日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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26 巻, 4 号
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原著
  • 竹下 英次, 廣岡 昌史, 田中 孝明, 橋本 悠, 丹下 和洋, 花山 雅一, 八木 専, 山本 安則, 小泉 洋平, 渡辺 崇夫, 吉田 ...
    2020 年 26 巻 4 号 p. 237-243
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    門亢症に伴う出血リスクとして門脈圧亢進症性胃症(PHG),胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)は食道胃静脈瘤(EV)と同様に重要である.近年,門脈圧と肝・脾硬度の相関について報告されているが,本研究ではPHG,GAVEも含めた消化管出血リスクを評価し,肝・脾硬度との関連を調べた.対象は上部消化管内視鏡検査と肝・脾硬度を測定した92名.EV,PHG,GAVE,および治療歴から定義した門亢症関連消化管病変(PHRGL)と肝・脾硬度等の関連を解析した.EVは41.3%,PHG 43.5%,GAVE 9.8%に合併していた.PHRGL有無別での肝硬度は2.114 vs 1.802,脾硬度は2.621 vs 2.263と各々合併群が高かった(p<0.05).PHRGL合併に寄与する因子は血小板数,脾硬度,アルブミンであった.PHRGLは肝・脾硬度と関連し,特に脾硬度がその囲い込みに有用であった.

  • 青木 智子, 南 康範, 鶴崎 正勝, 盛田 真弘, 南 知宏, 千品 寛和, 田北 雅弘, 萩原 智, 依田 広, 上嶋 一臣, 松井 繁 ...
    2020 年 26 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    デンバーシャント術は難治性腹水症に対して行われる腹腔-静脈シャント術である.2014~2018年にデンバーシャント術を施行した7例を対象とし,非代償性肝硬変に伴うトルバプタン不応腹水への有効性と安全性を検討した.

    奏効の内訳は,(1)腹満感など自覚症状の改善:57%,(2)体重・画像など他覚的所見の改善:71%,(3)治療内容の改善:腹水穿刺の中止29%,利尿薬減量71%であった.総合評価からデンバーシャント術の奏効率は86%であった.術後合併症は,播種性血管内凝固症候群(n=3),創部哆開(n=1),特発性細菌性腹膜炎(n=1),肝性脳症(n=1),右心不全(n=1)を認め,保存的治療で軽快した.腹水コントロール不良で基礎疾患の病勢進行により術後30日目に永眠した症例が1例いた.

    デンバーシャント術は非代償性肝硬変症に伴うトルバプタン不応の難治性腹水に対して施行可能で有効な治療法と考える.

臨床研究
症例報告
  • 近森 文夫
    2020 年 26 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は68歳女性.吐血し入院.内視鏡で噴門部にフィブリン栓で一時止血された胃静脈瘤(GV)を認めた.造影CTでは,脾臓体積372 ml,肝臓実質体積1873 ml(嚢胞を含めた肝臓全体積は4226 ml),脾臓/肝臓実質体積比(S/L ratio)0.2と脾腫・多発性肝腎嚢胞,GV,胃腎・胃横隔静脈シャントを認めた.血管造影室においてNBCAを用いた内視鏡的硬化療法(EIS)・部分的脾動脈塞栓術(PSE)を連続して施行する緊急ハイブリッド治療を選択した.EIS・PSE後3D-CTでは,GV内のNBCA貯留と,シャント血管の残存が描出された.全身状態回復後待機的に経頸静脈的逆行性塞栓術(TJO)を施行した.TJO後3D-CTでGV内のNBCAの貯留とシャント血管の閉塞が確認された.多発性肝嚢胞症を原疾患とするGV出血に対して緊急ハイブリッドアプローチは止血を確固たるものとする上で有用と思われた.

  • 三原 史規, 竹村 信行, 國土 典宏
    2020 年 26 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.2015年5月腹痛を主訴に来院し,左側門脈圧亢進症を伴った膵体部の神経内分泌腫瘍と診断した.切除を試みたが腫瘍進展に伴い脾動脈根部が確保できず非切除となった.以降TS1+放射線照射を皮切りに,Everolimusおよび5-FU+Streptozocinを2018年1月まで施行.経過中に難治性の胃前庭部毛細血管拡張症(gastric antral vascular ectasia:以下GAVE)を合併し,計16回のargon plasma coagulation(APC)を要するなど出血のコントロールに難渋した.2018年3月の画像評価にて,腫瘍縮小が得られ切除可能と判断し,膵体尾部脾切除術を行った.門脈圧亢進により剥離操作は難渋したものの,合併症なく第27病日に退院した.術後3か月後に施行した上部消化管内視鏡検査ではGAVEの著明な改善が認められ,術後17か月無再発である.

短報
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