平成27年9月9日~10日にかけて鬼怒川流域において既往最大の降雨量となった「平成27年9月関東・東北豪雨」は,鬼怒川の堤防が決壊するなどの災害により,流域に大きな被害をもたらした。この出水において,鬼怒川上流にある4つの直轄ダム(五十里,川俣,川治,湯西川)では,通常の洪水調節に加え,下流の水位や洪水の状況をみながらできるだけ洪水を貯留し下流放流を絞る操作等を行い,4ダムで約1億m3の流水を貯留することにより下流の洪水被害の軽減に大きく寄与した。
CSGは現場近くで容易に入手できる岩石質材料(CSG材)を粒度調整や洗浄を行わず,セメントと水を添加し,混合して製造することから,CSG強度を確保するためにCSG材の粒度を確認する必要がある。現状はサンプリングで試料を採取し,人力によるふるい分け試験で粒度分布を求めるため,労力と時間を要し事後管理となっている。そこで筆者らは,コンベア上のCSG材にラインレーザを照射し,デジタルカメラで連続撮影した画像から粒径ごとの体積を求め,リアルタイムに粒度分布を求めることができる「3次元画像処理装置によるCSG材の連続粒度管理システム」を開発した。
御嶽山では,2014年9月27日に1979年以来35年ぶりとなる噴火が発生した。噴火による火山噴出物の分布や噴出量は,1979年に発生した噴火とほぼ同様であったことから,御嶽山を流域とする牧尾ダムの水質は,前回同様,長期にわたり噴火の影響を受けることが予測された。このため水資源機構では,中部地方整備局とともに,関係自治体や利水ユーザーと連携して効率的な水質調査を実施するだけでなく,精度の高い放流水質の予測を行いつつ適切な水質保全対策を実施した。その結果,現在までは大きな利水障害が発生することなく,下流への利水供給が継続できている。
重力式コンクリートダムの構造設計上の要件のうち滑動に対する安全性に対して,歴史的レビューを行った。また,その結果を踏まえて,せん断摩擦安全率の考え方とその改善方法について理論的な考察を加え,新たな提案を行った。