日本化粧品技術者会誌
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38 巻, 2 号
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  • 堀越 俊雄, 松江 浩二, 高橋 たくみ, 石井 宏明, 山田 健一, 林 照次, 藪根 光晴, 村上 泉子, 梶本 修身
    2004 年 38 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    真夏の強い日差しの下でレジャーやスポーツをすることにより, その日の夕方から夜にかけて極度な疲労を感じることがある。これに関し, 22-62歳の健常男女204名を対象にアンケート調査を行った結果, 太陽光により疲労が誘発されることは一般的に認識されていることが確認された。一方, 疲労を脳機能のパフォーマンスの低下として捉えることで客観的に定量化する試みがなされており, Advanced Trail Making Test (ATMT) 法が近年報告されている。本研究では, 太陽光によって誘発される疲労を科学的に捉えるために, ATMT法を用いた評価の可能性について検討した。太陽光曝露による疲労発生試験として, 26-41歳の健常男性15名を, 真夏の晴天時の日中, 紫外線として100kJ/cm2相当量の太陽光に1日3-4回, 連続3日間曝露させた。被験者の着衣条件は半袖および半ズボンとし, 頭部はタオルで防御した。3日間の太陽光曝露により“疲労を感じた群 (n=10)”では, “疲労を感じなかった群 (n=5)”に比べ, 太陽光曝露日 (1, 2および3日目) の夕方および3日目の朝に疲労感の主観評価点において増加が観察された。一方, ATMT値においても, 太陽光曝露1日目, 2日目の夕方および3日目の朝に主観評価と同様に有意な増加が認められた。これらのことから, 太陽光により発生する疲労はATMT法を用いることにより客観定量できる可能性が示唆された。また, 主観評価項目について重回帰分析を行った結果, 太陽光による疲労感は, 非曝露時の疲労感に影響する“眠い”に加え, “消極的な気分”および“注意の集中ができにくい”といった項目にも影響されることが示され, 日常感じる疲労とは質的に異なることが推測された。
  • 野口 安則, 寺田 玲子, 大木 淳, 安保 正恵, 田村 克之
    2004 年 38 巻 2 号 p. 104-114
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    今や化粧品は植物系原料で処方設計することが, 必須と言われるまでになってきている。このことから, 石油合成系および動物系由来の化粧品原料は, 植物系由来原料への代替が盛んであり, 種々の植物系由来原料が開発されている。動物系由来の原料であるラノリンは, 人間の皮脂と類似していると言われ, スキンケア・ヘアケア化粧品, メークアップ化粧品等, 幅広い分野で長年使用されている。しかし, 動物系由来であるため使用を敬遠されることが多く, 植物系由来の代替品開発が望まれていた。今回開発したエルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸ポリグリセリルは, ラノリンと同等以上の機能を有した, 植物系由来のエステル油である。機能としては, ラノリンの特長とも言える抱水率が, ラノリンの約2.5倍以上である高い抱水機能や, 皮膚呼吸を妨げる恐れが少なく, 皮膚の潤いを保持する機能, 毛髪表面を保護し外的環境湿度の変化から毛髪を守る機能, 光沢度や顔料分散性等優れた機能を確認しており, 種々の分野で利用が期待できる新規化粧品油剤である。
  • 若年層と中高年層の比較
    征矢 智美, 野村 美佳, 林 照次, 長谷川 敬
    2004 年 38 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    「肌の透明感」は女性の肌状態, 肌意識に関するアンケート調査や化粧品使用前後の指標に多く使用される重要なキーワードであるが, 「透明感」が具体的に肌のどのような状態を指すかについては明確ではない。そこで, 本研究では最初に若年層と中高年層を対象に「透明感のある肌」に対する重要度調査と他の肌表現語との関連度調査を行った。その結果, 「透明感のある肌」の重要度は, 若年層では最高位であるのに対し中高年層では肌荒れしていない等の肌悩みの方が重要視されていた。反面, 「透明感のある肌」は, 肌のキメや色, うるおいなどの三つの要素を基本要件とする複合概念であるという点で両年代に差異はなかった。次に, 両年代の評定者が同じ若年モデルを観察したときの「透明感」の主観判断とモデルの実際の皮膚生理的特性との関係を調べた。その結果, 若年層では肌色におけるbの色ムラ (標準偏差), 角層水分量, 皮膚表面形態 (皮溝深さ, 皮溝量), 中高年層では, 肌色におけるLおよびaの色ムラ (標準偏差) について有意な関係が認められた。これらの結果から, 「透明感」の言語的構造に年代差はないが, 判断の手がかりである皮膚の生理特性は異なると考えられた。
  • 佐藤 真由美, 森 忍, 吉塚 直伸, 武馬 吉則
    2004 年 38 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    女性の顔の形状に関しての美意識は高く, 形状を形づくるものとしては骨格や筋肉, 皮下脂肪が関わっていると考えられる。そこでわれわれは, MRI法 (核磁気共鳴映像法) を用いて女性の顔面における皮下脂肪を計測し, 皮下脂肪の分布と体型との関係について実態解析を行ったので報告する。健常女性38名を, 痩身体型10名・正常体型18名・肥満体型10名に分け, 頭部MRI撮影を行った。撮影条件は, 脂肪を映すのに適したT1強調で撮影した。MRI画像の顔面皮下脂肪面積は, 肥満体型, 正常体型, 痩身体型の順で多かった。さらに, 顔面45ヵ所の皮下脂肪厚を計測した結果, 頬部の鼻側は体型にかかわらず皮下脂肪量が多い部位であったが, 咬筋部と下顎骨部周辺の皮下脂肪量はBMI (Body Mass Index) が高くなるに伴い増大した。すなわち, 体型にかかわらず皮下脂肪が存在する部位と, BMIの増加に伴い蓄積していく部位があることが示唆された。
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