日本化學雜誌
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91 巻, 7 号
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  • 広田 鋼蔵
    1970 年 91 巻 7 号 p. 585-597
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電子衝撃によって一次的に生ずる鎖状・単環および多環の飽和炭化水素の骨格結合の切断確率を,前報と同じく各分子の最高被占準位の分子軌道のその結合における賦荷密度から謀出する方式を述べる。これを9種の直鎖アルカソ,5種の単環シクロアルカン,デカリンおよび5α-コレスタンについて応用する。その結果を多次切断の起こりにくい条件下で測定した質量スペクトルからの実測値と比較検討する。計算値がC-C結合の種類により定まるパラメーターのみを用いて算出された点を考えると,それと輿測値との一致は満足すぺきものである。 しかし質量スベクトルの予言という目的には本理論はまだ不完全で,とくにつぎの2点が不備;(a)結合切断にさいし,いずれの生成フラグメントがイオンとなるか,(b)C-H結合の切断確率の決定。そこで本論文で採用した衝撃電圧の低下効果法の意議。これらについて考察を行なう。
  • 今野 紀二郎, 大野 允, 北原 文雄
    1970 年 91 巻 7 号 p. 598-602
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化アルキルドデシルジメチルアゾモニウムのベンゼン溶液における水の可溶化を温度の関数として研究した。これらの界面活性剤によって可溶化される水の量は,活性剤の対イオンおよび炭化水素基の種類に依存した。塩化および臭化ブチルドデシルジメチルアンモニウムによる電解質の第二可溶化を温度の関数として研究した。塩化物によって可溶化される水の量は,電解質の存在によってほとんど影響をうけなかったが・臭化物の場合は,とくに電解質のアニオンの違いによって影響をうけた。その作用順列は,I->SCN->NO3->F->Br>C1-となった。この順列は,フッ化物イオンを除いて離液順列に相当している。また臭化物による水の可溶化は,酸および塩基によっていちじるしい影響をうけた。
  • 盛岡 良雄, 小林 純一, 樋口 泉
    1970 年 91 巻 7 号 p. 603-612
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    既報につづいて半径R0の球形単位粒子が,体心立方格子型(B.C.型),ダイヤモンド型(D.P.型)および2段6球面型(P.D.型)に充テンした多孔体をとり上げ,この粒間間隙に張るメニスカスの曲率半径rと,そのメニスカスとR0球とに包まれる体積V(ml/ml)との関係を計算した,このy(=r/Ro)~Vの関係を基礎にして理論的毛管凝縮等温線を計算し,相応する実験的等温線に一致することを示した。微粒からなる多孔体について著者らの理論とKiselevらの理論との差異を論議し,Kiselevら実験値についても両者の理論曲線を比較した。その結果,著者らの理論曲線がより妥当であることを示した。両理論はともに微粒間間隙がわかれば,理論的収箔等温線が計算できることを明らかにしたものであるが,著者らはさらに少なくとも酸化物多孔体は微粒子の集合体とみなされることを結論した。
  • 谷口 捷生, 中島 完, 吉田 郷弘, 多羅間 公雄
    1970 年 91 巻 7 号 p. 612-617
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一連の遷移金属2価イオンで交換したシリカゲルは300~400℃で排気すると,交換鋸量にほぼ比例して固体酸性を発現する。この酸性点の強度および酸量は,金属イオンの鍾類によって異なり,金属イオンの電荷密度と関連がある。また吸着ピリジンの赤外吸収スペクトルを解析し,排気処理温度が250~300℃以下の試料ではBronsted酸が優勢であり,300℃の試料ではLewis酸点が支配的であることがわかった。この試料を高温排気したものを触媒として,1-ブテンの異性化反応,塩化イソプロピルの脱塩化水素反応を行なった。金属硝酸塩で交換した試料では触媒活性が認められ,その活性は,亜鉛>銅>コバルト>ニッケル>マンガン>カルシウムの順に変化し,PKa≦+3.3の酸性点の数におおよそ比例するが,金属イオンの置かれている結晶場の種類が,八面体構造をとるマンガン,ニッケルは比較的活性が低く,これにくらべて四面体構造をとるコバルト,亜鉛はより商い活性を示した。また電子スペクトル測定の結果から,塩化イソプロピルの脱塩化水素反応は,Lewis酸による塩化物イオン引き抜きによって生ずるカルボニウム陽イオンを経由して起こっているものと推定した。
