日本化學雜誌
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85 巻, 7 号
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  • 黒川 洋一, 油井 敬夫
    1964 年 85 巻 7 号 p. 397-400,A33
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水-n-ブタノールの2液相ヘフッ化アルカリおよびフッ化水素酸を分配し,各濃度における見かけの分配率m2/m1(m,m2はそれぞれブタノール相および水相における塩および酸の重量モル濃度)を求めた。フッ化アルカリでは分配率は塩の濃度増加とともに大となったが,フッ化水素酸では一定値を示した。塩の濃度を0へ補外して活動度比による真の分配率を求め,その結果から塩1molがプタノール相から水相へ移動する際の自由エネルギー変化を計算し,LiF,-1.46>CsF,-3.83>NH4F,-4.07>KF,NaF,-4.29(kcal/mol)の結果を得た。さらにBornの式によって各イオンの相移動にともなり自由エネルギー変化とイオン半径との関係を求め,かつ塩化物について得られた結果と比較検討した。
  • 安積 敬嗣, 堂野 礼三
    1964 年 85 巻 7 号 p. 400-403,A33
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜の両側に異なる電解質が存在する場合,イオン交換膜を透過する電解質の拡散は複雑である。そこで,この機構を明らかにする目的で実験を行なった。強塩基性均質膜の一方の側に塩化ナトリウム溶液をおき,他方の側に硫酸ナトリウム溶液をおいた場合の塩素イオンと硫酸イオンの透過速度を測定した結果,塩素イオンと硫酸イオンの透過速度は塩化ナトリウム溶液,あるいは硫酸ナトリウム溶液の濃度が増加すると増大する。しかしこの透過速度と濃度との間には直線関係を示さない。また塩素イオンと硫酸イオンの透過速度は大体等しく,塩素イオンと硫酸イオンとがイオン交換反応により当量交換を行なって透過していることを暗示している。一方,膜中での硫酸イオンの拡散速度は塩素イオンにくらべて相当小さいことを認めた。
  • 渡辺 啓
    1964 年 85 巻 7 号 p. 403-410,A33
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    単一ク形波パルス法による電気複屈折の測定装置を製作した。単一ク形波パルスは最高電圧1200Vまで,パルス幅10μsecから50msecまで連続的に可変である。
    ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート(PBLG)の二塩化エチレン(EDC)およびジメチルホルムアミド(DMF)溶液の比Kerr定数および平均の緩和時間をそれぞれ複屈折の定常値と消滅曲線から求めた。比Kerr定数の濃度依存性は小さい。比Kerr定数は電場を強くすると減少し,複屈折の飽和効果が認められた。平均の緩和時間は濃度の減少とともに直線的に減少する。この直線から濃度0に外挿した極限の緩和時間を求め,円筒状分子の回転拡散定数に関するBroersmaの式を用いてPBLG分子の平均の長さを求めた。EDC溶液について比Kerr定数および飽和効果からそれぞれPBLG分子の永久双極子モーメントを求めた。これらの値から,PBLGのEDC溶液における単位長さあたりの双極子モーメントを求め,それぞれ2.5D/Aおよび2.7D/Aを得た。
    さらに,PBLGのEDC-ジクロル酢酸(DCA)およびEDC-DMF混合溶媒による溶液における比Kerr定数および緩和時間の溶媒組成による変化を研究した。PBLGのEDC溶液に少量のDCAを加えると,比Kerr定数はいちじるしく減少する。これはPBLG分子の電気的性質の大きな変化を示す,DCA10~75vol%で比Kerr定数はほとんど一定であるが,DCA75vol%付近でふたたび急激に減少する。DCA75vol%の溶液で温度を上昇させると比Kerr定数は狭い温度範囲で急に増大する。これはPBLGのランダムコイルからヘリックスへの転移に相当する。
    比Kerr定数の電場依存性の測定からも少量のDCAの添加によりPBLG分子の見かけの双極子モーメントがいちじるしく減少することが確かめられた。一方,τ/ηo(τ;は複屈折消滅の平均緩和時間,ηoは溶媒の粘度)や還元粘度のような流体力学的性質はDCAの添加によりあまり変化しない。これらの現象の原因を種々の角度から考察し,ヘリックス末端のベプチド基のプロトン化によるものと推定した。
  • 加部 利明, 安盛 岩雄
    1964 年 85 巻 7 号 p. 410-415,A33
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセチレンの接触水素化反応にあらわれる触媒作用の選択性の原因を明らかにする目的で,α-アルミナ付パラジウム触媒により,温度範囲30°~200℃,全圧25~100mmHg,反応気体組成として水素:アセチレン比1:2~2:1の条件のもとに反応速度式,生成エチレン/エタン比としての選択率,およびそれらの温度変化を求めた。反応初期における速度式は低温では水素圧に1次,アセチレン圧に0次であるが,150℃以上ではアセチレン圧の1次に変化する。また120℃以下での初期のエチレン,エタンの生成は並発反応であることが示された。反応初期の選択率はガスの組成によらずほぼ一定で,温度上昇とともに次第に減少するが,120℃より高温側では急速に増大する。また並発する重合反応は全アセチレンの10~20%である。以上の結果と,同一触媒によるアセチレンの吸着,およびエチレン水素化反応の結果とを総合してアセチレン水素化反応の機構を考察した。
