酸性溶液で硝酸イオンを金属亜鉛で還元し, 生成された亜硝酸イオンをGriess Romijn試薬 (以下GR試薬と略記) で発色させる硝酸イオンの光度定量法を検討し, ある種の塩類の共存によって亜硝酸への還元が定量的に進行することを見いだした。その結果, 硝酸の微量が精度よく定量できた。
試料溶液10mlを沈殿管にとり, これに3mol/l塩化マグネシウム溶液2ml, 4mol/l塩化ナトリウム溶液1mlならびに0. 1N酢酸0. 5mlを加えて酸性にする。これに粉末状金属亜鉛400~500mgを添加しセンをして静かにまぜ合わせる。遠心分離後, 上澄液から10mlを比色管に移し, これにGR試薬を加えて発色させる。0. lppm NO
-3-N以下の場合 (B法) は, この溶液の吸光度を波長520mμで測定すれば濃度と吸光度は0. 005~0. 07ppm NO
-3-Nの範囲内で直線関係を示し, 再現性よく極微量の硝酸イオンが定量できた。また, 0. 1ppm NO
-3-N以上の場合 (A法) はGR試薬で発色させたのち, これに3N塩化アンモニウム溶液2ml, 10% EDTA・2Na溶液7mlならびに9Nアンモニア水1mlを添加してアルカリ性にし, 吸光度を波長480mμで測定すれば, 0. 05~2. 5ppm NO
-3-Nの範囲内で直線関係が得られ, 定量範囲が拡大された。
亜硝酸イオン共存の場合の硝酸イオンの定量法についても実験し, 好結果をおさめた。
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