79-67_I_87
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    公共事業に対する合意形成は大きな課題であり,公共事業見直しの社会的風潮が高まる中,公共事業に対する人々の賛否意識の要因を明らかにするための研究は数々なされてきた.しかしながら,その賛否意識が人々の行動にどのような影響を及ぼしているまでは,十分に検討されてはいなかった.本研究では,大阪国際空港をケーススタディとして空港に対する意識や地域愛着などの意識と地域内での活動との間の関連性を質問紙調査の結果をもとに分析した.その結果,地域の課題に対して熟考度の高い人や行政への信頼が高く,地域に対する態度が良好な人ほど,地域内での活動に積極的である傾向が示された.さらに,住環境が悪化している地域では,公共事業に対する問題意識が高く,そうでない地域とは異なったまちづくり活動への参加動機の可能性が示唆された.
  • 三科 善則, 室町 泰徳
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_89-67_I_100
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本論文は,日本の自家用乗用車と貨物自動車の全国と地域別CO2排出量の変動を完全要因分析法により分析している.まず,複数要因の同時変動分を計上する交絡項を要因の変動量に応じて帰属,配分させる新しい分析法を提唱した.その上で,1990年度から2008年度の全国と地域別のCO2排出量の変動を分析し,主な変動要因を特定している.分析の結果,自家用乗用車のCO2排出量が2001年度以降減少傾向にある主な要因は,東北中部,九州では一台あたりの走行距離の減少,中国,四国では平均車両重量あたりの実走行燃費の改善であること,貨物自動車のCO2排出量が1996年度以降減少傾向にある主な要因は,各地域ともに,輸送トンキロあたりのCO2排出量の減少であることが示された.また,軽乗用車の普及と貨物自動車の自営転換の進展の影響が示唆された.
  • 伊藤 将司, 森本 章倫
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_101-67_I_108
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する要因を明らかにするものである.既往研究及び事例調査から,人(参加者とつながり),意識(目標と信頼関係),環境(適正な合意形成の場)の3つの要因を仮定し,詳細の事例分析によって検証を行った.
    その結果,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する流れを明らかにするとともに,その過程において,継続活動において3つの要因の形成が重要であることが明らかとなった.また,3つの要因に課題が生じた場合においては,継続活動が停滞する場合があることも分かった.
  • 木下 雅央, 浅田 拓海, 本多 誠司, 川端 伸一郎, 亀山 修一
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_109-67_I_116
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    北海道では,冬季の除雪作業によって区画線が剥離するため,毎年春季に多額の費用を投じて区画線の塗り替えが行われている.本研究では,走行車両から20m間隔で撮影された道路の内部景観画像(シークエンス画像)から求めた剥離率(DSR)と真上から区画線を撮影した画像から求めた剥離率(ASR)の関係,およびDSRと夜間視認性を表す反射輝度(RF)の関係を分析し,走行調査で得られるシークエンス画像からASRRFを推定する方法を開発した.また,この方法によって推定された調査路線のASRRFプロファイルに塗り替え基準を適用し,塗り替えが必要となる区間を求めた.
  • 稲山 孝典, 髙木 朗義, 北浦 康嗣
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_117-67_I_128
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    地球温暖化抑止に効果的な森林管理を考える場合,森林管理評価は森林内だけではなく社会全体を捉えた広域的な評価に加え,CO2収支量や地域経済効果といった多面的な評価も必要とされる.本研究では,森林管理施策をCO2収支量および地域経済効果を用いて評価可能な総合評価モデルを構築した.そして,長良川流域(郡上,美濃,関,岐阜,本巣,羽島地域)を対象地域とし,現行の間伐計画に準拠したシミュレーションを行うことで将来の森林状況を捉えるとともに,間伐材の市場拡大を見据えた森林管理施策を検討した.その結果,石油を原材料とした製品の代替材として間伐材を用いることが,CO2収支量,地域経済効果の両側面で有用性が高いことがわかった.
  • 大上 哲也, 牧野 正敏, 石川 真大
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_129-67_I_136
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    ラウンドアバウトは,一般の交差点に比べ,安全性,円滑性,経済性に優れ,各国で積極的に導入されている.日本においても,現在,指針等の整備が進められているほか,試験道路における実証データも収集されつつある.しかし,日本国内でのラウンドアバウトの導入事例は少なく,特に,日本の北部地方は積雪寒冷で気象条件が厳しいことから,冬期間におけるラウンドアバウトの効率的な維持管理手法の確立が必要である.