  • 宮崎 栄三, 安盛 岩雄
    1964 年 85 巻 7 号 p. 415-418,A34
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル線触媒に対する水素の収着を,温度45°~385℃,圧力1×10-3~15mmHgの範囲で測定した。水素の等温収着量は,つぎの等温式,n-kaKa1/2/(1+KaP1/2)+kbKbP1/2(P:水素圧,k,K:定数)でよく表わされることから,収着に際して,表面におけるLangmuir型の解離吸着および固体内部への解離吸収が,同時に行なわれることがわかった。
    収着の温度変化から求めた吸収熱および吸収状態のエントロピーは,-5.1kcal/molおよび29e.u./9-atom(285℃,1mmHg)で,従来の値とよく一致する。また,吸着熱および吸着水素のエントロピーは,それぞれ12.6kcal/molおよび11.9e.u./g-atom(285℃)であり,さらに水素の飽和吸着量は,BET法により求めた全表面積の約20%に相当することを確かめた。
    これらの結果を,蒸着膜および粉末などについて得られた従来の値と比較し,ニッケル線の表面は水素吸着に対して,十分均一であることを見いだした。
  • 佐野 〓, 福田 矩彦, 小島 晃
    1964 年 85 巻 7 号 p. 419-422,A34
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    氷晶核の作用機構を解明する目的で,炭酸カルシウム,ヨウ化銀およびヨウ化鉛の水蒸気の吸着等温線を10°,0°,-10°および-20℃の各温度で重量法により測定した。吸着等温線はいずれもBET-II亜型を示し,またこれらの等温線からBET式によって単分子層吸着熱を求めると水または氷の気化熱に近い値が得られた。
    なお,0℃でヒステレシスを調べたところ,ヨウ化鉛については認められなかったが,炭酸カルシウムについてはヒステレシスが認められた。ヨウ化銀についてもヒステレシスが認められたが,この場合には圧力が低くなってもループが閉じないもののようであった。
  • 児玉 睦夫, 益子 みつい, 滝本 悦代
    1964 年 85 巻 7 号 p. 423-428,A34
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    緩衝剤を含むニトリロ三酢酸塩溶液を支持塩溶液とし鉄(III)の水銀電極表面における還元反応についてボーラログラフ法を用い実験検討を行ない,その反応機構の解明を行なった。
    実験の行なわれた条件のもとでは鉄(III)は可逆的な一電子還元をうけるが,半波電位のpH,ニトリロ三酢酸,および緩衝剤の濃度に対する依存性から考え,3.0<pH<4.75ではFeX,FeX23-のほかにFeHX+,FeX(OH)-,およびFeX(Ac)-が電極反応に関与しており,還元生成物である鉄(II)がFeX-,またはFeX(Ac)2-の形で存在することが推定される。また,4.75<pH<7.00ではFeX(OH)-,FeX23-,およびFeX-が,7.00<pHではFeX(OH)-,FeX23-,FeX(OH)22-がそれぞれ電極反応に関与し,8.50<pHでは還元生成物である鉄(II)が一部FeX(OH)2-の形で存在することも明らかになった。
  • 木田 茂夫
    1964 年 85 巻 7 号 p. 428-430,A34
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エタノールアミン(NH2CH2CH2OH=eta)の金属錯体,Cu eta'etaClO4(eta'=NH2CH2CH2O-),Cu eta'2,Co eta'eta2ClO4,Nieta'eta2ClO4,および1,2-ジフェニルエタノールアミン(C6H5CH(OH)CH(NH2)C6H5=L)の金属錯体,CuL2(ClO4)2,CuL'LClO4,CuL'2(L'=C6H5CH(O-)CH(NH2)C6H5)を合成した。アルコール基の酸素で金属イオンと配位結合する場合,その酸素に結合している水素が陽イオンとしてはずれる場合もあり,そのままで配位る場合もある。これは合成の際の微妙な条件(主として溶液のρH)で支配される。
  • 岡 好良, 山本 勝巳, 青木 正
    1964 年 85 巻 7 号 p. 430-434,A35
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    0.1N~pH2.0の酸性領域でトリウムとフラボノール-2'-スルホン酸が反応するとき組成1:1のキレートを生じ365mμを中心とする吸収が見られる。その安定度定数としてイオン強度0.50で1.9×1010(25.0°±0.1℃)を得た。pH6.0~7.0では吸収極大が373mμほどに見られる1:2の組成のキレートを生じ,その安定度定数としてイオン強度0.50で6.0×107(25.0°±0.1℃)が得られた。フラボノール-2'-スルホン酸の熱力学的酸解離定数として6.0×10-10を得た。
    1:2キレートは最低0.16γ/mlほどまでのトリウムの定量に利用できる。Beerの法則にしたがい,373mμでモル吸光係数は32700で鋭敏である。
  • 小松 寿美雄, 北沢 千和, 畑中 〓
    1964 年 85 巻 7 号 p. 435-437,A35
