木材保存
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51 巻, 2 号
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解説
研究論文
  • 平良 尚梧, 宮内 輝久, 伊佐治 信一, 土橋 英亮, 松永 浩史
    2025 年51 巻2 号 p. 49-60
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    深浸潤処理の適用可能材料を拡大するため,代替インサイジング手法としてドリル加工を検討する目的で,スギ(Cryptomeria japonica)および乾燥履歴の異なるカラマツ(Larix kaempferi)の心材部に種々のインサイジング加工を施し,深浸潤薬剤の浸透性を評価した。ツイストドリルでインサイジング加工したスギは既存のフラット刃による加工材と同等の薬剤浸潤面積を示した。また,繊維飽和点以下でスギ材の含水率を複数設定すると,含水率を11.3%に調湿した試験体と比べ16.5%,19.2%に調湿した試験体では薬剤浸透が明確に阻害されたため,細胞壁内もしくは近傍を経由する薬剤浸透メカニズムの存在が示唆された。カラマツ材の薬剤浸透においても繊維飽和点以下の含水率依存性が現れたため,スギと類似の薬剤浸透メカニズムが示唆された。また,インサイジング方法によっては蒸煮乾燥が浸透性を促進し,カラマツ蒸煮材ではドリル加工がフラット刃による加工と同等の浸潤面積を示した。これらの結果より,ドリル加工が深浸潤処理の代替インサイジング手法として有望であることが明らかになった。

資料
  • 木口 実, 村田 篤史, 佐藤 晴巳郎, 伊藤 大稀, 石川 嵐士, 毛利 嘉一
    2025 年51 巻2 号 p. 61-67
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

     神奈川県藤沢市において7年6ヶ月間屋外で使用されていたセランガンバツ材製の木製ベンチを塗装処理するために,塗装前処理としての洗浄処理を市販の各種洗浄剤,漂白剤を用いて行い,それらの洗浄効果を検討した。屋外での使用により灰色化していた木製ベンチは,洗浄により明度(L)及び彩度(C)が増加する傾向を示すため,洗浄効果を明度及び彩度を用いて評価した。その結果,製品による効果の差があり,塩素系の木部用漂白剤が高い洗浄効果を示し,特に酸素系と塩素系の両方の漂白剤を含む製品が最も洗浄効果が高かった。一方,塩素系漂白剤でも家庭用や台所用の製品は使用時の希釈倍率が高く塩素濃度が低いため,木材の洗浄効果は低い結果となった。また,木部用でも界面活性剤による洗浄剤のみでは十分な洗浄・漂白効果は得られなかった。 以上から,屋外で使用されている木材の塗装前処理としての洗浄処理においては,木部用の漂白剤を使用することが望ましいと言える。

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