麻疹ウイルスとHBs抗原で免疫したマウス脾細胞とP3X63Ag8ミエローマ細胞とをポリエチレングリコール (PEG) によって細胞融合し, それぞれの抗原に対する特異抗体を産生する hybridoma 細胞を得た早抗体の産生は, それぞれの抗原をあらかじめ被覆したポリスチレンボールを固定相とした radioimmunoassay によってスクリーニングした. 23種類の麻疹ウイルス抗体産生 hybridoma と5種類のHBs抗体産生 hybridoma が腹水として得られた. 麻疹ウイルス抗体産生 hybridoma の腹水の抗体価を種々の方法で検したが, それぞれの腹水の抗体価が高値をとるものの, HI, HLI, CF,, NT価にはばらつきがみられ, HI陰陛, HLI価高値を示す腹水を含む10種類の抗体は, 麻疹ウイルスの79K hemagglutinin ポリペプタイドに対する抗体であった. 麻疹ウイルス持続感染細胞 (NC-S) を用いた螢光抗体法で, 細胞質と細胞膜に特異螢光を認め, 抗体の特異性がたしかめられた. 一方HBs抗体産生 hybridoma の腹水はPHA法で400~320,000倍の高値であり, Sephadex-G 200ゲル濾過, Ouchterlony 法などによって4種類がIgG抗体, 1種類がIgM抗体であることが確認された. またサブタイプ既知のHBs抗原陽性血清を用いての RPHA法によると, 2つの腹水が anti-r で1つがaを含むHBs抗原共通部分に対する抗体産生 hybridoma であった. これらの hybridoma 抗体をいろいろな生検, 剖検材料における抗原の局在を知るための手段として使用したい.
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