国内には多数の築造年代の古い小・中規模フィルダムがあるが, これらの多くは老朽化し堤体の安定性不足や漏水により早急な改修が必要とされ, かつ貯水池内に貯水容量低下や水質悪化の原因となる底泥土等が厚く堆積しその除去処分も必要とされている. しかしながら, 最近では改修に適した築堤土がダム近傍で入手できなく, 計画的な改修が難しくなってきている. この状況は規模の小さいため池の場合と同様である. 筆者らはこれまでに, ため池を対象に貯水池内の底泥土を堤体改修に使用できる築堤土に有効活用して, 堤体改修と底泥土の除去処分を同時に達成できる砕・転圧盛土工法を開発してきた. ここでは, この工法の概要紹介と, これをフィルダムの堤体改修に適用するための技術的な課題について, ため池の場合との比較から検討したものである.
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