  • 高橋 不二雄
    1970 年 91 巻 7 号 p. 617-621
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エステル加溶媒分解に対するイミダゾールの触媒作用がイミダゾールの水素結合と関連するものと期待し,各腫溶媒系においてイミダゾール触媒を用いて酢酸かニトロフェニル(PNPA)の加溶媒分解を行なった。その結果,イミダゾールがジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドと水素結合したときは,アセトソまたはテラヒドロフランと水素結合したときよりも反応速度はいちじるしく速い。前者二つの溶媒は後者二つの溶媒より強い水素結合をすることから,イミダゾール触媒の活性が水素結合と関連すると推定した。これら溶媒系ではPNPAとイミダゾールが二次反応により,P-ニトロフェノールとN-アセチルイミダゾールを生成した。クロロホルムを用いると触媒作用が抑制される。このことからイミダゾールイミノ基が水素結合すれば触媒活性は増大し,イミダゾールの第三級アミンが水素結合すれば触媒活性は抑制されると推定したメタノール溶液においてPNPAはメタノリシスを受けP-ニトロフェノールと酢酸メチルを生成する。反応は一次であり,反応機構として中間体にN-アセチルイミダゾールが生成すると推定した。
  • 小出 功, 小田 孜, 井野口 弘治, 八木 悦子
    1970 年 91 巻 7 号 p. 622-625
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3-ジブロム-2,3-ジメチルブタンの結晶の誘電率を,5kcから100kcの周波数領域において,-1700Cから約100℃の温度範囲にわたり測定した。誘電率は転移点-90℃付近でほとんど変化を示さず,もう一つの転移点70~80℃近くで大きな変化をみせた。-90℃から+70℃までの結晶相(II)の誘電率の値は大略値は2,6であり,温度上昇とともにその値は次第にわずかながら増大する。トランス位振動模型とトランスーゴーシュ平衡形の分子模型を仮定して誘電率を算出し,それぞれの場合の計算値を実測値と比較検討した。その結果,結晶相(1)においてはトランス位振動型分子模型が妥当であると結論された。
  • 相馬 芳枝, 佐野 寛
    1970 年 91 巻 7 号 p. 625-630
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    常温,常圧で,銅(I)化合物は酸溶液中において,銅(I)lgイオンにつき1分子の一酸化炭素を吸収し,透明で安定なCuCO+を生成する。CH+ H+,CO→CuCO+硫酸中で銅(I)イオンに一酸化炭素を導入するとCuCO+に混ざってCu(CO)3+ が平衡混合物として生成し,-10℃,7atmのもとでは,ほとんど全部がCu(CO)3+となり,Cu(CO)3+は-10℃,7atm以上で安定である。温度,圧力の条件が70℃から-10℃,Iatmから7atmの範囲では,温度,圧力の変化により可逆的につぎの平衡関係が考えられる。Cu(CO)3+→←CuCO+ +2CO
  • 佐野 寛
    1970 年 91 巻 7 号 p. 630-636
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸中においては,Cu+ は一酸化炭素を吸収してCuCO+および部分的にCu(CO)3+を生成し,CO/cu(1)比はIを越える。この硫酸中に少量の他の溶媒を加えると,CO/Cu(1)比はすぐに1まで降下する。溶媒がH2SO4+S=SH++HSO4-のようにプロトン受容体として働く能力がある場合は,硫酸との等モル混合溶媒において,CO/Cu(1)比は1となる。これらの結果から,Cu+に対してHSOベイオンは硫酸分子よりも配位力が強く,そのためCu(CO)3+ 錯体中の一酸化炭素分子を追い出してCuCO+・nHSO4-を生成するものと考えられる
  • 高橋 義明, 中谷 光久, 大内 昭
    1970 年 91 巻 7 号 p. 636-639
