一連の遷移金属2価イオンで交換したシリカゲルは300~400℃で排気すると,交換鋸量にほぼ比例して固体酸性を発現する。この酸性点の強度および酸量は,金属イオンの鍾類によって異なり,金属イオンの電荷密度と関連がある。また吸着ピリジンの赤外吸収スペクトルを解析し,排気処理温度が250~300℃以下の試料ではBronsted酸が優勢であり,300℃の試料ではLewis酸点が支配的であることがわかった。この試料を高温排気したものを触媒として,1-ブテンの異性化反応,塩化イソプロピルの脱塩化水素反応を行なった。金属硝酸塩で交換した試料では触媒活性が認められ,その活性は,亜鉛>銅>コバルト>ニッケル>マンガン>カルシウムの順に変化し,PKa≦+3.3の酸性点の数におおよそ比例するが,金属イオンの置かれている結晶場の種類が,八面体構造をとるマンガン,ニッケルは比較的活性が低く,これにくらべて四面体構造をとるコバルト,亜鉛はより商い活性を示した。また電子スペクトル測定の結果から,塩化イソプロピルの脱塩化水素反応は,Lewis酸による塩化物イオン引き抜きによって生ずるカルボニウム陽イオンを経由して起こっているものと推定した。
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