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジエチルジチオカルバミン酸銅に銀(I)を加えて遊離する当量の銅(II)をEDTAで滴定して銀の間接定量を行なった。定量操作はつぎのようである。カルバミン酸銅約50~60mgを水に懸濁させたものに銀溶液を加えて約50mlにした溶液をはげしくふりまぜる。交換反応後残ったカルバミン酸銅および生成したカルバミン酸銀をロ別し,ロ液をNH4OH-NH4Cl緩衝溶液でρH8.5にしてドータイトMXを指示薬として0.002mol/lEDTAで滴定する。プリマゼ時間30分まででは約3mg以下の銀が定量できる。パラジウム,水銀,金,白金は銀同様に当量の銅を遊離するので微量でも妨害する。塩素は0.55mg,臭素,ヨウ素は0.05mgが共存許容限度である。また,少量の塩素は塩化銀として沈殿させたのち,アンミン錯塩として溶解させ,本法によって銀を定量して間接的に定量できる。陰イオンについては交換反応時妨害すると思われるものについて,その影響を検討した。
  • 三井 生喜雄, 今野 浩二, 大沼 勇, 清水 広一
    1964 年 85 巻 7 号 p. 437-440,A35
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (一)-酢酸メンチルとアセトフェノンを臭化ジエチルアミノマグネシウムの存在下で反応させ,(+)-3-オキシ-3-フェニル酪酸(I)を最高93%の不整合成率で得ることができた。Iおよびアトロラクチン酸(VI)をそれぞれ2-オキシ-2-フェニルプロピルアミン塩酸塩(IV)に導くことにより,(+)-Iがpあるいはsの絶対配置を有することを明らかにした。
  • 大田 正樹, 調所 啓秀, 辛 重基, 市村 国宏
    1964 年 85 巻 7 号 p. 440-443,A35
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    これまで合成されていない単環の4-チアゾロン型のメソイオン化合物を合成する目的で,N-置換チオアミドとα-ハロゲンカルボン酸との反応を試みた。
    著者らはチオベンズアニリドとプロム酢酸をベンゼン中で加熱して得られる物質はさきにHolmbergにより報告された水酸化チアゾリウム誘導体ではなく,ベンゾイルチオグリコール酸アニリドであることを赤外吸収スペクトルと混融から明らかにした。つぎにトリエチルアミンの存在下で両一者を加熱して得られた中間体のカルボキシメチルチオ誘導体に無水酢酸を作用させると閉環が起り,分析値,赤外吸収スペクトル,性質,反応からメソイオン化合物であると思われる新化合物の得られることを見いだした。さらに他のN-置換チオアミドとハロゲンカルボン酸との反応からも同様な化合物が得られた。
  • 福井 憲二, 中山 充
    1964 年 85 巻 7 号 p. 444-446,A36
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-フェニル-4-オキシー4',5'-ジヒドロフロ(3',2';6,7)クマリンのメチルエーテル(IV)を6-オキシ-5(ω-フェニル)アセチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン(II)から誘導した。IVをパラジウム炭素で脱水素反応を行なりと水素化分解も同時に起り,3-フェニル-4-オキシフロ(3'2';6,7)クマリン(V)が得られた。VはIIから誘導されるジヒドロフラノイソフラボン(VI),フラノイソフラボン(VII)を経て6=オキシ-5-(ω-フェニル)アセチルベンゾフラン(VIII)からも得られた。
  • 福井 憲二, 中山 充, 岡崎 公平
    1964 年 85 巻 7 号 p. 446-449,A36
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プソイドバプチゲニン(III)をホルミル化し,ついでプロムマロン酸エチルと炭酸カリウムを縮合剤として反応すると5"-カルボエトキシフラノ(2",3";7,8)-3',4'-メチレンジオキシイソフラボン(VI)が得られた。この際反応条件を温和にすると中間体である5"5"ジカルボエトキシ-4'-オキシ-4",5"-ジヒドロフラノ(2"3"7,8)-3"4"-メチレンジオキシイソフラボン(V)を単離することができた。V,VIを加水分解して酸(VIII)とし,さらに脱炭酸してフラノ(2"3";7,8)-3"4"-メチレンジオキシイソフラボン(II)を合成した。
  • 保田 道子
    1964 年 85 巻 7 号 p. 449-449,A36
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセト酢酸2,4-ジエニトロフェニルヒドラゾンは従来,酢酸エチルからの再結晶法により精製され,融点について,124℃または125℃の値が報告されているが,これに対する疑問もあり,この点について検討した。
  • 北畠 道俊, 小川 正郎
    1964 年 85 巻 7 号 p. 450-450,A36
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1964 年 85 巻 7 号 p. A33-A36
    発行日: 1964/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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