いじめ被害体験者が青年期後期において示す不適応状態に関して,リズィリエンス(resilience)研究の枠組みに基づき,対人的ストレスイベントとコーピングスタイルをそれぞれ脆弱性因子及び保護因子として取り上げ,青年期後期の適応状態に対する効果をいじめ被害体験者/非被害体験者間で比較・検討した.大学生及び専門学校生301名(平均年齢19.66歳,
SD=1.29)を対象とした質問紙調査により,いじめ被害体験者は青年期後期において特に対人的ストレスイベントを多く体験しているわけではないにもかかわらず,非被害体験者よりも適応状態が悪い傾向が見られた.この傾向は男性の方が強く,いじめ被害開始時期は無関係であることも同時に示された.また,被害体験者においては保護因子として問題解決型・サポート希求型コーピングが補償的に機能していることを示唆する結果が得られた.
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