症例は80歳, 女性.C型肝硬変.2005年6月より徐々に貧血が進行し, 前医入院.同院における内視鏡検査において, 胃潰瘍, 食道静脈瘤とともにDiffuse Antral Vascular Ectasia (DAVE) を認めた.静脈瘤に対しEVLを施行し, ほぼ消失させたが, 貧血は改善せず, 黒色便を認め, DAVEによる貧血と診断しその治療目的に当院へ紹介入院となった.内視鏡検査において, 前庭部に著明なびまん性毛細血管拡張と認め, 胃体上部や十二指腸球部にもわずかにその所見を認めた.アルゴンプラズマ凝固 (APC) を1週間ごとに2度施行し内視鏡的に改善傾向を認め貧血の進行もなくなったたが, 2週間後の内視鏡検査において著明な発赤が胃体上部まで広がり, 十二指腸球部の発赤も治療前より増悪していた.そのためさらに2度APCを行い改善した.一般的な病変の部位を逸脱する高度な例であり, 治療としてのAPCは有効であったが, その治療過程において, 一気に増悪した稀な例と思われた.
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