北米西部はコルディレラ山系の地域である。この山系のおいたちは, 地向斜期・造山期・後造山期に総括される。
地向斜期は堆積と比較的おだやかな地殻運動の時期である。この地方では古生代・中生代前半までがこのような時期であつた。
造山期は最初はコルディレラの西部で中生代の中頃にはじまつた。この部分の地向斜に堆積した岩石は変形・変成を受け岩漿の大規模な送入を受けた。変形した岩石は隆起し, 西方の盆地 (太平洋) や東方の大陸の内部へ岩屑を供給した。白亜紀に変形作用は東へすすみ, Great Basinの岩石を褶曲断裂させ, Colorado Plateauでは変動はこれより軽微であつたが, さらに東のロッキー山地でははげしかつた。造山期の末, 白亜紀後期と暁新世に変形作用は現在のGreat Plainの縁に達したが, それ以上内陸へは進まなかつた。
造山期の褶曲・断層は現在の地形と関係はない。重要なのは後造山期つまり第三紀第四紀の変動である。山間盆地は沈降し (Wyoming, Colorado), 広い範囲が断層地塊化し (Great Basin) あるいは熔岩で被われた (Colurnbia Plateau), また山脈が火山列の形成によつてつくられた (Cascade Range), 広い隆起がRocky Mountainsを中心に生じGreat PlainsやColorado Plateauに及んだ。この隆起は主に第三紀後期以前であるが, その後も衰えながらつずいた。範囲はせまいがもつと複雑な隆起がこれにややおくれてSierra NevadaやCascade Rangeで生じた。Sierra Nevadaではその東縁に顕著な断層を伴つて行われた。第三紀中期以後, 広域的な起伏も局地的な起伏も気候的なコントラストも, その以前のどの時期よりも著しくなつた。
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