私は一昨年南方視察の機會を得其際ハルマヘラ島の探檢をも行ふ事が出來た。其目的は別に有るけれども踏査中私は特に此の島の地質構造に就て深く心を率れるに至つたので之に就ても十分探査したのであるぶ其結果は何れも未だ公表するの時期に連してゐない。本稿は探檢中の見開を談話風に書き下したものであるがその趣意は赤裸々の日本人が初めて受けた此島の風物の感恢と此探檢に依て島の住民に及ぽした効果とを描かんとするにある。
探檢隊の緬成は地形澗量に雷つた磯巳代次氏詩人であつて土人の采配を擔當した井上孝一郎氏蘭印生活十五ヶ年の通評平山茂氏、及庶務を擔當したミハナサ人ヤン・カウナン秘書であつたアラビヤ人アルハダー・サガフ並に先發班長であつたアンポン人アレックス・レサバルかち成り、別に或る期間竹村勝雄氏と武田氏とが參加された。揚げて以て巷頭を飾る。
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