    このことから,本研究では積雪寒冷地におけるラウンドアバウトの問題に特化し,冬期の安全な道路交通機能の確保に資することを目的に,模擬ラウンドアバウトにおいて各種試験を行い,ラウンドアバウトの効率的な除雪工法について検討した.その結果,除雪機械の選定手法及び視認性を考慮した堆雪位置及び高さの提案が可能となった.
  • 中野 晃太, 高山 純一, 中山 晶一朗
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_137-67_I_144
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    救急搬送活動において,迅速な救急搬送はより多くの患者を救うために不可欠である.現在,3次救急医療施設などの重症患者に対処する高度な医療施設は都市部に集中しており,3次救急医療施設の少ない地方部との間に救急医療サービスの地域格差が生じている.地方部から都市部への搬送には高速道路が用いられているが,救急医療施設が高速道路のインターチェンジから離れている場合,搬送時間の増加が問題となる.そこで,高速道路と3次救急医療施設までの搬送距離の短縮を目的とした救急車専用退出路を設置することで,経路上の交通障害の回避ならびに,救急搬送時間の短縮が可能となる.本研究は,高速道路における救急車専用退出路の設置効果の分析を行い,今後の救急搬送業務の向上を目指す.
  • 伊藤 圭, 加藤 博和, 柴原 尚希
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_145-67_I_153
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    2050年における日本の地域内旅客交通起源CO2排出量を2000年比で80%削減するという目標を設定し,その達成のために必要となる交通施策の実施量を地域別に求める.まず,2000年の人口あたり排出量を推計し,この値の20%を各地域交通圏に割り振り,2050年における目標値とする.一方,2050年における排出量を予測し,目標達成のため必要となる削減量を把握する.交通施策として幹線区間における大量輸送機関の導入を想定し,路線建設と運行を考慮したLC-CO2を最小とする輸送機関とその導入延長を算出する.以上の手法により,2050年におけるCO2削減目標の達成のため,各地域交通圏において必要となる乗合輸送機関導入必要量や,都市域面積・人口密度によるその変化について示される.
  • 屋井 鉄雄, 鈴木 美緒
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_155-67_I_167
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    自転車走行空間が貧弱なまま自転車保有台数を伸ばしてきた状況にあるわが国において,自転車走行空間の整備には今後どのような政策展開が必要になるのかを検討するため,わが国の近年の自転車交通政策を概観した後,米国の自転車交通政策に関わる近年の制度的な仕組みや取り組みを,連邦,州,都市圏,市の各行政の枠組みに応じて文献およびヒアリングにて調査し,その全体像を概ね把握することができた.それら行政間の関係に留意しつつ考察し,今後のわが国の自転車政策への示唆として,理念,枠組み,原則の重要性と,具体的に(1)政策継続性,(2)ネットワーク計画の重要性,(3)政策・計画・整備に至る制度の設計,(4)関係機関および市民NPO等の連携と責任分担,(5)自転車走行空間の設計理念の確立,等を結論として得ることができた.
  • 森本 涼子, 柴原 尚希, 服部 有里, 加藤 博和
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_169-67_I_176
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    製品・サービス・プロジェクトの環境評価を行う際,評価範囲(システム境界)の設定によって結果が大きく異なることがある.本研究では交通システムを対象に,評価範囲設定による評価結果の違いを検証し,システム外部を評価範囲に含めた分析の必要性を検討する.例として,新たな地域間超高速旅客・貨物輸送システムの構築による環境負荷削減効果をLife Cycle Assessment (LCA)を用いて評価する.東京―大阪間を対象に,リニア新幹線新設とそれにより可能となる在来新幹線の高速貨物輸送での利用を想定する.旅客・貨物輸送を統合して評価することで,地域間輸送システム全体の環境負荷が減少する可能性を感度分析によって定量的に示している.また,環境負荷増加分をオフセット可能な高速貨物輸送機関の運行本数を明らかにしている.
  • 湯川 誠太郎, 畑山 満則, 多々納 裕一
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_177-67_I_188
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    近年我が国では,治水計画規模を超える降雨の発生頻度が増加傾向にあり,首都圏大規模水害では400万人以上の要避難者が発生する可能性が指摘されている.このような大規模水害における避難計画を策定するためには,現状の避難に関わるリスクを定量的に分析し,そのリスクを軽減する代替案を評価する手法が必要である.一方で,大規模水害避難計画の分析には膨大なネットワーク・避難者を扱う必要があるため,歩行者シミュレーションなどの既存の手法を適用することは適切ではない.そこで本研究では,歩行者避難に交通ネットワークの均衡分析の手法を適用することで,首都圏大規模水害における避難リスクの分析手法および避難計画代替案の評価手法を開発,被害の軽減のために有効な代替案を検討した.