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来β-ジケトンと無水金属ハロゲン化物にハロゲン化水素触媒のもとで硫化水素を通して合成されていた,ML2(HL-ジチオ-β-ジケトソ)型錯体およびハロゲン金属酸ジチオリウム塩Dn(MXm)(D=ジチオリウムイオン)型化合物をジチオリウム塩(3-メチル-5-フェニルー1,2一ジチオリウム過塩素酸塩)を用いる方法で合成した。Dn(MXf9)型化合物は,マンガン, 鉄,コバルト, ニジケル, 銅, 亜鉛, カドミウム, アンチモンのクロロ化合物およびブロモ化合物のほとんどが得られ, ML2型錯体でも既知のニッケル(II)錯体のほか鉄(II), 亜鉛(II)などの薪しい錯体が得られた。新合成法によって得られた生成物は,既知化合物と同一物,または類似の性質をもった新化合物であることが元素分析,磁化率の測定,赤外吸収スペクトル,紫外・可視吸収スペクトルなどにより確認された。
  • 加藤 昭夫, 安住 保秀, 清山 哲郎
    1970 年 91 巻 7 号 p. 640-646
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    沈殿法酸化銀(Ag20)の熱分解におよぼす熱処理効果を調べ,つぎの結果を得た・(1)沈殿法酸化銀に含まれる水および二酸化炭素成分を酸化銀の分解をともなわずに熟処理で完全に除去することは困難であるo(2)酸化銀の熱分解曲線の形は試料の調製条件によって定まり,分解温度(320~370℃)や熱処理によっては変わらない。 本実験に用いた粉砕ふるいわけした酸化銀の分解曲線は分解率50~80%まで直線であった。(3)分解速度は熱処理温度によって複雑な変化を示す。 これは熱処理によって起こる酸化銀の格子の膨張・結晶成長および金属銀の生成の効果,すなわち,格子膨張と金属銀の分解促進作用および結晶成長による表面積の減少・によって説明できる・金属銀の分解促進作用は金属銀と酸化銀の接触が密なほど大きい。(4)直線形分解曲線から求めた分解反応の活性化エネルギーは35~37kca1/mo1で,この値は熱処理によって変わらない。以上の結果に基づき,直線形分解曲線に対する分解機構を論議した。
  • 中川 敏男
    1970 年 91 巻 7 号 p. 647-649
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガラス状セレンの加熱過程および液状無定形セレンの冷却過程で一定温度の熱処理をし,その結晶化速度を電気伝導度によウて測定した。さらに結晶セレンおよび液状無定形セレソの冷却過程における電気伝導度の温度依存性を測定した。ガラス状セレソは100℃以上の熱処理で急激に結晶化し,100℃以下ではゆるやかに結晶化する。しかし冷却過程における液状無定形セレンは100℃以上の熱処理でもゆるやかに結晶化する。これらの結晶化完了時間は結晶化温度に対しほぼ指数関数的な関係を示した。しかもこのガラス状セレンの結晶化完了時間の直線と冷却過程の無定形セレンの場合の直線が約100℃で交差する。またガラス状から結晶化したセレンの活性化エネルギーは結晶化温度の上昇とともに低下し,100℃付近で変曲点があった。さらに液状無定形セレンの冷却過程における電気伝導度の温度依存性は100℃付近で折れ曲りのある直線で温度の低下とともに減少した。これらの100℃付近における現象は無定形セレンに混じっている少数のSe8環状分子が1OO℃以上で開環し,100℃以下でその開環した分子が閉環するためと考えられる。
  • 岡本 東作, 松本 圭司, 黒谷 寿雄
    1970 年 91 巻 7 号 p. 650-652
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    trans-ジシアノピス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物trans-[Co(CN)2en2]Clの結晶構造をX線写真法による三次元データから決定した。 この結晶は単斜晶系に属し,空聞群はP21/c,またその他の結晶学データはa=6.677(3),b=9.015(8),c=9.674(4)A,β=112.3(1)゜;Z=2である。Dm=1.64,De=1.65g・cm-a。錯イオンにおいては,中心の謡バルト原子のまわりを4個の窒素原子(en)が一平面四角形状に取り囲み,また,この平面をはさんでたがいにトランスの位置に,2個の炭素原子(CN)が存在して,全体として六配位八面体型をなしている。なお,2個のen分子は(δ,λ)の組み合わせでコバルト原子に配位している。
