集積経済を扱った従来の立地理論(e.g., New Economic Geography: NEG)では,スケールの異なる空間単位(e.g., 東北ブロック~宮城県域~仙台都市圏)における経済活動の相互作用が明示的に考慮されていない.本研究では,その相互作用を明示的に導入した階層的(マルチスケール)空間構造を持つCore-Peripheryモデルを構築する.その均衡解の分岐現象をAkamatsu et al.
1), 2)と同様の手法で解析した結果,地域間・地域内交易費用の組合せに応じて,非常に多様な集積・分散パターンが生じうることが明らかにされる.なかでも,地域内競争の存在によって地域間での再分散現象が起きるという発見は,空間スケール構造を軽視してきた従来のNEG理論に対する再考を促している.
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