  • 佐々木 邦明, 西山 明博
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_189-67_I_195
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,交通環境の変化を個人の主観的指標によって計測可能であるかを実証するものである.今回は中山間地に位置する2つの集落を対象に2009年に意識調査を含む生活意識調査を行い,その約2年後に再度同様の生活意識調査を行った.この2年間で,一つの集落ではデマンドバスの走行が開始され,他方は食料品店が閉店するなどの生活・交通環境等の変化があった.結果からはデマンドバスが走行を始めた集落では有意に主観的な生活満足度が向上した.また,個人の交通環境により主観的評価である移動手段に対する不満や,生活行動の断念が多くなる傾向も明らかになった.ただし生活満足度は個人の変化による影響が小さいことも示され,生活満足度は個人の変化による影響の小さな評価指標として活用できる可能性が示された.
  • 大石 希, 浅岡 朝泰, 高木 朗義, 北浦 康嗣
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_197-67_I_208
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    プロサッカーチームはJリーグが掲げる百年構想に従い,サッカー以外の活動を行うことで,地域の魅力向上など地域活性化に貢献している.その一方,チーム運営には厳しい現状があり,プロサッカーチームの存在意義が問われている.本研究ではプロサッカーチームがもたらす市場価値のみならず,非市場価値を評価し,プロサッカーチームが地域活性化に貢献していることを明らかにする.具体的には,FC岐阜に対するアンケート調査を実施し,大分トリニータのデータも用いて,CVMや機会費用,消費者余剰法によりプロサッカーチームによる地域活性化の便益を評価する.その結果,試合開催時における便益以外にも,生涯体育や社会貢献などの地域貢献活動に対する便益が小さくないことを示す.
  • 難波 雄二, 塚井 誠人, 桑野 将司
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_209-67_I_219
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    住民参加におけるワークショップ等の討議では,利害関係の違いや認識の齟齬によって,コミュニケーション上の対立が存在する.発言者の発言から討議過程を可視化し,討議の構造を把握することは,合意形成ノウハウの共有化に有効である.本研究では,委員会の発言録に記録された各討議参加者の発言に対してテキストマイニング手法を用い,討議参加者の意見を抽出し,討議内容を把握した.さらに,マルコフモデルに基づいて,意見推移,発言者推移を定量的に把握し,その討議過程の可視化を行った.この結果,討議における意見の特異点,発言者の特異点が可視化され,討議の構造が明らかとなった.
  • 藤澤 徹, 秀島 栄三
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_221-67_I_229
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    中心市街地商店街のような地区コミュニティでは,商店主や周辺住民をはじめとするコミュニティ内外の関係主体間でしばしば何らかの計画を策定することとなり,そのために主体間で交渉が繰り返されることがある.本研究では,ある商店街コミュニティにおける主体間のコミュニケーションプロセスを観察し,交渉的局面が顕在化する状況を捉えるとともに,各主体の利害得失を複数の項目に分解することで交渉的局面の転換とその要因を導き出した.そして,交渉的局面の転換とその要因の組合せを導出することが,難航する交渉の打開策の検討に応用可能であることを示した.
  • 大西 正光, 小林 潔司, 中野 秀俊
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_231-67_I_242
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    民間資金を活用して,インフラストラクチャーの建設及び維持管理運営を行うPPP (Public-Private Partnership)は世界的な潮流となっている.PPP事業における資金調達先も多様化する中,イスラーム金融が果たす役割が大きくなっている.本研究ではイスラーム金融の発展がPPP投資に与える影響を分析するため,イスラーム金融における金利決定メカニズムを明示的に表現したイスラーム金融市場モデルを定式化する.その結果,イスラーム金融の利益配分率(疑似利子率)は,預金,貸出の両市場において,通常金融の利子率よりも小さくなることが示された.さらに,預金者のイスラームに対する自覚が高まるほど,疑似貸出利子率が低下する一方,イスラーム金融に伴う取引費用が軽減されれば,疑似貸出利子率が増大することが示された.
