ボルネオールのエンド,エキソ両エピマー(ボルネオール,イソボルネオール)の確実な定量法を定めるため赤外吸収による分析を試みた。まず両エピマーの純粋試料をそれぞれ調製し,岩塩領域における赤外線吸収スペクトルを測定,比較した。3500付近のOH伸縮を固体,溶液で対比し,エンド型はエキソ型のものにくらべ会合の度合が大きく,エキソ型は立体障害のため遊離のものが多いことを知った。1,000~1,100間のOH変角,CO伸縮域は両者に特性的で,数個の波数を1%付近のCS2溶液を用いて0.5mmセルで測定し,特性吸収およびktの項をつぎのとおり定め得た。ボルネオール:1103(0.180),1069(0.060),1054(0.465),1029(0.182),1000(0.076)イソ:1103(0.135),1069(0.576),1054(0.065),1029(0.026),1000(0.290)。これらから0・2911ci十〇.1159c,・ΣDAi(klit)O.1159ci十〇.4390c2=ΣDzi(k2it)を導き,組成既知の試料について分析しおおむね±1%の精度で定量しうることを確かめた。またショウノウを含有する場合,その検出,定量法についても検討した。しかして本定量法を実地に応用し,各種の方法で合成したボルネオールを分析し,エンド,エキソ両異性体の組成比を定めることができた。なお,この組成比はボルネオールの反応条件によって影響されることを明らかにした。
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