火山作用と関係ある無定形ケイ酸は成囚により物理的,化学的,熱的,X線的性質および赤外吸収に相違が認められる。すなわち,温泉沈殿物である牧園産は外観が生成条件により千差万別で変化に富み,概して水分を多く含み,鉄分多くアルミナ分が少ない。それに対し母岩の変質により生成した別府,沼尻産は均質で鉱量も豊富で,含量水分は比較的少なく,アルミナ分が鉄分より多く含まれている。X線観察では前者は無定形なものが多いのに対して,後者はクリストバラ/トの回折像を認める。熱分析ではいずれも原石ではクリストバライトの存在を認知できないが,900~10000Cに加熱するとクリストバライトのα→ β 転移に起因する吸熱ピークが現われ,アルカリ可溶性分もまたこの温度付近から減少することから,この温度付近で結晶化が促進すると思われる。なお,前者ば加熱温度の上昇と共に収縮するが,後者は2500Cより急激に膨脹して後,加熱温度の上昇と共に微少な膨脹をつづける。比重は前者が後者に比較して小さく,いずれも7000~8000Cで最低の比重を示すがさらに温度が上昇するとふたたび増大し,10000C付近でクリストバライトの比重に近づく。赤外線吸収は温泉作用をうけたと思われる牧園,別府産はシリカゲルと同様に2・7~3・35μ にかけて幅広い吸収が認められ,吸着水分が多量に存在するが,硫化作用により変質したと思われる沼尻産はきわめて微少である。
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