  • 船瀬 悠太, 多々納 裕一, 土屋 哲
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_243-67_I_254
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,港湾の被災による機能低下が世界経済社会に及ぼす影響を定量的に分析するための枠組みを提示した.具体的には,空間的応用一般均衡モデルと,港湾の機能停止時の輸送構造の変化を表現するための国内陸上輸送モデルを用いて,平常時と被災時の経済状態を表現し,被災による港湾機能の停止が市場を介して世界経済に及ぼす影響を分析した.ケース分析として,名古屋港が機能停止に陥った場合の影響を分析した結果,名古屋港の被災は日本に多大な経済被害を及ぼし,日本国内の生産量を大幅に減少させるだけでなく,家計の厚生の低下という形で被害は諸外国に波及することが明らかとなった.また,長期的な均衡状態を考慮すると,生産要素が被災国から他国へとシフトする現象が見られた.
  • 谷口 守, 芝池 綾, 橋本 成仁
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_255-67_I_262
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    都市構造のコンパクト化など発想転換が必要な今後の都市づくりを進めるうえで,まず地方自治体の都市計画行政担当者から適切な態度形成を行うことが重要となる.本論文では実際に全国の都市計画行政担当者をワンショット型レクチャー(OL)を通じて広く対象とすることで,(1)担当者個人のソーシャル・キャピタルとの親和的な関係性(キャパビリティ)SCCに応じ,態度形成・変容が正の影響を受けることを定量的に明らかにした.また,(2)SCCを形成するための要因の定量的検討を行ったが,観察可能な一般的個人属性からはそもそも説明できる性質のものではないことが示され,(3)担当者個人の生い立ちや過去の体験まで遡及することによって,SCC醸成要件を初めて浮き彫りにした.
  • 谷口 守, 橋本 成仁, 藤井 啓介, 金井 太志, 落合 淳太
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_263-67_I_269
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    集約型都市構造の重要性が各所で認識されるようになってきた.しかし,一方で人口減少などに伴って各種都市サービスの撤退もこれからは多く発生することが予想される.この結果,特定の都市サービスの撤退によっては,居住者に生活上の負担が発生することも考えられる.このような都市構造に起因するリスクの潜在的な発生可能性を把握しておくことが重要である.本研究では地方中心都市である倉敷市を対象に,居住者の実際の居住パターンおよび交通行動を配慮して都市構造リスクの発生可能性を実際に検討した.分析の結果、商業施設の撤退が進むことによって,その商業施設近傍に居住している自動車依存者より,中心市街地外延部に居住している自転車利用者にリスクが顕在化することなどが新たに明らかになった.
  • YIN Yanhong, 溝上 章志
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_271-67_I_281
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    持続可能性の概念は今後の都市開発における重要なパラダイムであり,それを達成する一つの有効な方法としてコンパクトシティ政策が注目されている.本研究では,交通サービスに加えて一般財の消費も含めた個人の効用関数を定義し,彼の現在の効用水準を維持するという条件の下でエネルギー消費量を最小化した場合,最適な財の消費パターンが実績消費パターンとどれほど異なっているかによって都市のコンパクト性を評価するモデルを提案する.このモデルを熊本都市圏の2時点,および長崎都市圏にも適用し,どのような都市構造や交通サービスが現在の効用水準を維持した上でのエネルギー消費量削減に貢献するかを実証的に明らかにする.
  • 石塚 裕子, 新田 保次
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_283-67_I_290
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,視覚障がい者は移動を伴う観光行動へのニーズの表明率が低いという既往研究の結果を踏まえて,自身の五感を使って地区の魅力を体得するような楽しい散策経験は,散策意図の向上に寄与すると仮説を設定した.散策の支援策の一つとして観光ガイドに着目し,観光ガイドを伴った散策経験により,当該地の魅力の認知ならびに当該地を散策しようという散策意図の向上に寄与する可能性を検証し,観光ガイドを伴った散策の効果について考察を行うことを研究目的とした.その結果,観光ガイドを伴った散策の経験は,地区の印象や推薦意図の向上を促すことが確認され,視覚障がい者が当該地の魅力を認知することに寄与することが確認された.しかし,散策意図の向上を図ることは難しいことが明らかになった.
