ニッケル線触媒に対する水素の収着を,温度45°~385℃,圧力1×10
-3~15mmHgの範囲で測定した。水素の等温収着量は,つぎの等温式,n-k
aK
a1/2/(1+K
aP
1/2)+k
bK
bP
1/2(P:水素圧,k,K:定数)でよく表わされることから,収着に際して,表面におけるLangmuir型の解離吸着および固体内部への解離吸収が,同時に行なわれることがわかった。
収着の温度変化から求めた吸収熱および吸収状態のエントロピーは,-5.1kcal/molおよび29e.u./9-atom(285℃,1mmHg)で,従来の値とよく一致する。また,吸着熱および吸着水素のエントロピーは,それぞれ12.6kcal/molおよび11.9e.u./g-atom(285℃)であり,さらに水素の飽和吸着量は,BET法により求めた全表面積の約20%に相当することを確かめた。
これらの結果を,蒸着膜および粉末などについて得られた従来の値と比較し,ニッケル線の表面は水素吸着に対して,十分均一であることを見いだした。
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