日本生態学会誌
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65 巻 , 1 号
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追悼記事
宮地賞受賞者総説
総説
  • 大澤 隆文
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 17-31
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    我が国の自然保護区は生物多様性(種多様性及び遺伝的多様性)、景観及び多面的機能(水源涵養等)の維持を目的に設置されている場合が多い。しかし、気候変動の影響を受ける中で、これらの自然保護区における生態系が今後どのように変化していくのか、保護区の諸目的を達成するためにどう生態系を保全していくかについては、海外での研究や実践例から学べる点も多い。本稿では、これらを整理・紹介することを目的とした。種や生態系の地理的分布がいつまでも変わらないという静的な考え方は今後(気候が変動する中で)通用しなくなることから、自然保護区同士の連結や拡大を含む弾力的な活用が望ましいことが判明している。しかしまた、利用可能な財源や土地空間が限られる場合には、こうした弾力的な運用は実現可能性に乏しいことも指摘されており、寧ろ既存の自然保護区を今後どう管理していくかを熟考することが重要となってくる。後者については、昨今、気候変動脆弱性評価(CCVA)、専門家の知見集約、対話による生態系シナリオ予測、特定の種を保全するための適応策(ACT)等が順次開発・適用されつつある。これらの手法は、特定の種や生態学的視点に留まらず、生態系の構成主要種を各種の生態学・生理学・遺伝学、また種間の相互関係等の知見から包括的にリスク評価するものであり、実施可能な対策の優先順位付けまで行う。さらには、生態系の位置が徐々に今後変化するという動的な考え方に立脚すると、低緯度地域や低地から侵出してくるであろう非在来種も、ただ単に有害な外来種として駆除し続けるのではなく、生態系の多面的機能や景観の維持に貢献する場合或いは侵入して来た種が他に逃避地を有さない場合には、その侵入と定着をやむなく容認する(せざるを得ない)という考え方もアメリカ等で生まれている。また、温暖な気候に適応した対立遺伝子を、高緯度地域や高地の集団に導入することで、集団の維持を可能にさせるということも考えられる。こうした流れは、従来の静的な考えに立脚する自然保護区の思想を変えてゆく可能性もある。
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特集 クライン研究を成功させるために
  • 鶴井 香織, 高橋 佑磨, 森本 元
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 33-37
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    クラインとは、連続した生息地において量的形質や対立遺伝子頻度が示す空間的に滑らかな地理的変化をさし、測定可能な変異の勾配として観察される。クラインは、古くから数多くの生物において報告されてきた身近で関心の高い現象である。生態学や進化学では、注目している形質が示すクラインを利用し、その変異の時空間的変化を調べることで形質の適応進化の因果やプロセスを明らかにしてきた。ベルクマンの法則の発見をはじめとする種間・種内で認められる形質の地理的変異に関する数々の研究成果は、クラインの重要性を象徴している。しかし、数多くのクライン研究成果の基礎をなす「クラインそのものに対する理解」はいまだ混沌としており、クライン研究は脆弱な基盤によった砂上の楼閣といえる。その背景には、クラインを形成する「測定可能な性質」が異なるクラインに対する認識および解釈の混乱などが挙げられる。本稿では、クライン研究の体系的枠組み構築のため「質的クライン」と「量的クライン」という分類方法を提案する。
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  • 森本 元, 高橋 佑磨, 鶴井 香織
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 39-46
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    クラインは、生物の形質の進化や適応のメカニズムを検討可能な興味深い現象である。この現象には古くから多くの進化学者・生態学者が魅了され、さまざまな経験的一般則が発見されてきた。量的形質である体サイズや体重のクラインを扱ったベルクマンの法則は、その代表例である。ただし、これらの法則は、優れた視点を有すると同時に、その定義に曖昧な部分も多い。クラインとは空間的なパターンのことであるが、それを生み出すメカニズムは一つではない。それゆえ、観察された現象へ与えられる名称と、その現象を説明するメカニズムは、区別して扱われるべきである。しかしながら、現状ではこの点について混乱もある。ベルクマンの法則の適用範囲が拡大していく中で、アレンの法則や温度-サイズ則といった温度勾配を背景とした法則とベルクマンの法則との関連性および相違点を改めて確認し、整合性を与える必要も生じている。そのためには、量的形質のクラインが地理的な環境要因の勾配に応じた可塑的応答と、量的遺伝を基盤とした適応進化の地理的差異によって構成されることを再確認することが第一歩となる。本稿では、量的形質のクラインにおける基礎的な考えと量的形質のクラインに関する法則の問題点を整理することで、マクロな視点から生物の一般則を導く「クライン研究」がさらなる進展をするための基盤整備を目指す。
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  • 高橋 佑磨, 鶴井 香織, 森本 元
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 47-60
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    クラインは量的形質の形質値の空間変異として現れるばかりではなく、質的形質における多型の出現比(型比)の空間変異として観察されることもある。型比のクラインの多くは環境勾配に沿って現れるため、その成立機構は比較的簡単に想像できるよう感じる。すなわち、量的形質の地理的勾配と同様、環境が徐々に変化するために各型の有利さが徐々に変化し、形質の「比率」もなだらかなに変化すると解釈されることが少なくない。しかし、量的形質の地理勾配が生じるメカニズムをそのまま質的形質のケースに適用することには大きな理論的な問題がある。なぜなら、たとえば、A型とB型の2型が出現する種を想定した場合、空間に沿ってB型が有利になる環境条件からA型が有利になる条件に変化するならば、両型の適応度が完全に等しくなる平衡点を除き、どちらか一方の型の適応度が高くなるため、この状況が進化的スケールで充分な時間継続すれば、各集団には有利な型が蔓延するためである。つまり、各集団中には多型が共存し得ないので、空間に沿って平衡点を境に型比は階段状になる。このことは、逆に言えば、各集団に多型の共存を促進する機構があれば、型比のクラインが成立する可能性があることを示している。本稿では、多型の維持機構という視点から、あらゆる型比のクラインを理解するための枠組みを提案する。この枠組は、質的形質の比率のクラインにおける多型を維持する進化的原動力の重要性を明示するとともに、空間スケールの考慮の必要性を示すものである。集団遺伝学的視点を取り入れることを通じて、質的形質のクラインの成立機構の理解を正すとともに、クラインを利用した進化学・生態学研究の足場固めをしたい。
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  • 岸 茂樹
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 61-64
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    アレンの法則とは、恒温動物の種内および近縁種間において高緯度ほど体の突出部が小さくなる傾向をいう。アレンは北アメリカのノウサギ属を例にこの仮説を提唱した。しかしこの例を含めてアレンの法則は検証例が少ない。そこで本研究ではアレンの法則が書かれた原典からノウサギ属Lepus のデータを抜き出しアレンの法則がみられるか検証した。その結果、相対耳長と緯度には有意な相関はみられなかった。相対後脚長、および体長と緯度には正の相関がみられた。したがって、アレンが記録した北アメリカのノウサギ属にはアレンの法則はみられず、むしろベルクマンの法則がみられることがわかった。相対耳長と緯度に負の相関がみられなかった主な原因は、低緯度地域にも耳の短い種が生息することである。耳の長さには緯度以外にも生活様式や生息場所が大きく影響するためと考えられる。
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  • 西田 隆義
    原稿種別: 本文
    65 巻 (2015) 1 号 p. 65-67
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
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