  • 伏見 新, 川上 光彦, 片岸 将広
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_291-67_I_298
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,金沢市の郊外居住系市街地の中から6町丁目を事例対象地区として選定し,国勢調査等の統計資料や居住世帯調査により,人口・世帯の変動や居住意識に関する分析を行っている.その結果,郊外居住系市街地では,一定年が経過した区画整理地区で人口が減少する一方,非区画整理地区で人口増加がみられること,世帯の小規模化が進行し,世帯分離等による増加が未だ緩やかに継続していること,継続的に一定の新規入居者がいることなどを明らかにしている.また,新規世帯の多くは若年で宅地の分筆による比較的小規模な土地・住宅に来住している実態を明らかにしている.さらに,郊外居住系市街地では,子が独立した世帯や後継ぎのいない高齢世帯の増加が進んでいる等の実態を明らかにし,郊外居住系市街地の都市計画的課題について考察している.
  • 平井 健二, 川上 光彦, 本館 孝文
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_299-67_I_306
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本稿では,常住人口に対する集客施設の延床面積という指標を用いて,地方都市圏における大規模商業施設の立地実態と,都道府県が策定した広域調整に関するガイドラインの実態を研究している.その結果,小規模な商業施設は減少しているが,大規模および中規模の商業施設は増加しており,地方中心都市の外側に立地する傾向がみられることを明らかにしている.この傾向により,中心市の中心性が衰退する恐れがある.また,各県のガイドラインより,広域調整の方法には事前調整型,事後調整型があることを明らかにしている.事前調整型はゾーニングにより事前に立地誘導を行う方法であり,11の県で採用されている.その他の県では事後調整型が採用されていることを示している.
  • 森國 浩一, 川上 光彦, 倉根 明徳
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_307-67_I_314
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本論文は,都道府県および政令市による都市計画道路の見直しガイドラインにもとづいて実施された都市計画道路の見直しについて,全国的状況を明らかにするとともに,比較的積極的な対応がなされている石川県に着目し,事例研究を行っている.事例研究では,県や市の担当者へのヒアリング調査や文献調査により,見直しの実態の分析を行った.その結果,全国的にほとんど行われていない廃止・変更路線への対応について,石川県のガイドラインには検討を必要としており,検討結果を住民へ説明する責任があるとしている.しかし,その実態として,廃止の代替などについて検討はされているが,実際に対応が行われた実態がなく,計画制度上の課題があることが明らかになった.
  • 鈴木 一将, 森本 章倫
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_315-67_I_320
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    我が国は人口減少社会に突入し,都市構造においても変革期を迎えている.その中で,各地で「集約型都市構造」の必要性が提唱されており,コンパクトシティ政策が注目を浴びている.しかし,郊外においていまだに開発が実施されており,コンパクトシティという目標を掲げているものの,達成するための手段が不十分であり,現実的な動きとして見えてこない.
    そこで本研究ではコンパクトシティ形成に向けた立地誘導策として,多様な立地誘導策を整理し,体系化することを目的とする.各地方自治体から事例収集した結果,転入誘導策,転出対応策,移転促進策の3つに分類することができた.また,実施されている施策の大半は転入誘導策であるということがわかった.
  • 塩井 恵理子, 森本 章倫
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_321-67_I_326
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    近年,地球環境問題への長期的な対応として2050年の未来都市が議論され,技術革新型都市と自然回帰型都市の2つの解決策が提示されている.しかし,その都市像の説明は,文字やイラストが中心で,具体的な都市像までは表現されていない.そこで,実在都市を対象にVR(Virtual Reality)の技術を用いて再現し,どのような都市像が2050年の都市に求められているのかを検討する.研究の結果,VRを用いた2050年の未来都市の再現について,一つの方法論を示すことができた.また,未来都市の再現結果を提示した調査の結果,市民が考えている都市像と提示した未来都市の違いを定量的に把握することができた.
  • 北川 夏樹, 鈴木 春菜, 羽鳥 剛史, 藤井 聡
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_327-67_I_332
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,「家族」,「学校や会社等の組織」,「地域」,「国家」という4つの共同体を取り上げて,これらの共同体からの疎外意識が主観的幸福感に及ぼす影響について実証的に検討することを目的とした.この目的の下,主観的幸福感を構成する「感情的幸福感」と「認知的幸福感」に関する既存尺度とヘーゲルの理論を基に作成した「人間疎外尺度」を用いて,両者の関連を検討した.その結果,共同体に対する疎外意識と主観的幸福感との間に負の関連性が示され,共同体からの疎外意識を感じている人ほど,その幸福感が低い傾向にある可能性を示唆する結果が得られた.特に,「家族」と「国家」に対する疎外意識は,感情的幸福感と認知的幸福感の双方に対して直接的な負の影響を及ぼし得る可能性が示唆された.
