日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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25 巻, 1 号
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特別寄稿
Editorial
総説
  • ―腸内細菌関連因子による肝がんの進展機構―
    大谷 直子
    2019 年 25 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2021/12/25
    ジャーナル フリー

    肥満は様々な種類のがんを促進することが指摘されている.私たちは全身性の化学発がんマウスモデルを用いた研究により,高脂肪食摂取により肥満したマウスにおいて肝がんの発症が著しく促進されることを見出した.そして,二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA)を産生するグラム陽性腸内細菌が高脂肪食摂取により増加することで,腸肝循環により肝臓に運ばれたDCAとグラム陽性菌の細胞壁成分リポタイコ酸(LTA)が,肝臓の間質に存在する肝星細胞の細胞老化と細胞老化随伴分泌現象(SASP, senescence-associated secretory phenotype)を協調的に誘導し,肝がん促進的ながん微小環境を形成することを見出した.LTAを介する経路により,プロスタグランジン(PG)の産生酵素,シクロオキシゲナーゼ2の発現も著しく上昇しており,PGE2が抗腫瘍免疫を抑制し,肝がんの進展に寄与することが明らかになった.この機構はヒトのNASH肝がんの一部でも認められ,ヒトでも同様の機構が働いている可能性が示唆された.

症例報告
  • 古山 準一, 檜森 亮吾, 水尾 仁志
    2019 年 25 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2021/12/25
    ジャーナル フリー

    70歳,女性.前医にて血液透析中.2008年9月Hgb 9.7 g/dl前後の貧血が持続し上部消化管内視鏡(EGD)目的で当科受診.食道静脈瘤,胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)を認め,2008年10月GAVEに対してアルゴンプラズマ凝固法(APC)(1回目)を施行しHgbは増加.2009年5月Hgb 10 g/dl前後に低下しGAVEの再発を認め,2009年6月APC(2回目)を施行しHgbは増加.肝生検にて特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断.その後は繰り返す貧血時,GAVEは軽症であり貧血の原因とは考えづらかったがAPCを4回施行.骨髄生検の結果,貧血は腎性および脾機能亢進と診断.2016年5月Hgb 8 g/dl台に低下し部分的脾動脈塞栓術(PSE)施行.その後,Hgb 11 g/dl前後で推移.今回,IPHの貧血に対してPSEが有効であった1症例を経験したので報告する.

テクニカルレポート
総会・研究会 司会総括
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