  • 森田 弥左衛門, 小暮 幸全
    1970 年 91 巻 7 号 p. 653-656
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    微量のアンモニアが,次亜塩素酸ナトリウムおよび2-メチル-8-ヒドロキシキノリン(MHQ)と反応してインドナキシン型色素を生成することを明らかにし,これをアンモニアの吸光光度定量法に活用した。そしてその諸条件を究明し,つぎのような方法を提案した。約10μg以下のアンモニア態窒素を含む試,料水溶液10mlに0,1%次亜塩索酸ナトリウム水溶液0.2mlを加え,20℃で2分間放置したのち,0.1mo1/l濃度のMHQ溶液(15%のアセトンを含んだエタノール溶液)とO.2mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液の等容混合液3mlを加えて20℃で10分間放置するeこの溶液を10mmセルに入れ,710mμ の波長における吸光度を測定し,別に硫酸アンモニウム標準溶液で作成した検量線から試料中のアンモニア態窒素を求める。この方法における反応機構は,既報の方法と同様でモノクロルアミンが生成する条件でないとインドオキシン型色棄の生成に基づく発色はみられない。そして既報のa-ナフトールを使用する方法にくらべ,MHQが安定で容易に純晶が得られる点ではきわめて便利であるが,呈色溶液の安定性は多少劣る欠点がある。
  • 宗像 孝, 榎本 聰
    1970 年 91 巻 7 号 p. 657-663
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    O,O'-ジメチル-O" -(2,2-ジクロルピニル)ホスブァート(1)(液体,以下DDVPと略記する)2molと塩化カルシウム1molとの反応により得た新物質0-メチル-O'-(2,2-ジクロルピニル)リン酸カルシウム(2)に,さらに2molのDDVPを添加することによりmp64~67℃を示す新しい有機リン酸エステル付加物(3)を得た。またDDVP4molと酸化カルシウム1molとを一挙に反応させることによっても同一物(3)を与えた。その構造は分析値,分子量測定値などから(3)式で示すことができるが,赤外吸収スペクトルからその構造を検討した結果,カルシウム原子を中心とするリン酸カルシウム部分が平面構造をとり,その上下面にDDVPが1分子ずつ配位した錯体であると考えられる。
  • 北谷 正行
    1970 年 91 巻 7 号 p. 664-668
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ネズコ(ThujustandishiiCarriere)葉の精油成分についてはまだ報告されていない。この報告は木曾産ネズコの生葉を水蒸気蒸留して得られる粗精油のうちbp2 145~170℃の留分(原精油に対する収率5.8%)についてその成分検索を行ない,Δ5(10)-リムエン(1%),リムエン(9%),Δ8(9)-サンダラコピマラジエン(O.5%),ヒバェン(8%),ドラプラジエン(3%),デヒドロアピエタン(5%),トタロール(3%)およびネズコール(50%)の8鍾類のジテルペソ類を分離し,それぞれを物理的・化学的方法および既知化合物との比較によって同定した。このうちネズコールについてはとくにくわしくその構造を検討して,(-)-8β -ヒドロキシ-サンダラコピマール-15-エソと同一化合物であることを確認した。
  • 今橋 正征
    1970 年 91 巻 7 号 p. 668-669
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 吉岡 隆
    1970 年 91 巻 7 号 p. 670-671
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 藤井 有起
    1970 年 91 巻 7 号 p. 671-673
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 91 巻 7 号 p. A35-A38
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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