  • 宮下 奈緒子, 森地 茂, 稲村 肇
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_333-67_I_341
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,東京都区部における1980年から2010年の間の土地利用など,都市構造の変化を分析したものである.都心の地価が2000年に底打ちした後,住宅供給の急速な増加と共に都心の人口が増加している.また,都区部の事業所数は全体として減少傾向にある中,都心の一部の地区に限って増加がみられる.その背景として,産業構造がこの30年で大きく変化したことに加え,交通アクセスが改善した地区における都市開発が進み,情報通信業など成長産業の集積に寄与していることが考えられる.一方,これらの変化は,交通施設の容量と都市密度の成長の不均衡など将来の都市問題を引き起こす可能性がある.
  • 猪井 博登, 伊藤 翔太
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_343-67_I_350
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,福祉有償運送の運営協議会を取り上げる.福祉有償運送事業者へのアンケート調査により,運営協議会が有している問題点を示した.さらに,福祉有償運送事業者およびタクシー会社へのアンケート調査を行い,運営協議会に対する意識や福祉有償運送事業者に対する意識を調べた.その結果,タクシー会社は福祉有償運送について,同業他社の参入よりも,手間をかけてでも議論を尽くしたいと考えていることがわった.その一方,情報が少ない状況の下で,運営協議会では判断を求められていることから抑制的な態度に出ている可能性が明らかになった.
  • 霜田 宜久, 大沢 昌玄, 岸井 隆幸
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_351-67_I_359
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    新住宅市街地開発事業と土地区画整理事業を併用して実現された多摩ニュータウン開発では,鉄道,道路,河川など骨格となる都市施設の一体的な整備が重要な課題であった.通常,開発事業者は開発区域内の整備のみを行うが,多摩ニュータウン開発では,ニュータウン全体の整備促進のため開発事業者が骨格となる広域的な都市施設整備費の一部を負担している.本研究では,どのような考え方で整備が進められたのかについて,事業者と自治体などの間で結ばれた覚書や協定書から明らかにし,その結果どの程度の開発者負担が生じたのか,また実際の事業に期間はどの程度かかり,他の多摩地域と比較して事業進捗に差が生じたのか,そして最後に開発事業者の負担が可能となった背景は何か,について明らかにした.
  • 高瀬 達夫
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_361-67_I_367
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    近年,共働き世帯の増加にともない就学前児童の保育施設の需要が急増したことにより,都心部では待機児童の問題が現在深刻な問題となっている.しかしその一方で,地方都市では一部の幼稚園や保育園で定員割れが生じ閉園に至るケースも増えてきている.少子化時代を迎え,施設利用の総需要は確実に減少しているなかでのこの問題は,社会構造の変化に政策や制度が追い付いて行っていないことが大きな原因の一つであろう.こうしたことを鑑みて本研究では,就学前児童の保護者に対して利用状況・意識調査を行い,利用者特性を明らかにするとともに,利用園選択行動のモデル分析を行った.その結果,保育園利用者は休日・延長保育の有無ばかりでなく家からの距離の近さを重要視し,幼稚園利用者は保育料や送迎バスの有無を重要視していることがわかった.
  • 奥村 拓也, 中川 大, 松中 亮治, 大庭 哲治
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_369-67_I_377
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,一定以上の人口を有する全国163都市を対象とし,1975年~2005年までの4時点のデータを用いて,DID人口密度と乗用車保有率の経年的な変化を把握し,それらがどのように関連しているのかを分析した.その結果,1975年~1985年では,DID人口密度の高低やその変化の大小に関わらず乗用車保有率が増加しており,各都市間において乗用車保有率増加量に有意な差はみられなかった.一方,1995年~2005年では,DID人口密度が高いほど乗用車保有率増加量が有意に小さく,またDID人口密度があまり変化していない,あるいは高密化している都市の方が低密化している都市に比べ,乗用車保有率増加量が有意に小さいことを明らかにした.
  • 森川 達也, 中川 大, 松中 亮治, 大庭 哲治
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_379-67_I_387
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,実際の都市地域計画や住宅地開発の実情を踏まえ,町丁目スケールで,都市内小地域の開発状況についても考慮し,都市構造・地域特性と交通環境負荷との関連性を明らかにするために,全国61都市1,784の都市内小地域を対象に,詳細な地区特性に関するデータベースを構築した.そして,都市における空間的な配置状況だけでなく,開発時期に着目し,この両側面から交通環境負荷との関連性を分析した.
