インフルエンザA型野外流行株 (H3N2亜型) のヘモアグルチニンおよびノイラミニダーゼ抗原と, 発育鶏卵馴化A/PR/8/34ウイルス (H0N1亜型) の発育鶏卵尿腔内増殖力とをもつ高増殖性組み換えウイルスで試作したインフルエンザワクチンの免疫原性をしらべ, 次のような成績を得た.
現行のインフルエンザワクチンの力価検定方法で測定したKIX-1, KIX-4, KIX-7およびKIX-16ワクチンの力価を, 同じ抗原量を含むそれぞれの分離株親ウイルスワクチン (A/熊本/5/72, A/愛知/2/68, A/東京/6/73およびA/熊本/22/76) のそれらと比較してもそん色を認めなかった.
各組み換えウイルスワクチンは, ウサギおよびマウスにおける血球凝集抑制 (HAI) およびノイラミニダーゼ抑制 (NAI) 抗体産生能において, それぞれの分離株親ウイルスワクチンと同じか, あるいは, ややすぐれていた.
KIX-16ワクチンとA/熊本/22/76ワクチンのヒトにおけるHAIおよびNAI抗体産生能を比較したところ, ワクチン接種前後の平均抗体価にもとづく抗体価増加度合ではKIX-16ワクチンがわずかにすぐれていたが, 各抗体価が4倍以上増加した被接種者の数においては両ワクチン群で顕著な差異がなかった.
これらの成績より, 高増殖性組み換えウイルスで試作したワクチンは, 野外流行株で製造したそれらとくらべ, 免疫原性にそん色のないことを認めた.
抄録全体を表示