地球の自然環境は, 科学技術の発展と人口増加の圧力を背景に, 世界の各地域で近年著しい変貌を遂げつつある。これに伴って, 環境の管理と資源の開発・利用の両面にわたり, 人類の生存にかかわる多様な問題が生じている。また, 近年の人間活動に伴う自然環境の変貌は, 気・水・地・生物の各圏にまたがって, 全地球的スケールから小は一特定地域の問題に至るまで, 様々なスケールと強度で生じている。こうした問題については, 我が国でも環境諸科学を中心に多彩な研究が展開されている。
しかし, これらの研究の全体を展望することは, 筆者のよくすることではないし, 紙数も足りない。そこで, 本文では筆者が直接かかわってきた, 地圏の変貌のうちでも地形の人工改変を中心に, 我が国の従来の研究と最近の内外における研究の動向を紹介することにしたい。なお, 筆者は地形の人工改変の問題については, すでに総合報告を書き (門村1982, 門村・武内1983), 最近の我が国における実態の一端にも触れてきた (たとえば門村1983) 。ここでは, これらの論説に基づくとともに, これらの中では十分に触れることのできなかったことがらと, その後知り得た内外の情報を併せて紹介することにしたい。
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