    その結果,小地域と商業拠点や鉄道駅などとの位置関係が類似していても,新たに開発された小地域と比べ,古くに開発された小地域は交通環境負荷が小さいことを明らかにした.以上より,都市のコンパクト化を図る上で開発時期も交通環境負荷の重要な要因であることを明らかにした.
  • 宮田 将門, 亀谷 国大, 加藤 博和, 川瀬 康博, 林 良嗣
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_389-67_I_398
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    日本の中山間地域の多くを占める森林や農地は,経済的な生産力は低いものの,「社会的価値」をもたらす生態系サービスを有しており,保全は重要である.しかし,どの地区から優先して保全を行うべきか,定量的な検討がなされていない.そこで,中山間地域における人工林・農地を対象に,生態系サービスの価値とそれを発揮させるために必要な維持・管理費との比である「地域の社会的必要性=NOD(social Necessity Of Districts)」指標を提案する.三重県松阪市・多気町の人工林でNODの算出を行った結果,全域での生態系サービスの価値は1,011.2億円/年,維持・管理費は49.6億円/年と算出され,林業従事者配置の変更によって,生態系サービスの価値を約1.3倍大きく発揮できることが示された.
  • 大窪 和明, 奥村 誠
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_399-67_I_406
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究では高齢者を含んだ社会的ネットワークにおける情報交換によって得られる知識の性質を明らかにする.具体的には,高齢者が経験を通じて知識を得る過程をモデル化し,さらに若年者との情報交換後に各エージェントが得られる知識の性質を明らかにする.はじめに,過去の経験から現在の初期信念が形成された場合には,多くの既存研究で用いられている初期信念の平均値が真の状態に等しいという仮定が成立しない場合があることを示す.高齢者と若年者が情報を交換することによって,初期信念の平均値と真の状態との間に生じた差異が調整されることを示す.さらに,調整された知識によって,高齢者と若年者が望ましい意思決定をするための条件を示す.
  • 竹内 幹太郎, 氏原 岳人, 阿部 宏史
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_407-67_I_416
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    産業集積の衰退により発生する低・未利用の既存建築物群「既存ストック群」を,新たな店舗出店の受け皿として用途転換を図る際の知見を得るため,既存ストック群を活用した店舗集積が発生している岡山市北区問屋町の卸商業団地を事例に,その店舗集積の実態を来訪者の行動と意識に関する調査に基づいて分析した.その結果,来訪者の行動には,問屋町内における店舗利用機会の増加や賑わい創出につながる“問屋町というエリア単位の要素”が現れていた.さらに,来訪者の意識に関する分析から,既存ストック群に店舗集積が形成されることで創出した問屋町全体の“雰囲気”が,出店店舗にとって利点となる来訪者行動の発生や問屋町としての魅力に効果を与えていることが明らかになった.
  • 松村 暢彦, 尾田 洋平, 來田 成弘, 楠田 勇輝, 平井 祐太郎
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_417-67_I_425
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    日本の郊外団地はかつて「目新しさ」「上流感」を誇っていいたものの,現在では輝きを失っている.郊外団地を居住地として存続していくためには,これらに代わる「なじみ」を醸成する必要がある.「なじみ」を「慣れ」「親しみ」「使いこなす」という要素も含めて定義し,これらの概念を元に兵庫県川西市大和団地でアンケートを行った.因子分析の結果,居住意向に関わる「なじみ」には「慣れ」「親しみ」「必要活動の場所の使いこなし」「任意活動の場所の使いこなし」の四要素が存在することが確認された.また「なじみ」の源泉となる場所には,空間の本質的な役割以上に,特別な想いがそこに込められているということがわかった.つづいて,場所の記憶を地域で共有する取り組みを行い,地域のなじみが向上することが示された.
  • 三古 展弘, 山本 俊行
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_427-67_I_434
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    RP/SPモデルは積極的に用いられてきたが,RP/SPモデルのための効率的なSP調査設計に関する検討は少ない.本研究では,SP調査の属性値をRPの属性値を基準に変化させる場合にはどの程度の変化が適切か,を検討する.分析は,RPとSPの誤差分散と誤差相関を考慮して発生させたシミュレーションデータにより,データを発生させた真のモデルと真のモデルを含むより一般的なモデルの両方を推定することで行う.分析の結果,誤差分散が大きいほど変化量を大きくした方が良い,誤差項に関する仮定が一般的なモデルでは変化量がない場合の近傍が最適,という知見が得られた.
  • 安藤 正幸, 高山 純一, 中山 晶一朗
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_435-67_I_453
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    市街地内において,効果的な社会資本整備や渋滞緩和および交通需要マネージメントを行うためには,ドライバーの経路選択の特性を把握し,現実に即した適切な経路選択モデルを選定することが必要となることが多い.本研究では,現実の経路選択行動の調査結果より,ドライバーは所要時間だけではなく道路幅員や信号交差点数など多様な要因により経路を選定していることを明確化し,このようなドライバーの経路選択行動の特性を踏まえ,既存のLogit型経路選択モデルの適合性を検証した.この結果,C-Logitモデルが最も適合することが判明した.また,最尤推計法によるパラメータの設定ができない場合,道路および沿道の状況を取り入れ,ドライバーの嗜好を考慮した効用関数の計算手法を提案する.
  • 佐藤 友理子, 岡本 直久
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_455-67_I_464
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    我が国では,インバウンド政策をはじめ,観光地および観光旅行の質の向上を目指した取り組みが進められている.特に観光地の戦略としてリピーター確保が必要とされているものの,これまで観光地リピーターの醸成要因や行動特性について,言及した研究は少ない.
    本研究では,観光地へのリピート行動を行う層とそうでない層の差異の規定要因を判別分析,共分散構造分析を用いて明らかにしようと試みている.また,観光地に対するリピーター・ノンリピーターの行動特性や評価を比較し,リピーター特性からみた今後の観光地戦略課題について述べる.
  • 中井 惇弥, 中山 晶一朗, 高山 純一, 長尾 一輝
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_465-67_I_472
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    LRTなどの軌道系交通機関を含む交通ネットワークやその施策を評価する際には,道路交通が持つ旅行時間の不確実性に対する軌道系交通機関が持つ旅行時間の正確性を考慮することは重要である.このような旅行時間の正確性と不確実性の差を明確に考慮しなければ,LRT導入等の効果を適切に把握できない部分があると考えられる.また,現実の交通状況は時刻によって大きく変化するため,特に朝ラッシュ・夕ラッシュ等の混雑の表現は重要であろう.本研究では,これらを考慮するため,旅行時間の不確実性を考慮した時間帯別均衡配分モデルを提案する.そして,提案したモデルを金沢都市圏の道路ネットワークに適用することにより,金沢都市圏へのLRT導入による効果分析,道路交通への影響を時間帯別に示す.
  • 伊藤 雅, 大西 学, 青山 吉隆
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_473-67_I_480
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,2008年に起きた急激なガソリン価格の変動による世帯の自動車利用行動,および消費行動への影響を捉えるために,広島市内の3地区を対象に世帯アンケート調査を実施した.ガソリン価格が130円前後から180円前後へと,50円ほどの価格差が生じた影響としては,自動車利用に関しては週当たり平均使用日数において約9%の減少となり,保有世帯の約4分の1で利用の抑制が行われた.世帯属性および自動車利用特性が,自動車利用抑制と消費節約行動にいかに影響しているかを数量化II類を用いて分析した結果,所得水準や自動車の利用目的が大きく影響していることが明らかとなった.また,自動車利用・保有に関わる転換意向モデルを構築することによって,ガソリン価格の変化による自動車の利用・保有状況の転換可能性を捉えることができた.
  • 岡本 裕也, 中山 晶一朗, 高山 純一
    2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_481-67_I_489
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    都市高速道路などでは,経路により料金を割り引く施策の検討が必要になるなど経路交通量の算出が必要な場面も多々ある.一方,広域を対象とした大規模道路網の交通量配分を行うには,多大な計算時間を要し,データ入力,結果表示のための作業量も膨大なものとなる.配分計算を何度も行う必要がある場合,何らかの計算の効率化は極めて重要である.ある程度の配分結果の精度を確保しつつ,計算費用を減らすための手法の一つにネットワーク集約化がある.本研究では,高速道路を含むネットワークの確率利用者均衡配分について,一般道路のみを通る経路を感度分析を用いて集約し,集約した一般道路の経路と高速道路を一部でも含む経路の間で配分を行う手法を提案し,仮想ネットワークを対象にその手法の計算時間の短縮・配分結果の有用性を検討する.
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